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月光蟲

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不定期執筆中のホラー小説 人に取り憑く蟲「月光蟲」をめぐる物語
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【小説】月光蟲

【小説】月光蟲

#1

とある町の森の奥深く、開けた場所に1台のキャンピングカーが停まっていた。クリーム色の車体は薄汚れて塗装がところどころ剥げている。

仁礼野は遮光カーテンをひいていても眩しい窓の外の明るさで目を覚ました。自分が横になったソファのそばにあるテーブルの上の目覚まし時計の文字盤は午前2時をさしている。

「……あ、旦那。目が覚めましたか。気分はどうです?」

仁礼野がいるソファの反対側から気づかう

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