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志ある医師たちが、初めて語った薬の実態とは

宣伝会議「編集・ライター養成講座」43期(2022年1月22日(土)に修了)で執筆した卒業制作です。薬の「量」や医療のオンライン化など、一人ひとりの患者に合った薬の処方が行われることで、様々な社会課題の解決につながると考えて書いたものです。現状、心の深淵にある願いを、言っても仕方がない、と諦めていませんか?(掲載:2024年10月20日)



【原稿】

――病院でもらったお薬、あなたは全部飲みますか?救命救急に次から次へと搬送される患者と、処方薬の驚きの実態。弊職が絶句した、医師に質問して初めて明かされた薬の根深い実情と、解決に向けたデジタルの可能性に迫る。

取り返しのつかない状況で初めて把握

ここは、東京都にある災害拠点病院。救命救急医で集中治療が専門のA医師はこう語る。

「救急系では、服薬に関して無頓着な患者さんの出現割合が非常に高いと思います。複数の開業医さんを掛け持つ形で通っている患者さんの一部は、持病を把握していないので内服薬を理解しておらず、服用に対する意識が低いのでアドヒアランスが低下し、アンコントロールとなって救急車で運ばれる事態に陥ります。非常に悪い言い方になってしまうのですが、こういう患者さんたちは一部の開業医にとって「いいカモ」なのです。取り返しのつかない病気を発症して救急で搬送されてこない限りアドヒアランスを把握できない状況では、しわ寄せが患者さんに向かうばかりです。」

A医師(東京都・救命救急医)
持病・内服薬を理解していない患者を、救急搬送で受け入れるA医師

B医院で抗凝固薬を、Cクリニックで抗血小板剤を処方されて服用している患者Dさんは、どちらの薬も処方理由が分からない。A医師は、薬によって止血の仕組みが二つとも機能しない状態にあるDさんが、脳出血で搬送されてくるのを受け入れる立場だ。絶望的な生命の危機を、搬送先の集中治療室で突然託されてしまうA医師の苦悩は痛々しい。

A医師の談話にあった、アドヒアランスとは何か。日本薬学会によれば、

アドヒアランスとは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること

アドヒアランス | 公益社団法人 日本薬学会

を意味するという。患者に、薬の服用を規則正しく行わない因子があるとすればそれは何か、それを解決するためには何が必要かなどを、医師や薬剤師が患者とともに考え、相談の上で薬の種類や用法用量を決定していくのが、アドヒアランスを高める取り組みだ。

患者のアドヒアランスを高めるよう、医師は日々取り組んでいる

科学的根拠が、悪意なく危険な薬の家庭残存を招く

上述のA医師は、集中治療に従事しているため、ICU外での薬剤処方に携わっていないのが現状だ。外来診療を行わないだけでなく、長期的に服用するような薬を処方する場面がない。では、外来や入院の患者に対して日夜、処方を行っている現場の医師は、日々どのように取り組んでいるのだろうか。アドヒアランスを高める心がけについて、内科医と外科医に話を聞いた。

E医師は、首都圏のがん専門病院に勤務する血液内科医だ。

「血液がんの治療を行なっていますが、高齢者の疾患コントロールでは、少量内服で進行を維持できます。高齢の慢性骨髄性白血病のグリベックなどでは、1錠内服させ副作用の出現を抑えつつ、疾患もコントロールしています。もし更に減らす必要があれば、1日おきの内服でもよいぐらいです。」

E医師(首都圏・血液内科医)

継続的な治療が必要な疾患は、E医師は服薬の必要性を説明したうえで、実際に治療するかは患者の意思に任せることが多いという。
日本ジェネリック製薬協会によれば、

多くの薬を服用することにより副作用などの有害事象を起こすこと

日本ジェネリック製薬協会 | ポリファーマシー

をポリファーマシーという。副作用のみならず、複数の医療機関や診療科が異なる場合などの複数の処方によって、思わぬ飲み合わせの悪さなど、予測不可能な有害事象が起こる可能性が高くなる。服用している薬による有害な反応が新たな病状と誤認され、処方カスケードを引き起こすケースも少なくない。カスケードとは

