蓮ノ空を想う金沢・名古屋旅行記——スタンプラリーと3rdライブスリブ昼公演を振り返る



はじめに

 去月は一つの記事も出さないままに過ごしてしまった。修士課程を修了しようとする身として悠長に構えている場合ではないのだが、さりとて不特定多数の読者を念頭に置いた書き物を何もしないというのも、心が落ち着かない。そこで、手慰みも兼ねつつ11/29から12/1にかけて行った金沢・名古屋旅行について記そうと思う。
 これまでの旅行記は、己の発作的筆不精が邪魔をしてことごとく途絶してしまっている。同じ轍は踏まないために、旅行の合間から書き始めることを思い立った。現に今、この文章は宿泊先の東横イン金沢兼六園香林坊の一室で綴り始めている。横には、スリーズブーケSpecial Thanksを再生している時間で待たされているカップヌードルが置いてある。旅行初日の11/29から、さっそく誘惑に負けている。

スリーズブーケSpecial Thanksは再生時間が3:26なので、
イントロを味わいながらゆっくりとお湯を注ぐと、曲終わりでラーメンが完成する。

 いきなり旅情の欠片もない画像を貼ってしまったが、これも年甲斐の無さと思って一笑に付していきたい。
 因みに今回の旅行には、同行者としてKBM同期のゆさがいる。彼には六月末に敢行した金沢旅行でも大変お世話になったが、今回も旅程の万端について丁寧に心配りをしてくれた。何度語っても言い尽くせない程、彼には感謝している。重ね重ね、本当にありがとう。
 それでは、旅行の内実についてなるたけ細かに綴っていく。

初日(11/29)

金沢到着前

 金曜なので、大学院での演習を受ける。他の院生による修論に関する発表を聴くだけであったので、ほとんど疲労はない。むしろ、いつもより講義は早めに切り上がって、博士課程の方二人と雑談をするくらいの余裕があった。
 雑談も程々にして、大学を出る。秋葉原にゆさがいるということで、彼がいるゲームパニック秋葉原店へ向かう。地元からボルテのあるゲームセンターが消え失せているため、こういった機会でないとボルテを触ることすらできないので、旅行前であることを度外視する勢いでプレイする。
 久々にしては悪くなかった。ゆさとはマッチングを二回した後、MEGAMIX BATTLEをする。これもご無沙汰だが、ゲーパニの鍵盤は自分好みの軽い設定であったため、地力通りのプレイが出来た気がする。結果は以下の通りである。

選曲でゆさに配慮してもらってはいるがいい勝負だった、と思う。

 最後のKiLLeR MeRMaiDをものにした方が勝ちになる接戦だった。やはり、音楽ゲームは自分にとって末永く味わえる趣味である。これからも、その味わいを失わないゲーム性であってほしいと願いつつ、自分がそのゲーム性に一喜一憂できる感性を保てるようでありたい。
 程なくして秋葉原を出て、東京へ。混雑する地下の売店を歩きながらも、移動中に食べる駅弁を購入する。私はハンバーグ弁当にした。やや値は張ったが、このような場で変に吝嗇ぶりを発揮しても仕方ないと思い、踏み切った。
 新幹線のホームへ向かう。乗車したのはかがやき549号 金沢行である。乗って暫くしてから、弁当を食べ始める。ハンバーグ弁当は値段相応の美味しさだったが、ご飯の量にやや物足りなさを覚える。これが、カップヌードルの伏線になった。
 想定よりも早く金沢に着いたため、道中で何かをしたという感じにはならなかった。私は少し前のWith×MEETSで吟子が紹介していた三宅香帆『「好き」を言語化する技術』を流し見で読了した後、持参していた小説をだらだらと読んでいた。ゆさは、ライグラ——蓮ノ空の基幹アプリであるLink!Like!ラブライブ!で行われるイベント、ライブグランプリの略——をやったり、蓮ノ空のコミカライズ作品である『ラブライブ! flowers*―蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ―』を読むなどしていた。
 金沢には須臾にして着いたような感覚になった。新幹線の車窓から見える風景からは、やや雨に濡れた車道が垣間見えただけだが、大雨が降っているようには映らなかったので、勝手に安堵していた。予報では、この旅行で金沢に滞在する間は雨が降り通りであったと見ていたため、運が味方としたと早合点していた。

金沢到着

 いざ着いてホームを降りると、北陸の寒さに出迎えられる。しかし、念を入れて厚着をしてきたためか、そう堪えるものではなかった。近年、特に皮下脂肪がついてきたことも関係しているのだろうか。嬉しいようで、根本は悲しい。

