どうした!?チャステイン! 映画『355』
2024年8月5日
前から見ようと思っていたけれど、どうにも評価が芳しくない。いや、人の評価など気にするつもりもないのだけれどー、と思っていた映画を見た。
いや、これはどうしたものか評判通りの駄……、やっぱり人の評価に影響されてしまうのか自分……。
映画『355』(2022年)
南米の犯罪組織が、あらゆるシステムを攻撃できるデジタル・デバイスを開発。そのデバイスが国際テロリストの手に渡り、世界は危機に瀕する。その危機を回避しようと世界中の女性スパイが集結する。
メンバーをご紹介しましょう。
アメリカCIAからは最強の女性エージェント、メイス(ジェシカ・チャステイン)
同僚で恋仲のニックと仮想夫婦として現地に潜入。がいちゃこらしている間に事件が発生。
ドイツからはBNDの工作員マリー(ダイアン・クルーガー)
CIAとは別にこのデバイスを追っており、当初メイスと交戦。が、協力することに。
イギリスからはMI6のハディージャ(ルピタ・ニョンゴ)
メイスとは旧知の仲。サイバーインテリジェンスの専門家。めちゃ有能。
そしてコロンビアからはDNIのグラシエラ(ペネロペ・クルス)
本業は心理学者で戦闘員としての訓練は受けていない、と、おどおど。らしくない。
この充実のキャストでド派手なアクションもあるのに全然ワクワクしない。見せ場のひとつがオークション会場ってのもいかにもな感じで『オーシャンズ8』のメットガラと比べる気にもならない。とにかく全体的に安っぽい。
ペネロペ・クルスの普段使いってどういうことよ?最後まで「実はテロ組織のー」を期待してしまった。
ダイアン・クルーガーとルピタ・ニョンゴはまずまず、といっても特別光るものもない。
結局、美味しいところを持っていったのはヤマ場で参戦する中国のエージェントのファン・ビンビン。ほぼ一人勝ち。
なんといっても問題はジェシカ・チャステインですよ。
『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年)『女神の見えざる手』(2016年)などでクールな魅力を見せつけたチャステインが本作ではドタバタ。
が、この映画はチャステイン自身も製作に加わり、というか「こういうのを作りたい」と主導した肝入りの作品。なので余人の低評価に「なぜ?」という気がしていたが、なるほど、と思わざるを得なかった。チャステインはこうじゃない。もっとクールにキメてほしかった。
さらに不運は重なるもので、この映画を見た環境がマズかった。
普段はプロジェクター+スクリーンで映画を見ているのだけど、この日はTV(のちに気づく「標準モード」)で鑑賞。とてもきれいな映像に最初から違和感がー。
技術的なことはサッパリ理解できないんだけれど、最近のTVは勝手に表示可能なコマ数(フレームレート)を上げてスムーズな映像を作り出すという。
不気味なほどくどいメロドラマ風な印象(そう!そのとおり)から「ソープオペラ効果」とか「ヌルヌル変換」と呼ばれていると。
試しに「映画モード」に変更して見直してみるとー。
違う!印象がぜんぜん違う!もちろん不満な点はあるにしても映画全体の安っぽい印象は解消。普通に見ることができた。
昔のTVは「映画モード」にすると画像が暗いだけで、なんでこんな機能があるの?と思っていたけれど、最近のTVは「標準モード」の映像がキレイすぎることを実感。映像の質感一つで作品の印象がこうも違うのかと思い知った。
チャステインのせいだけじゃなかった……。