「小さな連なる滝」を意味しており、1つの薬による副作用が生じ、新たな薬による対処が生まれていくことを図示すると、小さな連なる滝のよう

処方カスケードとは?ポリファーマシーとの関係や薬剤師に求められる対応

になることからこう呼ばれている。いずれも、薬物療法における安全性を高める上で、大切な視点だ。E医師は、複数の内科疾患でかかりつけの高齢者では、必要最低限の薬のみを内服してもらうように、不要な薬剤はなるべく中止しているという。

処方カスケードとは、「小さな連なる滝」のように、副作用を新たな病気と誤認すること

では、外科医の場合はどうか。中部地方の大学病院で泌尿器科に勤務するF医師は

「抗がん剤はともかくとして、投与の際に毎日飲む薬を、1日おきにしても良いよ、などと指示することをルーティンで行っています。どの薬にも言えることですが、何年何十年と続けないですむような方針、例えば前立腺肥大症においては手術療法を積極的に考えるなど、長期戦略を考える上で念頭に置くようにしています。」

F医師(中部地方・泌尿器科医)

と語る。年単位で薬を飲み続けるのではなく、外科医は手術によって病気を根本的に治すことができるのも心強い。薬の数はF医師本人が、量は患者自身の裁量で、減らす心がけを常に行っているとのことだ。

外科医のF医師は、手術によって薬の数を減らすことができる

ここで弊職が内心、気になった点がある。患者が1日おきに服用する薬について、E医師やF医師が2日に1錠分を処方したのなら問題ない。しかし、医師が1日1錠を処方して、患者が2日に1錠服用し、次回予定通りに受診し次の処方をもらったとしたら、受け取った薬のうちの半分は患者の手元に残る計算になる。特に、E医師が例示した白血病治療薬

グリベック

グリベック錠100mgの基本情報|日経メディカル処方薬事典

の副作用の中には、脳や硬膜下、消化管などの出血、消化管穿孔、腫瘍出血、重篤な体液貯留といった症状を引き起こす可能性があるという。

このように副作用の強い薬が、次回処方の際に薬剤師に返却されなかったとしたら、患者の手元に残り家庭でだぶつくことになってしまう。万が一、それらを高齢の配偶者が取り違えて継続して誤飲したとしたら、冒頭に書いたA医師のもとに救急搬送されるような厳しい事態に陥ることも想像できる。

服用する薬の量は、患者の意思に任されることがある

彼らはなぜ、2日に1錠の処方を行わないのだろうか。もちろん、患者が体調に合わせて調整しやすいように配慮している意味合いもあるだろう。上述のグリベックは通常、慢性期の成人患者には1日1回400mg投与するものとされている。グリベックの最小の錠剤は100mgだ。

薬の適切な量は、開発や承認の際に、細胞や動物を用いた実験をもとにシミュレーションを行い、ヒトによる治験を実施して効果や安全性、血中濃度が最大になるタイミングや半減期を示す薬物動態などを確認した上で決められている。つまり、病気を治す適切な量として、効果を示したエビデンスに基づいて薬の用法や用量が定められているのだ。その、効果を示す最低単位と考えられているのが、錠剤の最小量だ。

根拠に基づく医療

EBMとは - EBM・大規模診療データベースサービス | MDV EBM insight

Evidence-Based Medicine(EBM)において、科学的根拠と医師の知見、患者の価値観を総合的に判断して治療方針を決めている。

この際に医療の現場では、治療効果を示す科学的根拠のある最低単位として、主に1日1錠の最小量錠剤を用いている。E医師やF医師が最低量の錠剤を1日1錠分処方するのは、このEBMに則っているからだ。見方を変えれば、EBMに基づいた正しい医療を行っているからこそ、悪意なく家庭内に危険な残薬を生み出しているとも言えるのだ。

古いEBMに基づき、正しい医療で家庭内に危険な残薬を残すジレンマも

Evidence-Based Medicineのデジタル精緻化が急務

では、EBMに基づいて、患者一人ひとりに合った医療を実現するにはどうしたらよいか。薬の血中濃度は、1ml(ミリリットル)あたりng(ナノグラム)、つまり10億分の1グラムの単位で計測され、薬物動態を定量的に示すために必要となる。科学的根拠とされる中には、50年以上前に承認された薬のデータも含まれている。コンピューターのなかった時代には、もちろん、遠心分離機もマイコン制御されていなかった。臨床医は、アナログな計器で測定されたエビデンスを根拠に、令和の今もなお治療せざるを得ない立場にある。