改札を出てすぐの光景。なぜ、ホームや改札口を撮らないのか。
事前に予約していた名古屋行のチケットを発券するゆさ。お世話になりっ放しである。

 いざ、駅を出て外を見ると……

降っとるやんけ。

 横殴りの雨。 

 鼓門のライトアップよりも水しぶきの音に二人してげんなりする。駅から宿泊先のホテルまではそれなりに距離があったので、タクシーを使って移動する。

相変わらず、鼓門は壮観である。
タクシーの列。宜なるかな。
タクシーに乗ると、吉田鋼太郎がお出迎え。ありがたいねえ(山口コンボイ)。

 そして、無事に宿泊先の東横イン金沢兼六園香林坊へ到着。

泊まる一室とゆさ。私の汚いバッグが目立つ。

 一旦荷物を置いてから、明日の用意なども兼ねてコンビニを目指す緩い外出をする。
 行きの時点で雨はほとんど降っておらず、かなり快適だった。しかし、水たまりが散在していて自分としては苦しかった。というのも、自分が最も履き慣れているスニーカーは底の部分が壊れているせいで、僅かな水たまりでも瞬く間に水が浸透してしまい、靴下が濡れるのである。早く買い替えるべきだが、馬鹿なので無視をし続けた結果、金沢旅行でも靴下を濡らした。救いようのない愚物である。
 そして愚物は、夕飯が足りなかったことを思い、コンビニでカップヌードルに易々と手を伸ばしてしまう。近頃は食欲が俄かに盛り上がりつつあって、大変よろしくない。三十手前で食生活を気にしなかった結果として、どのような体型が待ち受けているのかを想像すると、恐ろしい。ただし、レジに運ぶ時の己にそうした危機感は露も湧きおこらなかった。これも愚物たる所以である。

立ち寄ったローソン。居抜きらしい変わった外観をしている。
夜の香林坊。クリスマスも間近とあって、イルミネーションが映える。

 まだ金沢入りを果たしただけで、色々と散策するのは明日からであるのにこの分量である。明日以降に筆を動かすのが酷く億劫になる自分が容易に想像されて、胃に重石を載せられたような思いになる。今回こそは書き切りたいので、億劫を手際よく斥けていきたい。

二日目(11/30)

朝から正午にかけて

 午前八時に起床。相変わらず、寝床が変わると十分に眠れない体質が遺憾なく発揮されてしまった。鼻づまりは治っていない。夜半もゆさに申し訳ないと思いながら、幾度も鼻をかんだ。
 朝食は、東横インのビュッフェを利用した。格別の期待はせずにロビーへ降りると、長蛇の列ができている。これが何とビュッフェの列であった。
 思えば、今回泊まっている東横イン金沢兼六園香林坊は大きい部類で、移動用のエレベーターが三機もあるのが何よりの証左であろう(通常は一機しかない)。宿泊客が多いのも無理からぬ話である。
 そして肝心のビュッフェであるが、今回はいつも以上に豪華であった。金沢の白米とカレー、サラダ、クロワッサン、ミニオムレツ、ソーセージにポテトと、充実した内容に朝から健啖をそそられた結果、何の顧慮もなしに食べたいだけ皿に盛りつけてしまう。

いつもは午前中に起きられず、朝食を抜かす人間が食う量ではない。

 旅行中の状態とは不思議なもので、普段はろくろく食べない、何なら食べることの方が珍しい朝食において、並み以上の量を苦も無く食べ切ってしまう。個人的にやや不安はあったものの、全くの杞憂だった。
 朝食を済まし、部屋で少しのんびりした後、ホテルを出る。今回の金沢旅行は何と言っても、ちょうど11/30から始まる石川県内スタンプラリー第三弾を一日で回り切ることが目的である。前回のスタンプラリーからはスタンプの設置場所が三つ増えて——蓮ノ空の新一年生三人が加わったことに対応している——九つになっていることからも、行程の容易ならぬ様は既に覚悟されていた。しかのみならず、天候も優れないという予報と来ている。とにもかくにも、やり切らねばならない。
 

ホテルを出てすぐの場面。曇り空だが、雨は降っていなかった。

 幸い、出発時点で雨は降っていなかったので、このままの足で最初は加賀友禅の工房である茜やのアーカイブギャラリーに向かう。向かうついでに、四高記念公園へ立ち寄る。十一月末にも拘わらず、鮮やかな紅葉を眺める機会に恵まれた。公園内に広がる森閑さは、都会暮らしではそうそう体感できない。

青空も見え、幸先は良いように思われた。
四高記念文化交流館は休業中。一刻も早い再開を願うばかり。
茜やまでの道中にある堅町通り。活動記録でもお馴染みの場所である。
竪町通りに吟子綴理小鈴の三人がいる場面。
活動記録 2024年第8話『Not a marionette』のPART 4より。

 雨には降られないまま、無事に茜やへ到着。茜やはスタンプの設置されている場所ではないものの、吟子の手ぬぐいが新たに販売されていること、そして折角ならば染め体験をしようとゆさと二人で決めたことが要因となって、朝一番に向かった。今回で二度目だったが、お店の方には顔を覚えてもらえていたようで嬉しかった。
 挑戦したのは、きんちゃく染め分け体験である。用意された型紙を使って、きんちゃくに様々な模様を塗り付けていく。色の作り方や濃淡の出し方、また構図決定の難しさに頭を悩ましながらも、自分なりに挑戦をしてみた。いざ完成したものを見ると、いわゆる日本画の名品に見られる余白の上手い使い方とは程遠いが、やはり自分でこさえただけあって愛着が湧く。ただし、配列には後悔が少なからずあるので、次回があればもう一度試みたい。朝から、とても楽しい時間を送ることができた。

