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「さくら」

ある人俺は事故に遭い、記憶喪失になった。

はぁ…これから入院生活か…あーあ。金もねぇのに最悪だよ。それ以上に風俗いけないのが一番だるいな。どうやって処理しよう…

「久保田さん、久保田健二さん!!真面目に聞いてください!

いいですか!!ここがあなたの病室です。とにかく安静にしていてくださいね。何あったらナースコールしてください。では私はこれで。」

可愛くないナースだ。事故にさえ合わなければよかったのにな。

「こんにちは、健二くん。と言っても君は私のこと覚えてないか。」

「あなたは…誰だ?」

「私はさくら!よろしくね。」

「さくらさん…ですね。覚えました。よろしくお願いします!」

「初めてあったときと同じこと言ってる!やっぱりどうなっても健二くんは健二くんだね!」

なぜか分からないけど彼女のことが好きになってしまった。

それから俺達は春の間中一緒に過ごした。

たまに俺と彼女がふたりでいると変な目を向けてくる人がいるがきっと彼女が可愛いから羨ましがってるんだろうな。きっとそうだ。

そうこうしてるうちに5月の半ばになった。いつものように雑談しようとしたのだが様子が変だ。心配になり俺は声をかけてみた。すると彼女は、

「もう会えなくなるね。」

と深刻な口調で語りだした。

「なんでだよ。また来年も会えるんじゃないのか?」

「会えないよ。だってあなた思い出しそうになっているじゃない。もう無理なのよ…」

「どういうことだよ!これからもずっとお前と話していたいんだよ。そばにいたいんだよ。」

「もう言わないで…何も言わないで。大丈夫よ。あなたなら生きていける。」

「そんなの生きてるなんて言えない…死んでるのと一緒だ。」

「それでも生き続けるのが生者の役目なのよ。私の分まで幸せになってね。」

彼女が放った最後の一言は彼女とともに空に吸い込まれていった。

「さくらぁぁぁぁぁ」

叫び声が止められない。ああ、そうだ。彼女は一年前に死んだんだ…

お別れの時間があったのに俺はわがままばかり。最低だ。

最低な俺だからこそ、彼女のために生きねばならないと心に誓おう。


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ではまた!


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藤原
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