さらに、用法用量が示されているとはいえ、多くの薬は、20代の体重100kg越えの男性も、80代の30kg代の女性も同じ成人という扱いだ。臨床医は、患者の身長・体重といった体格や、肝臓や腎臓の代謝機能、既往歴や薬の服薬履歴まで鑑みて、投薬内容を判断している。判断材料は、検査結果で数値として示される指標ばかりではない。日々、患者が命を預けに訪れるなかで、結局、経験を加味してなんとかやっている状況はいたたまれない。EBMの科学的根拠を再検証し、デジタル技術による精緻化を行うことで、より一人ひとりにあった医療が実現できるはずだ。EBMのデジタル精緻化は、医療現場や医学界の協力を得て、産業界の各メーカーも担えるところが大きいのではないだろうか。

最新のEBMに基づくことで、患者一人ひとりに合った医療を実現できる

「安全な薬」が「可能な限り使用を控える薬」に変わることも

従来は、安全とうたわれていた薬について、時代を経て、弊害が認識されるケースがある。ベンゾジアゼピン受容体作動薬もその1つだ。ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、抗不安薬や睡眠薬としてよく使われてきた薬であるが、常用量で依存が形成されることがわかってきた。次第にその薬無しではいられなくなってしまう依存性や、薬が同じ量では効かなくなってしまう耐性といった、厄介な性質だ。さらに、医師から処方されたとおりの用法用量で、正しく服薬した結果、投薬開始時の症状はなくなったのに、服薬をやめると、もともとの症状に加えて、それまでにはなかった症状までも出現してしまう。
厚生労働省医薬・生活衛生局は、2017年4月に、

催眠鎮静薬、抗不安薬及びてんかん薬の依存性に関わる注意事項について

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000162317.pdf

の安全性情報を発表した。

このなかで、38種類のベンゾジアゼピン受容体作動薬の使用上の注意を改訂し、連用により薬物依存を生じることがあることを指摘し、用量に注意し長期使用を避けることを明記した。
参議院では、薬害エイズ訴訟の川田龍平議員が、2020年1月に

ベンゾジアゼピン系薬物に関する規制強化の実施及び副作用による被害者の救済等に関する請願

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/201/yousi/yo2010020.htm

を行った。このなかで、被害実態の把握や、正確な副作用情報の提供、治療方法の研究などをあげている。
実際に医療機関でも取り組みがある。千代田区にある東京逓信病院の精神科は、

ベンゾジアゼピン受容体作動薬常用量依存

過去のお知らせ - 東京逓信病院

を新たにつくらぬよう、新規の患者には処方しない方針を掲げている。
一方、2018年度の厚生労働省

NDBオープンデータ

【NDB】NDBオープンデータ|厚生労働省

と日本老年薬学会の

「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/list_02.pdf

を突合すると、膨大な処方が行われている実態の1つに「睡眠薬」ベンゾジアゼピン受容体作動薬がある。80~84歳女性に年間約3億6千万錠が処方されているということは、年間を通し1日1錠として98万人、計算上は、80~84歳女性全327万人のうち約30%にものぼる。

特に慎重な投与を要する薬物が、高齢者に膨大な量を処方されている実態がある

国や学会などが注意喚起を促す薬が、実態として、なぜこれだけ膨大に日本で処方されているのだろうか。愁訴や不眠の多い国民性も背景にあるなかで、一番の問題はベンゾジアゼピン受容体作動薬に代わり得る切れのよい薬や治療がないからだ。非ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬は力不足、漢方では証の個人差や顆粒服薬の煩わしさで敬遠されがちだ。

現場の医師が従来の知見を活かして、どれほどEBMに取り組んだとしても、薬の安全性についての認識が変化し、しかも代わりの薬がない、となると、押し寄せる患者に対して、もはや、なす術がない。
2020年6月の試行運用中に演算性能で世界一を記録し、2021年3月に本格稼働したスーパーコンピューター富岳は、新型コロナウイルスの治療薬開発で話題になったとおり、新薬の開発に活用されている。ベンゾジアゼピン受容体作動薬についても、圧倒的な演算能力を活用して、一日も早く、安全で有効な新薬の開発を実現して欲しい。