茜やアーカイブギャラリーの正面。
色々なことに挑戦しようとする綴理が、吟子に連れられて茜やに行く場面。お供に小鈴がいる。
活動記録 2024年第8話『Not a marionette』のPART 4より。 
きんちゃくと使用する筆と染料五色。
このような型紙を重ね、その上から染料の付いた筆で模様を入れる。
私のきんちゃく、こちらは表。
こちらは裏。竹がもう少し左下であるべきだった。燕も左に寄り過ぎているか。
吟子の手ぬぐいと、吟子のイメージカラーである水色とアイコンの鶴をあしらった手ぬぐい。

 染め体験を終え、お目当てである吟子の手ぬぐいを購入して外を見ると、酷い雨が降っている。「弁当忘れても傘忘れるな」という言い伝えは伊達ではない。清々しい青色が見えた空には、重々しい雲の緞帳が降ろされていた。バスの移動が主であるとは言えども、合間合間に徒歩を挟むので、苦しい行軍を迫られることとなった。
 そして、ここでその後の天気模様をあらかじめ記しておくと、降っては止みの往復に五回ほどやられた。降る時は激しく降り、止む時は一粒も落ちず、時には青空が姿を現すほどであったため、非常な揺さぶり方に私とゆさは翻弄された。

茜やの目の前の路面。もう、ずぶ濡れです。
天気が雨ではレンタサイクルに希望はない。バスに頼らざるを得ない。

 バスに乗って、一旦金沢駅まで引き返す。これは駅のそばにある商業施設・金沢フォーラスの中にある金沢ゲーマーズへ行くためである。ゲーマーズはスタンプラリーの台紙を配布場所であるだけでなく、一個目のスタンプ設置場所でもある。スタンプラリーを始めるとすれば、ここに限る。
 店内はコラボ初日ということで、規制入店を実施していた。私たちはあくまで台紙とスタンプ押印が目的であったため、店内の様子を尻目に用事を淡々と済ませる。

店頭では、地元のFCであるツエーゲン金沢のユニフォームを着たメンバー九人がお出迎え。
一個目のスタンプを入手。
スタンプラリー初日であるのと、押し方の強さが原因でインクが実に濃くなっている。

 フォーラスを出ると雨は上がっている。ここからはスタンプ回収を基軸としつつも、寄りたい所に上手く寄っていく流れである。金沢発のバスへ乗り、スタンプ設置場所の密集するエリアまで移動する。丁度良い停車場である橋場町で降りると、また雨。ASKAは「はじまりはいつも雨」と歌っていたが、こう降っているとうんざりして嫌、嫌、嫌になるのではないか。

浅野川大橋から臨む浅野川。脇の紅葉は美しいが、川は濁流そのもの。

 雨の中を歩いて、スタンプ設置場所である金沢市立安江金箔工芸館金沢蓄音器館を続けて訪う。いずれも前回の金沢旅行でも足を運んでおり、前者は今回のスタンプラリーで新たにスタンプが設置された。我々には先見の明があったのかもしれない。
 時間の都合上、この二つの施設はスタンプを押すだけで退散することとなった。前回は時間を存分に使って堪能し、その良さをよく分かっているだけに断腸の思いで後にした。

金箔工芸館姫芽
蓄音機館さやか

 蓄音機館を出てバス停に向かっていると、俄かに晴れだした。ただ雨があがっただけでなく、強い日差しが照り付けて来るので、金沢らしくない暑さを覚えた。これは風が自分達に向いた証だと自惚れたくなる程の快い晴れ具合であったため、後で裏切られた時はしっかりと悲しかった。

橋場町での快晴。束の間の恵みに過ぎなかったのか。

図書館を満喫

 次に向かったのは、石川県立図書館。九つのスタンプ設置場所には含まれてはいないものの、エクストラスポットとして指定されており、コラボ内容は多岐に及ぶ。
 前回の旅行でも図書館は満喫していたが、今回も目玉の観光スポットとして位置付けていた。それだけに、図書館内のカフェで提供されるコラボメニューでスリーズブーケのものだけが完売していたのは手痛い仕打ちであった。止むを得ず、昼食としてみらくらぱーく!のセットを注文するが、これは実に美味しかったので、結果としては大満足だった。ただ、セットについてきたクリームソーダを飲み干して暫く、甘さのせいで胸やけに悩まされた。平素はほとんどお茶しか飲まない人種であるため、過度の甘さには抵抗がない。己は弱い存在である。

石川県立図書館にある入口の一つ。
コラボで設置されているパネルの一つ、スリーズブーケの集合パネル。
もう一つのパネルは、眼鏡をかけた花帆
本好きだけあって、石川県立図書館とのコラボでは前面に押し出されている。
こちらが、みらくらぱーく!セット。
104期のみらぱを彷彿とさせる、見るからに多幸感の溢れるジャンキーな組み合わせ。
どれも美味しかったが、特にベイクドチーズケーキは格別。強くお勧めする。
コラボメニューを頼むと、ユニットのコースターに加えて個々のコースターがランダムで貰える。
何と、私は綴理ゆささやかだったので、図らずも103期DOLLCHESTRAが完成。
それでは聴いてください、AWOKE。Be myself 解き放つ意思が(以下略)
カフェ内にあるコラボのミニパネル。コースターの絵柄と同じもの。
吟子のパネル。七冊の本を抱えて慌ただしそうにしている。

