今回の読書対象は Alan Sillitoe の短編 "Noah's Ark" です。これは下に示すインターネット・サイトに無償公開されている短編集 "The Long-Distance Runner" に収載されている一遍です。
https://ia801907.us.archive.org/29/items/AlanSillitoeTheLonelinessOfTheLongDistanceRunner/Alan-Sillitoe-The-Loneliness-of-the-Long-Distance-Runner.pdf
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短編の舞台は年に一度のお祭りで賑わう人込み、そこに建てられた移動式の回転木馬のステージです。Nottingham 市の名物とされる Goose Fair がそのお祭りです。
このお祭りは毎年 10 月に開かれます。夜遅くまで屋外を彷徨っていても寒すぎることはない季節が舞台です。10 才の Colin は 11 才の従兄の Bert と学校以外の時間を過ごすことが多かったようです。 この日は二人でお祭りに出かけます。当時(英国が戦争に勝利したといっても国中の産業が未だ回復できず、大勢が貧困に苦しんでいる社会です)にはよくあったのでしょうが、二人共殆どお小遣いのお金は持っていません。
Colin は一歳年下ですが、跳び級のせいで Bert よりも一学年上のクラスにいるという設定も面白い所です。
この短編最後の最後の部分、自分たちにできる最大の工夫をこらして、大人に見るものを見せようと悪戯をして、捕まらずに逃げおおすことができました。お祭りからの帰る道すがら、しかし時刻は真夜中の12時も過ぎる頃です。それでも大声で歌いたくもなります。
まじめな性格の Colin にとってはやはり悪いことをしたこと、大人に摑まることだけは何とか免れたものの心の中では悔いが残って消えないのでしょう。 原文は次の通りです。
この引用した部分にある歌、”Rule Britannia” は Wikipedia のサイトに記載があります。曲も歌詞も聞いて見る事ができます。私はドキッとすると同時に、この短編が一層好きになりました。
Study Notes の無償公開
この短編、"Noah's Ark" の全編に対応する私の Study Note を公開します。いつもの通り、A-5 サイズの用紙に両面印刷することを前提に調製しています。