新たなコンピューティングで新薬の開発へ

健康より大事な仕事はありません

A医師、E医師、F医師には、共通したバックグラウンドがある。彼らは、いずれも医師の家庭に生まれたわけでない。自らの意思で医学を志し、県立高校を卒業後、一般家庭の経済状況で医学部の学費を賄うべく、難関の国公立大学医学部に入学した。内2人は大学浪人も経験している。6年間で卒業した後は大学病院や研究機関、大病院に所属し、勤務医であることも3医師に共通している。彼らは、優秀で心強い、志ある医師たちだ。

苦学で研鑽を積んだ志ある医師たちの学生時代

24時間365日、丸投げされた他人の命を受け止め、訴訟のリスクに脅えつつ、遠距離通勤や単身赴任で36時間勤務をこなしている。論文を書き、後進を指導し、時には病院を変えながら、10年以上のキャリアを経て、ようやく肩書を得れば組織の重責ものしかかる。プライベートでは、年賀状に一枚ずつ手書きコメントをいれての年内投函や、例年であればハワイ旅行の家族サービスまでこなす勤務医たち。医療は彼らにとって仕事であり、健康より大事な仕事はない。弊職は、畏れと祈りの念を込めて、くれぐれもご自身を大切にして頂きたいと願っている。

医師は激務

間に合え!爆発的な致死性を有する前にできること

医師のみならず、薬剤師も厳しい労働環境に置かれていることは間違いない。2025年に向けて厚生労働省が推進している地域包括ケアシステムの取り組みでも、薬剤師による24時間の服薬指導を求めている。コロナ禍でも狭い店舗に押し寄せる患者に調剤を行いながら、限られた薬剤師で服薬指導を充実するにはどうしたらよいのだろうか。

一案として、服薬指導の場を変えて、薬剤師のオンライン在宅勤務で実現することが考えられる。新型コロナウイルスに感染する可能性のある外出を避け、移動時間なくワークライフバランスを高め、薬剤師業務に従事するのだ。薬剤師の在宅勤務の実現は、患者自身や、患者を支える家族や介護ヘルパーにとっても朗報になるものだ。

薬剤師のオンライン在宅勤務の実現を

弊職は、薬剤師の在宅勤務が実現していない現状は、医薬データや患者情報を医療機関や薬局から持ち出すこと自体よりも、「在宅勤務なんてあり得ない」と考える病院・薬局経営者や医師・薬剤師本人の心の壁が最大の要因であると感じている。セキュリティの担保は、IT技術の導入や運用管理をしっかり行えば十分に実現できるものだからだ。

厚生労働省は2021年11月29日、第19回

オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会

オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会|厚生労働省

を開催し、それまでコロナ禍で時限的に解禁していたオンライン初診を、今後は恒常化する方針を了承した。かかりつけ薬剤師の服薬指導は、2022年1月現在、初回は薬局において対面で行うものとされているが、法律の整備は、着々と進んでいる。

新型コロナウイルス感染症(2022年1月当時)

新型コロナウイルスの突然変異が早すぎる。2021年11月に確認されたオミクロン株のように爆発的な感染力を有する変異株が、致死性を有するまでに、人類には、あとどれだけの時間が残されているのだろうか。
一人でも多くの医師や薬剤師が、一刻も早くオンライン環境で在宅勤務できるよう、デジタル環境整備を早急に行うことが肝要だ。持続可能な医療環境の整備が、新型コロナウイルスの変異スピードに勝り、医師や薬剤師をはじめとするエッセンシャルワーカーの命の担保に間に合うことを希求してやまない。


【あとがき】

(講師と講評のご紹介、謝辞)

この原稿は、宣伝会議の編集・ライター養成講座43期受講(2022年1月22日(土)に修了)の卒業制作です。執筆の際は、石川 拓治 先生(ノンフィクションライター)にご指導いただきました。

この卒業制作について、品田 英雄 先生(日経BP総合研究所)から「文面が黒い」という講評を頂きました。全員が大会議室に集った講評の場(修了式)で、私がプロのライターではない、と知って驚かれたのですが、漢字が多すぎるのと、難しいことを難しいままに書いたために、遠くから見ると「文面が黒い」ということでした。
品田先生には、ラスト1,000文字くらいは書くことが尽きて、文章展開が迷走したのも見抜かれたのに加えて、知っていることをすべて書けばよいわけではない、というコメントもいただきました。会社であれば、編集者が読んで書き換えが入るので、同時に、場数を踏むよう、エールもいただきました。
もう一つ、「弊職」という単語についてもご指摘がありました。「弊社」と「小職」を掛け合わせた造語ということで、誤用ではないものの、良い印象を受けない場合があるそうです。