 昼飯を済ませた後は、図書館巡り。コラボ展示も見つつ、私はもし自分が百生吟子だった場合に、抱えている七冊の本は何だろうという妄想に耽りながら、その七冊に相応しい本を棚から嬉々として選び出した。そして、選び出した後、椅子に腰かけて七冊を漫然と流し読みする。いくらのんびりするとは言え、後が控えているので味読は叶わない。帰宅した後も気になって続きを読もうと思えるように種を蒔くような感覚で、頁を繰っていた。

私が吟子だった場合に運んでいる七冊。
大学院生としての専攻分野に偏った選択になっている。
花帆のお勧め紹介その一。『有頂天家族』だけ読んだことがある。
花帆のお勧め紹介その二。こちらに関しては、一冊も読んだことがない。
周りがハリー・ポッターダレンシャンに興奮する中、小学生の私は読書嫌いで記述嫌いだった。

 石川県立図書館でのお目当ては何もコラボメニューだけではない。今回のコラボでは、何と館内アナウンスで花帆が喋ることになっている。訪問時間から考えて、花帆のアナウンスが流れる最も近い時刻は午後三時だったため、それまではのんびりと過ごし、アナウンスを細大漏らさず聴いてから次の場所へ移動するという算段だった。
 アナウンスは落ち着いた調子で、パネルで眼鏡をかけている姿のように大人びた様子を台詞の一言一言から感じさせられた。
 前回の訪問でも思ったことだが、蔵書の網羅具合や展示方法は他の公立図書館に比べて抜けた所がある。コラボがあるので一層楽しいが、なかったとしても純粋に本棚を眺めて渉猟し続けるだけでも一日を使い切る自信がある。自分にとっては、何回行こうとも楽しさの失われない施設だと断言できる。

スタンプ集めに奔走

 図書館で十二分に心を寛げた後は、いよいよスタンプラリーである。バスで移動した後、まずは金沢くらしの博物館へ。展示内容は事前に何となく調べていたが、新しく訪問する場所の中ではかなりの期待感を持っていた。そして、その期待感は裏切られるどころか、想像以上に食指を動かされる展示で満載だった。
 くらしの博物館はかつて存在した旧制中学である石川県第二中学校の木造校舎——国指定の重要文化財である——を活用した博物館で、当時の学校現場がどういったものかを知る上で貴重な資料が多く残されている。かつての教室の様子、使われた教科書、五つ玉の算盤など、どれも腰を据えて眺めていたくなるものばかり。
 展示は旧制中学に留まらず、かつての日本の暮らし一般にも光を当てている。例えば、紐で回す独楽やメンコなどの遊び道具が体験コーナーに置かれていたので、ゆさと二人して遊びに興じた。残念ながら、独楽は回せず、メンコは上手く裏返せなかった。
 企画展も魅力的で、ここだけで一時間は余裕で消費できそうな施設だっただけに、スタンプラリーのことを考えてはしょり気味に退館したのは名残惜しい。次の機会があれば、根を張って居座りたい。

金沢くらしの博物館。鬱然たる木々の中に建っている。
建物が文化財に指定されているので、その説明が書かれている。
昔の教室を模した展示室。
伝統を継承する上で、覚悟を決める吟子。上に掲げた展示室がそのまま背景になっている。
活動記録 2024年第4話『昔もいまも、同じ空の下』のPART 8より。 
五つ玉の算盤。写真だと分かりづらいが、巨大である。
ガリ版。名前だけは聞いたことがあったが、とうとう現物を拝むことができた。
昔の学習机。上の部分が開閉式になっている。
こちらは設置されたPCで見られる、金沢弁における親類の呼称一覧。
興味のある展示が多く、写真は撮り切れず。また撮ったもの全てを掲げるのも多いので控える。
くらしの博物館にいた吟子

 後ろ髪を引かれながら博物館を出て歩いていると、少しずつ天気が崩れていく。後述する加賀友禅会館を出て暫くすると、また雨。この辺りから、天候変化の目まぐるしさに反応していける心のゆとりが失われていく。つまり、疲れてきた。
 ここからは一気にスタンプを回収していく段階に入る。いしかわ生活工芸ミュージアム加賀友禅会館加賀てまり 毬屋金沢中央観光案内所を続けて渡り歩く。いずれもスタンプを回収してすぐ退散する旅程だった。閉店時間の都合もあるので仕方がないのだが、やはり惜しいものは惜しい。
 加賀友禅会館ではコラボグッズを少々購入——内訳は、スリブ・ドルケ・みらぱのクリアファイル各一枚と吟子のアクリルスタンド、ランダムの缶バッジ一個(中身はさやかだった)——し、加賀てまり 毬屋では毬をモチーフにした良さげなピンバッジをすかさず買うなど、時間がないなりに欲目を発露していった。

