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最近読んだ本の感想 「在日米軍基地」

◆2つの顔
在日米軍基地は、だれもが知っている。けれど、その基地が「2つの顔」を持っていることを明確に認識している人は少ないと思う。
当方も全く知らなかった。国連軍(イギリス、オーストラリア等)が日本に存在するということは、衝撃的だった。

◆米軍が守ってくれる?
日本がなにか攻撃をうけたら、米軍が守ってくれる、そう考えている人も多いと思う。
だが、読み進めると協定内容からそうなっていないことが分かってくる。NATOとは違う。
米軍基地が攻撃された場合、その周辺をふくめて米軍は動くことになっている。基地以外が攻撃されたら動くのは自衛隊。
またアメリカが日本の基地を重要視しているのは、朝鮮での事案、あるいは台湾有事などの場合、グアム基地から発進しても間に合わないからということのようだ。

◆数多くの関連協定
本書では、史実を踏まえながら、日本の防衛がどんな状況にあるのかを解説してくれている。基地をめぐる協定、条約などはいくつもある。

・日米地位協定
・日米安保条約
・朝鮮議事録
・吉田・アチソン交換公文
・国連軍地位協定
・平和安全法
・ACSA(アクサ)
・円滑化協定

アメリカ等が極東に影響力を持ち続けるため、数々の約束事が取り決められてきた。なにか活動を行う場合の事前協議を不要にしたり、友軍に対する日本の支援も可能となった。本書にはその経緯等が詳細に記述されているがここでは省略する。
本土で起きた基地反対運動の結果、一部が沖縄への移転につながった経緯などもある。

◆普天間基地の移転問題
普天間基地の移転先について、かつて民主党の首相が、「最低でも県外」と言ったことを覚えている方は多いと思う。著者は首相の資質問題とすることをさけ、論を展開している。普天間基地は国連軍基地でもあるため、国外への移転は不可能。また沖縄の海兵隊と連携して活動する必要から、当初から県外への移転は不可能だった。民主党の議員はこの基地が国連軍という認識での質問を国会で行っている。民主党内でも知っている人はいたわけだが、そういった情報が首相には届かなかったのか。

◆なぜ多くの約束事がとりきめられてきたのか
多くの協定、公文、議事録などを結んできた原因は憲法にある。
憲法では、日本には「軍事力」がないとしているから。
理想的な国家をめざすため、平和憲法を実現させたけれど、極東の火種に対応するためにはこうするしかなかったということでしょうか。
当初、アメリカは日米地位協定を国民にしらせないように要望していたという。

日米地位協定や国連軍地位協定、平和安全法など、かなり複雑で、一通り読んだだけでは理解できていないと思います。
ただ、日本の安全保障を考えるとき、おおよそでも事実を知っておくことは大変重要と思います。
国連軍が日本に存在するということだけでも知っておくべきではないかと思いました。


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