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親が子を信じないで、子は誰を信じろというのでしょうか?
私は保護司をしていますが、保護観察対象者は、保護司と毎月面接し、近況を報告する遵守事項があります。それを守らないと保護観察期間が延長したりすることもあるのです。
面接が出来ないやむを得ない場合もありますが、なるべくそうならないように、保護司も対象者もお互い努力をしなくてはいけません。
担当している保護観察期間2年の19歳対象者に面接日を相談しようと、先月末から何度も電話をしているのですが、でないのです。
LINEの既読はついても返信がありません。もう月半ば過ぎてしまい、このままでは今月は面接が出来なくなると危惧し、電話にでない彼にLINEで綴りました。
こんばんは😄仕事中でしたら、すみません!
仕事が忙しくて電話にでれないのは分かりますが、LINEだけでも返信できませんか?
日にちが決められないのなら、また連絡しますとか、LINEで返信するくらいの時間はあるのではないでしょうか?
それが人としての礼儀だと思います。それもできないとなると、信頼を得ることは難しくなると思うのですが、、
人は何の得にもならないことや、面倒くさいと思うことでも、それを実行することで、信頼を得られるのだと思います。
近日中に面接できる日を教えて下さい。よろしくお願いします🙇
翌日すぐに彼から連絡がありました。スマホが壊れてしまい、連絡が遅れてすみませんでした。と
そのLINEを送信したあと、もしかしたら逆効果になって、連絡がこなくなるのではと危惧もしていたので、嬉しかったです。
言い訳や謝罪などする必要もないのです。彼のことを私は理解していると思っています。
その後、今月の面接は仕事が終わる明日の22時以降しか出来ないということだったので、22時30分から彼のアパートですることにしたのです。
当日21時頃、携帯が鳴りました。彼からと思ったら、彼のお父さんからでした。
お父さんは彼が勤務する飲食店のオーナーでもあります。
「せりざわさん。遅くにすみません。息子が22時過ぎに保護司との面接があるから、今日は定時であがらせてくれと言ってますが、本当ですか?そんな遅い時間に面接をするのですか?息子が嘘をついてると思って、確認の電話をしました」と。
私は「本当ですよ。彼は嘘などつかないですよ。今日は店が忙しいのですか?」と、
お父さんは「店は忙しくないのですが、息子には今まで何度か嘘をつかれてきたもので、、」と、
私はお父さんに「わが子を信じないで、子どもは誰を信じろというのでしょうか?」と言ってやりたかったのですが、お父さんとは一度だけしか会ったことがないので、その言葉をのみ込んだのです。
しかし、彼はLINEのあと直ぐに電話してくれて、私の思いを理解してくれたのです。素直な子です。とてもいい子なのです。
きっとお父さんは、彼に一つや二つ嘘をついてきたのかもしれません。子どもはいつも親の背中を見ていますから。子どもに対して丁寧な対応をしてこなかったのかもしれませんね。
ときに忙しい日は、子どもと真摯に向き合えないこともありますが、その努力を惜しんではいけないと思うです。
子どもの嘘というものは、それが自分を守る最善の方法なのです。そうするしか術がないのです。それを親が理解しなくてどうするのでしょうか。
子どもに嘘をつかれても、いいじゃないですか。親なら騙されたふりをして、受け止める大きな心が必要です。
天理教教祖伝逸話篇196 『子供の成人』に以下のような教祖のことばがあります。
「分からん子供が分からんのやない。親の教えが届かんのや。親の教えが、隅々まで届いたなら子供の成人が分かるであろ」
自分は親だ!などという傲慢な心が、本来素直な子どもの心を歪めてしまうのです。
「親しき中にも礼儀あり」
親しい家族ほど理解して貰えるように、言葉を尽くし心を砕かなくてはいけないのだと、今回のことを通して自らを戒めたのです。
今はお父さんと上手くいっていない彼も、父親という立場になったら、いつかお父さんのことを理解できる日が、必ずきっとくると信じているのです。
−了−