くらしの博物館から歩いている道中。
いしかわ生活工芸ミュージアム。色冴えわたる紅葉が歓迎してくれる。
生活工芸ミュージアム瑠璃乃
加賀友禅会館
表の窓には、蓮ノ空のポスターがいくつも貼られている。
加賀友禅会館花帆
加賀友禅会館を出て少し離れた所。
この写真を撮った三十秒後くらいに、雨が降り始める。雲行きが、怪しすぎる。
雨中の香林坊。
いい加減、ポルノグラフィティサボテン大江千里Rainが聴きたくなる。
いや、ここはDOLLCHESTRATragic Dropsだろう。「曇りのち土砂降り」やぞ。まんまやんけ。
加賀てまり 毬屋の入り口。
毬屋綴理(こう書くと、綴理が毬屋を営んでいるかのような誤解を招くと、今更思う)。
道を挟んで向かい側に見える、金沢中央観光案内所
路面のてらてらとしたツヤが証明するように、絶賛降雨中だった。
金沢中央観光案内所

 一気にスタンプを搔き集めた甲斐あって、いよいよ残すところは石川県政記念 しいのき迎賓館を残すのみとなった。鈍重な疲れを一身に背負いながらも徒歩移動を続け、暗闇の中に煌々と光るしいのき迎賓館を見つけた時は、無茶苦茶な行程ではあったが何とかスタンプラリーを終えられたという安堵があった。
 迎賓館内では、リンクラのカードイラストが一部展示されていたので、ウイニングランとばかりにそれらをじっくりと眺めた。

夜のしいのき迎賓館
しいのき迎賓館小鈴
展示されていたイラストの一つ、[Dream Believers]百生吟子
しいのき迎賓館の正面。旧県庁舎の一部が残された威厳ある装いに感動。
左に映っているのは、迎賓館の名前にもなっているシイノキ。何と、樹齢約300年の老樹である。

 スタンプをすべて集め終わったので、ここで金沢ゲーマーズに戻る。制覇の証しであるカードを貰いつつ、入店規制が解除された店内で諸々のグッズを物色する。そして、なぜか朝に訪れた時に撮り忘れていたのパネルを撮影する。これで、本願は果たせた。

金沢ゲーマーズ

ツバサ・ラ・リベルテごっこ

 これにてスタンプラリーは終了。安息の地たる東横インに帰るのが常道であろう。しかしながら、我々には依然としてやるべきことが一つだけ残されていた。それは、ツバサ・ラ・リベルテごっこである。
 ツバサ・ラ・リベルテごっことは何か。「ごっこ」などという奇妙な単語を語尾に冠しているが、約して言えば聖地巡礼を通して103期11月度Fes×LIVE会場にいた観客の気持ちを追体験するだけの話である。極めて純粋な心で臨んでいる。
 降雨続きの状況でこそ、このツバサ・ラ・リベルテごっこはその真髄を見せる。言わずもがな、103期11月度Fes×LIVEは雨の中で行われていた。まさに、ツバサ・ラ・リベルテごっこは雨中に敢行することで完全な形での成就となるのである。
 だが、世の中は甘くなかった。迎賓館を出る時には雨が止んでいた。行程を困らせるだけ困らせた自然は、肝心な場面で急に涙を流すのを止めた。我儘な男で済みません(愛凛冴リスペクト)が、ここだけは雨が降っていてほしかった。好事魔多しとは、このことである。
 とはいえ、ここまで来て計画を御破算にするつもりもない。目的を果たすため、私とゆさは真っ暗な中を金沢城公園を目指して更に歩き続けた。103期11月度Fes×LIVEが行われた会場、それこそが金沢城公園だからである。
 前回も金沢城公園にはツバサ・ラ・リベルテごっこをしに入園したが、その時は完全に雨が一滴も降っていなかった。その時に比べれば、公園内の芝は雨で十二分に濡れそぼっていたため、観客の心境にはかなり寄り添えた自信がある。

尾山神社を抜けて、金沢城公園へ向かう場面。
暗くて見えづらいが、鳥居がある。しかし何より目立つのは、ギヤマンが美しく光る神門である。
国の重要文化財に指定されるだけの趣きが、一目で伝わる。
尾山神社の境内にある前田利家の像。
公園内の紅葉。夜のライトアップで映える緋色に、遅まきながら秋を感じる。
金沢城公園の一角。この画角は……
103期11月度Fes×LIVEにおける、ツバサ・ラ・リベルテの一幕。
我々の訪問した日は月が全く見えなかったものの、心持は完全に観客そのものであった。
ライトアップされた紅葉をもう一枚。ついシャッターを切ってしまいたくなる色合いである。
因みに、金沢城公園の夜間開園は入場料が無料である。是非、伝統と自然を味わって頂きたい。
ライトアップのスケジュールや時間はこちらで確認できる。

