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Amazonで自社ブランドを販売すべきか_ハーバードビジネスレビュー

 この記事は、ダイヤモンド社が発行するビジネス誌”ハーバードビジネスレビュー”の内容をざっくりと紹介するものです。2022年12月号は「プラットフォームを戦略的に活用する」というテーマでした。特集の中の「アマゾンで自社ブランドを販売すべきか」という論文を取り上げていきます。

 いつも大企業の経営側の視点に立っているハーバードビジネスレビューですが、今回の話題は私たち個人にもかなり身近な内容でした。売り手側の企業が、Amazonをはじめとしたプラットフォームとどう付き合うかについてです。

Amazonで商品を売るかどうか、それが問題だ


 ご存じのとおり、Amazonは世界最大のECのプラットフォームで、何かをインターネットで買おうと思ったらまずAmazonを開くという人も多いと思います。ただし、売り手側からすると、Amazonで自分たちの商品を売るかっどうかはなかなか悩ましい問題なのだそうです。

 当然ながら、Amazonに商品を載せると多くの人の目に留まるため、売上が増える可能性が高いです。「魚を釣りたければ魚がいるところに行け」です。また、自社で流通網を持たない中小企業や、新参で既にある伝統的な流通網に入り込めないような企業にとっても、Amazonでの販売であればすぐに簡単に始める事ができます。何かを販売する企業にとってはとても手軽で、効果の高い選択肢です

 一方で、Amazonに自社商品を載せることで発生するデメリットもあります。

かさむAmazon税

 当然ながら、Amazonのようなプラットフォームを利用するとお金がかかります。商品が売れると売上に対して一定の割合でお金を払う必要があります。また、配送もAmazonに依頼する場合には、配送料と倉庫の保管料もかかります。業者側は卸売価格でAmazonに納品し、価格決定権はAmazonにあるそうです。当然ながらサイト上でプロモーションをしてもらうためにはAmazonに広告料を払う必要があります。こうした費用はリアルな店舗に依頼して売ってもらう場合でもかかるのですが、Amazonの場合は多くのお金の主導権をAmazon側に握られてしまいます。

限られるお客さんの情報

 リアルな店舗で直接販売していれば、どんな人がどういう形で自分たちの商品を買ったのか、その都度データが蓄積されます。しかしAmazonから企業に提供されるお客様の情報は限られています。

並列に並ぶ怪しい品物たち

 また 日常的にAmazonで買い物をする人は感じる人もいると思いますが、Amazonでの買い物は結構リテラシーが問われますよね。日本語がおかしい、何となく怪しげな商品もたまに混じっています。有名なブランドの正規品に混じって、そのニセモノやパクリのような品物が売られていることもあります。 ちゃんとしたものかを確認するためにレビューを見ても、今度はレビューにもやらせが混じっていると言われます。

 百貨店のようなリアルな店舗で販売する場合、通常こういう事は起こりません。それは百貨店が何を売るかを選んでいるからです。Amazonは何を売るかを選んでいないので、誰でも簡単に出品ができて効率的な反面、ちゃんとしたものから怪しいものまで何でもありの状態になっています。

 消費者は通常、買いたいもののカテゴリーで検索をするため、よっぽど指名買いされるブランドでない限り、競合品(時に偽物やパクリを含む)と横並びで比較され、価格競争に陥りがちです。 それを避けるために、ブランドストーリーや商品の説明をサイト上に載せようとしても、Amazonのサイトの作りがそれを許しません。ブランドのロゴを表示すること1つをとっても、多くの制約があります。売り方の自由度が低いのです。

 こうしたメリット・デメリットをひっくるめて、自社の商品はAmazonで売るべきなのか、そうではないのか、企業側は悩ましい判断を迫られます。

モノは売れるけど、コトは売れない

 Amazonはとても便利で私たちの買い物環境を大きく変えました。でも売る方も買う方も、Amazonを使う喜びや、買物の楽しみはあまりないのではないでしょうか。モノを効率的に売ることには優れていても、コトを売る事には不向きだと言えるでしょう。コトを売るためには例えば自社でオウンドメディアを運営するなど、Amazonとは違う場所で方策を考える必要があります。個人の好みを反映したオーダーメードや、カスタマイズもAmazonが苦手とする領域で、こういったコト消費に近くなるほど、Amazonではなく自社のサイトやリアルな店舗で丁寧に対応する必要があります。 

Amazonを利用する

 論文では、 当てはまる項目にチェックをつけていくとAmazonで自社製品を販売すべきかどうか判定することができるスコアカードが掲載されています。

 ただし、現実はAmazonで商品を売るか売らないかの単純な2択ではありません。もっと戦略的にAmazonを利用している企業もいます。例えば、Amazonでいくつかの商品を販売して認知度を高めつつ、自社サイトを訪れてくれるような動線を作って、自社サイトから本命商品を買ってもらう戦略を描く企業もあります。

 何のためにAmazonで販売するかという目的を定めることが大事なのでしょう。 短期的に売り上げを伸ばしたいのか、商品の知名度を上げたいのか、新製品のテストマーケティングをしたいのか、Amazonを取っ掛かりに自社のECサイトにお客さんに来て欲しいのか、Amazonに出品するメリットとデメリットをよく考えた上で、まさに「プラットフォームを戦略的に活用する」必要があるのです。

 ハーバードビジネスレビュー勉強会(HBR勉強会)は、毎月第2土曜日にZoomを使用したオンラインで開催しています。事前準備ゼロで参加できるので、お気軽にお申し込み下さい。

詳細はリンク先のPeatixからご確認ください。皆様のご参加をおまちしています。

今回紹介した論文を読みたい方はこちらからどうぞ(Amazonリンクへ飛びます)

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