ナラ、ヒバ、スギ
どこからでなしにいなわらを焼くにおいがし
ここでないところの植生をおもう
いまごろ
ならの葉と川の水の転がるようなおとが
入射角の穏やかな光線によって
やまのおなかの深いところで
ひがないちにち、
金色に揺れているはずなのだった
小さくはあるが
一ぱしに灯し続ける夜を持った
街かどの道ぱたでそれを思うとき
山の深さはシャシンの中で
ひぐれに熟し だんだんと冷え
しかくなまどから見える
3本きりのでんせんは
ヒバやスギが作ったくろい影の上で
大きなため息が和音になる風と
あおいよるにゆっくり揺れる