その後

 ツバサ・ラ・リベルテごっこを無事に終えた二人は、夕餉の場所を探すためにまた一歩きする。夜になって北陸の寒さが一層身に応えていたため、おでんなど良いではないかと店を見て回るものの、どこも大混雑。こういう時に人間の考えることは、概ね同じらしい。
 疲れも増幅する中で、前回の旅行でもお世話になったもりもり寿しへ行くことにする。ようやく腰を下ろせたというのでかなり意識は希薄になっていたが、旨い寿司を景気よく頬張って、密度の濃い一日の旅程をこなした自分達への慰労とした。そして、寒い日に飲むあら汁は、最高に美味しかった。

夕飯の場所にしたもりもり寿し 片町店。
ぐったりの我々。
心身ともに染み渡るあら汁。これからの季節に愛飲したくなる美味しさ。
寿司を食べ終えた後の片町。何と、止んでいたはずの雨が降っている。

 上で述べたことだが、もりもり寿しを出るとまた雨が降っていた。ツバサ・ラ・リベルテごっこをしている最中になぜ止んでいたのかと、誰かに問わずにはいられなくなった。
 コンビニに寄って明日に向けての買い物を済まし、そのまま東横インへ戻る。何とかWith×MEETSの時間までに戻ることができたので、のんびりしながら配信を見る。この日の配信は綴理と姫芽の二人が出ていて、タイトルは「来年のみんなを占うよ。」であった。のほほんとした雰囲気のある二人が、一月から十二月までの各月生まれの人に対して、来年の運勢とラッキー〇〇を発表していくという緩い内容だった。

 占いの内容については、有志の方のツイートが簡単にまとめて下さっているので以下に掲げる。

 私は七月生まれなので、特にリズム感がアップするらしいのだけれど。私の人生とリズム感と言えば、真っ先に連想されるのは音楽ゲームなので、これは上達の一年が訪れると期待してしまうのだけれど。一体どんな一年になるのか、楽しみで仕方がないのだけれど
 配信を見終えて、noteを書き進めながら、もしも自分が蓮ノ空のOGとして今回の金沢観光を楽しんでいるとしたら、どのような心境になるのだろうかという空想に耽っていた(念のために付記すると、私は二十九歳男性である)。OGとしての私は卒業後、上京してそのまま大都会で働いているのか、それとも地元に根を張り続けているのか。前者であれば、久々に訪れた思い出の地を経巡りながら、地域全体で母校のスクールアイドルを応援する雰囲気に頬を緩めているだろうか。後者の場合には、スクールアイドルによって活気づく地元に希望を感じながら、今後の生活も頑張っていこうと意欲を搔き立てられているのかもしれない。
 想像を他愛もなく膨らませていると、蓮ノ空の世界に生きる人として旅行記を書くというのも、面白い試みではないかと思われてきた。今回は私本人として書き始めてしまったので叶わぬ夢となったが、もしも機会があるのならば挑戦してみたい。
 暫く思い思いに過ごした後、就寝する。明日は何と言ってもライブ当日であるため、名古屋へ早めに移動する必要がある。夜更かしは厳禁であったが、やはりすぐには寝付けず、ライブの予習と称してスリーズブーケの曲を何曲か聴きながら、眠気の訪れるのを徐ろに待った。

三日目(12/1)

金沢に別れを告げる

 起きて、酷く喉が乾燥していたことだけを記憶している。惰眠を引き続いて貪りたいという心を必死に抑えて、朝の支度をこなす。着替えを済ませてから、昨朝と同じくロビーでビュッフェを食べ、部屋に戻る。荷物を手早くまとめて、チェックアウトする。
 東横インから金沢駅まではシャトルバスが出ていたので、渡りに船と利用する。移動しながら、せわしなかった金沢での滞在もこれで終いかと寂しくなる。雨はやや降っていたが、心地よいくらいの軽いものだった。

昨朝と何も変わらないように見える。
シャトルバス車内。写真を撮っている時の意識はほぼない。
金沢駅ホーム。行きは撮りそびれたため、帰りは忘れずに。

 新幹線 つるぎ17号で敦賀まで出た後、敦賀から特急 しらさぎ6号で名古屋に移動するという計画であった。十時四分に金沢を出て、およそ二時間半で名古屋に到着した。電車内では眠気に抗えなかったために瞑目していたものの、眠りに落ちることはなかった。また、予習と称してスリーズブーケの曲を聴いていたが、水彩世界が流れて涙が流れそうになる。水彩世界はスリブの中で一番好きな曲である。103期スリブの幕開けを告げる楽曲であるという点もそうだが、何よりも花帆との運命的な出会いを淡く柔らかい筆致で描いたかのような歌詞が、物語の展開に優しく伴走していることに堪らなく惹かれる。それでいて、Cメロの歌詞はやがて訪れるであろう別れに対する思いも密かに込められている。三年生の卒業が迫りつつあるこの時期に聴くと、「忘れたりしないように」という歌詞の重みはいやが上にも増していく。歌詞によって様々な情感が湧いてきて、電車内にもかかわらず泣きそうになった。そして、この出来事が伏線になるとは思いも寄らなかった