自分としては、2020年度下期の受講当時、コロナ禍の緊急事態宣言も発動されており、世相が黒みがかっていたし、当時だいぶ気負って書いた重みが、いま読み返すと、確かに文面にあらわれていたな、と思います。その反省から、お読み頂きやすくするために、このnoteにはイラストを多用しました(原稿の文言は変えてません)。
この執筆経験を通じて、読者にお金を払って読んでもらうプロの世界の違いを垣間見たとともに、愛読していた日経ビジネスの中の人、品田先生に講評頂いたことで、大きな自信と励みになりました。

直接、ご指導いただきました石川先生、品田先生はじめ、40回にわたる講義の講師の方々には、この編集・ライター養成講座を受講しなければ知り得なかった第一線のプロの技の数々を、惜しみなくご教示いただきまして、約半年間、本当に充実していました。心から感謝申し上げます。
また、宣伝会議の担当者にも素敵な個性があって、いつも親しみやすく相談させていただきました。オンライン環境が不慣れだった頃も、的確にサポート頂き、安心して受講できました。どうもありがとうございました。

何より、同期となった43期の受講生、特に石川先生のCコース(通学)でご一緒したメンバーには感謝でいっぱいです。皆様の存在なしには、6,000文字以上という卒業制作は完成しなかったはずです。その後も、中西飲みや、遠足、文学フリマ出店(私は熱烈ファン側)、記事リリースや著書出版など、折に触れてお声がけいただいています。最近では、43~46期の合同中西飲みにも発展し、細く長い交流の継続が、本当に嬉しいです。

文学フリマ 公式サイト https://bunfree.net/


(所感)

最後に、この記事「薬の量」「オンライン化」の内容そのものについて、私自身の所感を書き留めておきたいと思います。

上述の内容は、実は、誰も間違っていない、と言えます。薬の量は、流通や服用の都合で、現状のように定められておりますし、医師の判断も、正しい医学的根拠に基づいたものです。内心では現状に疑問をもっているのに、「言っても仕方のないこと」として、みんな諦めているかも知れません。

しかし、古い常識のまま、ずっと続けているけれど、実はもっと実情に合ったやり方が既に常識になっていることが、多数あるのではないでしょうか。

走りにくい四角いタイヤは交換しよう

もし、四角いタイヤで走りにくい思いをし続けているのであれば、みんなで走りやすいタイヤに交換したほうがよいのです。本稿の場合ですと、薬の量について、もっと患者一人ひとりに合わせる方法として、betterなやり方はあるのですが、決定的に実現したいbestな方法は見つかりませんでした。
しかし、薬の処方や流通について、有識者はもっとよい実現方法を知っておられるのではないでしょうか。

オンライン化については、執筆した時点より、社会実装が進んだことを実感しています。それでも、ここが変だよ日本、の最たる点の一つとして、医師の当直明けで深夜残業、36時間勤務の実態があります。外科的な手当てを要する病気やケガの場合、深夜急患として病院に搬送する必要があるのは間違いありません。
でも、オンラインで自宅から診てもらうことで翌朝、次の診察時間まで待てる患者も、まだまだ数多く深夜急患に向かっている現状があります。オンライン診療がもっと普及すれば、医師が自宅からリモートで当直対応できる場合が広がるでしょう。自宅で家族と食事し、より良い休息がとれる勤務形態になれば、医師の Life of Quality が向上します。少子高齢化で過疎化に悩む地方の医師不足にも、新たな解決策につながるはずです。

「包括的な解決」とは、逃げ口上ではなく、全員参加への呼びかけです。

「言っても仕方のないこと」として、
みんな諦めているのが現状、であれば

医療DXについて|厚生労働省

その諦めを、心の深淵にある願いの実現へと、
みんなで変えてみませんか?


(掲載:2024年10月20日)



画像は「いらすとや」から頂きました。ありがとうございました。

かわいいフリー素材集 いらすとや


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