体がどもる
映画『ぼくのお日さま』を見た。『ナミビアの砂漠』と迷ったけれど、妻と相談してこちらに。
とても良かった。最後は泣きそうになった。荒川の立場が切なく感じたのは僕が大人だからなのか。
さくらが荒川にぶつけた「あの一言」は今の時代では許せないものかもしれないけれど、中学生なりの潔癖さからくる言葉なのだと納得しようとすることも、今の僕にはできて。
長内那由多さんのポッドキャストでは、タクヤがさくらに一目惚れをした、というような捉え方をしていた。僕の捉え方は少し違っていて、タクヤが一目惚れしたのはさくらではなくてフィギュアスケートだったのではないかと。
それまでは言葉だけでなく、動きにも「どもり」があったタクヤが、フィギュアスケートと出会って、荒川に教わることで動きの「どもり」がなくなっていく。その過程を時間をかけて描いていたのがとても印象的だった。
もちろん、さくらに一目惚れをしたという見方もできる。荒川はそう捉えたのだろうなーと思う。だからタクヤに声をかけて、さくらとペアを組ませた。それは勘違いだったのかもしれないけれど、その勘違いがタクヤの心を解き放ったのは間違いなくて。さらに、さくらの気持ちも動かして。
動いた結果は荒川には苦いものになってしまったけれど、タクヤにとっては?
さくらにとっては?
タクヤやさくらと同じ年齢のときに北海道で過ごした僕にとって、スクリーンに映し出される冬の眩しさ(外の雪景色だけでなく、スケートリンクに差し込む光も)や一気に訪れる春の緑はとても懐かしいものに感じた。子どもの頃はその美しさを言葉にすることもなかったけれど、今は「美しい」と言葉にすることができる。でも、その言葉だけでは表せないものがあるのも確か。映画はそれが表現できる。
映画を見るようになって一年と少し。この映画に出会えて良かった。
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