名古屋へ

 名古屋に着いてからは、昼を食べてすぐに会場へ向かう予定だったため、観光らしい観光はしなかった。ロッカーに諸々の荷物を預けると、エスカに繰り出す。最初は矢場とんで食べるつもりで店頭まで行ってみたが、目を疑いたくなるほどの大行列が出来ていて即座に断念。近くにあった若鯱家でカツカレーうどんを食べた。量と味、両方の面で大満足であった。

名古屋駅。
若鯱家のカツカレーうどん。大変美味しかった。
でらますコラボで店頭に飾られている、アイドルマスター ミリオンライブ!福田のり子の看板。
蓮ノ空を中心に書いている記事だが、ここは異次元フェスということで一つ、お許し頂きたい。

 昼飯を済まし、いよいよライブ会場のある名古屋国際会議場に移動する。現地では、運良く普段から仲良くしている友人と会うことができて、暫く談笑を楽しむなどして、ライブへの期待を大いに膨らませていた。吟子のTシャツへと無事に着替え、準備は万端ということで会場となっているセンチュリーホールへ入場。
 事前にチケットを確認していて良い席なのは知っていたが、いざ座るとステージとの距離があまりにも短いので、ひたすら「近い!近い!」と叫ぶだけの人形と化してしまった。

開演前に撮影した、座席からの写真。やはり、近すぎる。

ライブ

 入場は遅めであったため、すぐに開演。瞬く間にライブへ突入したため、現実感が全く感じられない。演者の三人があまりにも近いことも手伝って、本当に自分がライブを生で見ているのか、それとも夢なのかがよく分からなくなった。それくらい、素晴らしいライブだった。
 セットリストは、以下の通りである。私達は昼公演のみの参加だったため、昼公演だけの楽曲として謳歌爛漫Mix shake!!(104期Ver.)を聴くことができた。

 一曲ずつ感想を綴っていくと途方もない分量になるので、どうしても書いておきたい部分だけに厳選していく。
 開幕はReflection in the mirror(104期NEW Ver.)から。伝統と革新が綺麗に折り重なった、今の104期スリーズブーケを象徴する楽曲として申し分ない選曲だった。舞台が近かったため振付もよく見えたのだが、「透明なその欠片に 乱反射する光」の歌詞に合わせて、三人の両腕が鏡によって乱反射する光を示すような振付が印象的であった。乱反射を示しているため、各々の腕の角度はバラバラなのだが、そのバラバラさが一つの調和を生んでいる。続きの歌詞にもあるように、その乱反射が「未来」を形作っている。三人それぞれの個性が一つにまとまらず、乱反射することによって今まさに生み出されている「キラキラ輝」く「未来」を目撃していると思うと、本当に現地で見ることができて良かったと、一曲目にして思う。
 そして二曲目に、現地で聴きたいと渇望していた水彩世界が披露される。始まりでありながら、避け難い終わりへの思いをも内包する楽曲が、この場で改めて二人によって披露されるのを目の当たりにして、ひたすら涙腺が緩んでいた。万感の思いに胸が溢れていると、楽曲が終わっていた。何と短いのか……
 今回の3rdライブでは楽曲に合わせた衣装替えが一つの特色として挙げられるが、その点では月夜見海月に触れておかねばなるまい。海底で嫋やかに漂う海月をモチーフとした衣装の鮮やかさには、ひたすら度肝を抜かれた。舞台の背景ではFes×LIVEの映像が流れていたが、これほどに映像と現実が綺麗に重なり合うとは思いも寄らず、感嘆の一言に尽きる。そして、花帆に背中を押されて吟子が前に歩み出すという振付は、104期としての成長を端的に表すものとして、とても趣深かった。
 月夜見海月が終わった後に眩耀夜行のイントロが流れた時の歓声は一入だった。二人から三人に増える104期Ver.の振付は、メインで歌う一人を陰で二人が支えるといったものが多く見られ、メンバー間の絆がより意識されて快かった。無論、花帆の二人がひたすらに相手と向き合って互いの思いを伝え合うような103期Ver.の振付も胸を焦がされる。
 そして、私個人としては何と言っても、アンコールの一曲目である水彩世界(104期Ver.)に最も琴線をかき鳴らされた。花帆がスリーズブーケにおける第一歩として歌った楽曲に、吟子が加わることの意味は計り知れない。特に、水彩世界は新しい出会いによって色が加わり、今までにない世界を創造できるようになることの尊さを歌った楽曲である。吟子の加入によってスリーズブーケというキャンバスに書き加えられた色の鮮明さは、これまでの軌跡を辿ればわざわざ語り直す必要もないだろう。この三人であればどんな風景であっても創造できるに違いないと確信させてくれる、綺麗なパフォーマンスだった。私は曲の始まりから終わりまで、ずっと泣いた。あまりにも泣いているので、同行者のゆさに「泣いてたね」と言われるくらいには泣いた。
 その後に挟まれた舞台裏の劇では、花帆の一頭地抜けた明るさに会場が笑いに包まれつつも、伝統と革新の折り重なる104期スリーズブーケの素晴らしい結束を感じさせられた。何と良いグループなんだと感慨に耽る暇もなく、流れたのはMix shake!!(104期Ver.)。スリブ随一の快活な楽曲によって、会場の盛り上がりは筆舌に尽くし難いものとなった。コールと腕振りに全力を出したのは言うまでもない。
 新曲として初披露されたハナムスビには、背景で流れるMVと合わせて、今までに見られなかった新しいスリブの一面が露わになるようで、動悸がした。軽快な曲調の一方で、それぞれが胸に秘めている容易に口にできない心の切なさが訥々と漏れるような歌詞に、ますます動悸が強まる。そして、吟子の男装にはときめきを著しく覚えた。というのも、今回の旅行は基本的にYシャツ、ベスト、ブレザーという服装で移動していて、何なら日曜のライブ直前までブレザーには毬屋で買ったピンバッジを付けていたからである。MVで垣間見える吟子の服装も概ねそれに近く、自分が吟子ではないかとほんの一瞬だけ錯覚した。もし今後、余裕があれば吟子の男装を頑張って揃えてみたい。
 ライブを締めくくる最後の楽曲は、まさかの永遠のEuphoria(104期Ver.)。みらぱ、ドルケの公演ではシングルのB面が流れていたため、そのあたりから選ばれるのではないかと予想していただけに、直球ストレートの楽曲に胸を打たれた。
 楽曲中に三人が舞台の(客席から見て)左端に移動する瞬間があり、この時に座席の関係で三人のパフォーマンスが間近が見られた。何故か、見ている側のこちらが緊張する近さだった。この時の近さについては、以下に掲げるゆさのツイートを参照していただきたい。矢印で指されているのが私たちの座席である。

