超常現象研究会 活動記録 コックリさん肆
not Aflac 作
肆.
悟が部室に入ってきた時、沙織と弘の二人がノートパソコンを神妙な面持ちで覗き込んでいた。二人は悟が部室に来たことさえ気づかないほど真剣だ。何を見ているのか気になり悟が弘の肩に手を置くと、びくりと弘が肩を震わす。そんなに驚くこともないだろうと思いながらも何を見ているのかと確認してみたところ超常現象研究会のページについている掲示板である。
二人して何を真剣に見ているのかと聞くと、二人は連なった数個の投稿を指さした。
文字化けしたハンドルネームに書き込まれている内容は・・・
誰も気づいてくれない
誰か気づいて
一人は怖い
助けて
そのような内容の投稿が続いていた。いつもの弘ならそんなにも真剣に見入るものでもないはずなのだが、弘は本気でこの投稿を信じているようだ。
「こんなのいたずらだろう? 」
と弘が言うと、弘がぽつりぽつりと話を始めた。
「昨日から変なんだよ。誰かに付け回されているような感覚があって。夜寝ようとするとどこからかかすかに声が聞こえるんだ。」
いつも心霊話を信じず笑って聞いている弘が肩を震わしながら話を続ける。
「ヒタ、ヒタ、と足音が俺の後ろをついて回るんだよ。」
それを聞いた沙織が、驚いた顔をして弘のほうを見ている。その目は弘の話している話を全て信用しているようで、あたかも自分も同じ体験をしているような、そんな顔だ。それを見た悟は、沙織にそのことを聞くとどこかおびえた顔をしながら小さく頷いた。
だが、二人の話から狐の面をかぶった人影についての話題が出ることはなかった。
「ねえ、悟君。これって何なのかな。私たち何か悪いものでも憑いちゃったのかな。」
体を小刻みに震わしながら聞く沙織に弘は昨日の帰宅中の出来事を話すことができなかった。あまりにおびえる二人をそのまま返すこともできず、その日は明るいうちに三人一緒に帰宅することになった。