本の題に、唸る・・・
ある古本屋さんの棚を眺めていると一冊の新書に目が止まりました。
『好きになられる能力』という題です。思わず頭の中で唸ってしまいました。
この本の題からは、自分が他者のことを好きになるのではなく、第三者から好かれる、第三者が自分のことを好きになる、そういうことになるには身に付けなければならない能力があります、といっているように思います。
(「人に/人から好かれる能力」のような題では良くなかったのでしょう)
「なられる」という表現。
「好きになる」では第一人称(自分)の気持ち。
「られる」は尊敬・受け身・可能を表す助動詞。動詞の未然形につきます。
「なる」は五段動詞。未然形は「なら」
(ならない・なります・なる・なれば・なろう・なれ )
「好きにならられる」になると思うのです。
「ら」が続きますので不自然な表現かと思われるかもしれません。
(それともこれは意図的に「ら」を省略されたのか・・・)
文法的に正しくても、わかりにくい表現はあります。
わかりやすく、誤解の生じない表現が大切ではありますが、見慣れない、聞き慣れない表現を避けるのも大事かもしれません。
「なられる」一語で、なんとなく、受け身と可能を表そうとされたのかなといった妙な気までしてしました。
「○○○(の)力」という題の本が多く出版されていますが、今少しの工夫が、と思ってしまうのは、私だけでしょうか。
(この本は購入しませんでした)