 ライブ終わりのMCでは三人の率直な思いが開陳されていて、ひたすらにしんみりとした。自分が好きだったスリーズブーケの一員として舞台に立つことの喜びを語る櫻井陽菜さん。それに対して、好きと言ってくれていた陽菜さんが自分達の仲間になり、スリーズブーケとして共に走っていける幸せは無上のものだと思いを強く滲ませて語る楡井希美さん、花宮初奈さん。三人のMCからは、104期スリーズブーケとして限りある時間を全力で過ごしていることがひしひしと伝わってきた。その一幕である3rdライブのユニット公演を見ることができたのは、僥倖としか言いようがない。瞬く間に公演が終わってしまった印象だったが、とにかくゆさと共に「良かった」と口々に言い合った。

旅の終わり

 帰りの新幹線にはやや時間があったので、一旦栄で降りてゲームセンター・キングジョイへ向かう。前回の名古屋旅行でも寄った場所で、一頻りボルテで遊ぶ。ライブの余韻もあるので暇潰しの感覚でプレイしていたが、なぜかJULIANでPUCが出る。ただでさえライブで十二分に満足した後であるのに、音ゲーでも収穫があるのかと嬉しくなる。

 時間潰しが終わると、名古屋駅へ。お土産を少し見繕ってから、すぐに新幹線へ乗る。旅行というのは、なぜこうもあっさりと終わりを迎えるのかと、毎回思わざるを得ない。帰りの車内では、ゆさに3rdライブのDOLLCHESTRA公演をアーカイブで見せてもらう。乗車時間の都合上、やや駆け足での視聴となったが、最後まで蓮ノ空を想う旅行に徹することができた。
 ゆさは名古屋駅で買った駅弁を車内で食べていたが、私は地元で夕飯を食べたいと思っていたので、空腹を抱えたままでいた。帰路の関係で、私は新横浜でゆさと別れた。別れる際にも感謝は告げたが、とてもあの場では伝えきれないほどにお世話になった。次の機会があれば、懲りずに誘っていただきたい。本当に、ありがとう。
 旅行を締めくくる夕飯は、油そばだった。ここに来て、情緒の欠片もない選択である。何がしたいんだ、私は……

おわりに

 旅行から既に一週間が経過した訳だが、色濃い思い出の詰まった二泊三日であったため、その時の様子は今でも思考の内でたやすく反復することができる。旅程して厳しい部分があったものの、過ぎてしまえばそれも楽しい記憶として刻まれている。旅行中の無茶は、できる内にした方が良いだろう。
 蓮ノ空を想う旅行ということで、スタンプラリーを初日に制覇し、その足でスリブのライブを堪能するという強行日程だったが、この三日間を通して今まで以上に蓮ノ空のことを大切に感じられるようになった。
 私は異次元フェス以降に追いかけ始めた人間であるため、好きになったのは全く早い方ではない。活動記録の更新に追いついたのは今年の五月であったため、103期の活動記録を追っている最中は、「なぜこれをリアルタイムで見られなかったのか」という後悔ばかりが込み上げていた。しかし、今回の旅行によってそうした後悔は軽く吹き飛ばされた。今まさに前へ進む蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの歩みに対して、私達は金沢から名古屋にかけての旅行によって寄り添えたのではないか。
 この記事を執筆している段階で、蓮ノ空はラブライブ!北陸地方予選を控えている。今年こそ、優勝の栄冠を掴んでほしいと願ってやまない。

 信じられない分量になってしまったが、これにて筆を擱かせていただく。最後まで通読して下さり、ありがとうございました。

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