大塚国際美術館に行ってきました(名画編)
何年も前から、いつか行きたいと思っていたのですが、やっと行ってきました。
ここには本物の絵はなくて、陶板美術館です。作成のために権利者に許諾をもらい、オリジナルを撮影した写真を陶板に転写してつくるそうです。なので大きなものは陶板をつなぎ合わせて表現しているので、つなぎ目の線が見えます。でも、そんなことは関係なく、その精緻さ、大きさに感動しまくりでした。
美術館は山のなかにつくられており、入り口から長いエスカレータでのぼっていくとシスティーナ・ホールのあるB3にたどりつきます。
B3→古代・中世
B2→ルネサンス・バロック
B1→バロック・近代
1F 2F→現代
鑑賞ルートは約4Km、約1000展の名画が待っています。2日で全部をじっくり鑑賞などとても無理とおもい、システィーナ・ホールを鑑賞したのち、鑑賞ルートを無視して、自分の知っている絵をピンポイントで見ることにしました。途中で気に入った絵も含まれます。
まずは
◆システィーナ・ホール
最初に訪ずれたのはシスティーナ・ホール(天井画、壁画のあるところ)のサイズは間口20m×奥行約40m×高さ16mです。その大きさに圧倒されます。
ここは山の中に作られているので、最初にはいったシスティーナ・ホールがB3です。天井画の先、奥に最後の審判があります。
そのなかの拡大 → 最後の審判の一部
持っている本のようなものが天国へいける人のリスト(左)、地獄へいく人のリスト(右)なんだそうです。地獄行きの人のほうが大きく人数が多いということですね。キリストの教えに従えば、天国へいけるよ、だからキリスト教に入信しなさいと言っているようにも見える。天井画のほうは天地創造をあらわしているそうです。
天井画に描かれたデルポイの巫女の部分は床上にそれと同じものが飾ってある。これだけの大きさのものが約15m上の天井にあるわけです。この床上におかれたデルポイの巫女の陶板に触ってみました。すこしざらざらした感触がありました。
※この壁画(最後の審判)を66歳のミケランジェロが完成させたのが、1541年、ルターがローマ教会に抗議したのが1517年。免罪符からはじまった宗教改革が進むなか、この絵が作られました。
◆モナリザ(ルネサンス)
モナリザは、ルーブル美術館で本物を見たことはありますが、アクリル板ごしで落ち着いて見られていません。ここでは名画の真ん前に立ち穴のあくほどみつめることができます。なんなら、絵にさわっても大丈夫。さすがにさわりはしませんでしたが、じっくりと鑑賞できました。解説によると背景は宇宙を手前の川は人間を表しているのだそうです。ダビンチは終生この絵を携えていたことから、依頼主はなく、架空の人物という説もあるようです。
◆落穂拾い(近代)
絵に関する知識不足で、これまでこの絵を牧歌的なのどかなものとばかりおもっていましたが、解説によると奥に見える豊かな農夫たちが収穫したあと、地面にこぼれている落穂をひろっている貧しい人たちを描いているのだそうです。どうにもならない、社会の格差を表現したのでしょう。貧しい人たちを真ん中に描くことでそれを強調しています。
◆真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)(バロック)
このターバンの青は当時高価だったラピスラズリ。その青さを期待していたのですが、照明の関係かそれほどの青にはみえませんでした。振り向きざまの少女の表情は素敵ですが。
◆最後の晩餐(ルネサンス)
大きな部屋に修復前と修復後が展示してあります。今や現地では修復前はみられません。この場所だけで対比できます。修復前のほうが味があっていいと思えたのですが、それはそのイメージに慣れてしまっているからなのでしょうね。日本の神社でも元は朱色が塗ってあったものが、年月の経過で今のような茶色の構造物になっていて我々はそれに慣れ親しんでいるわけで、朱色の建築物をみると違和感を覚えるのと一緒ですかね。
キリストの顔に遠近法の消失点がきていて修復にあたってその痕跡がみつかっているそうです。また、ユダは左から4番目の顔の黒い人物で、キリストを裏切った報酬である、銀貨30枚が入った袋を右手に握っています。
◆皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠(近代)
大きさ(6.21m×9.79m)に圧倒されます。注文主のナポレオンは絵の出来栄えにとても満足したと伝えられているそうです。人々の背丈よりもはるか高くまで描かれていて、その場の荘厳さを表現しているようです。
◆ヴィーナスの誕生(ルネサンス)
解説によれば、作品「春」と対として描かれたとされ、精神的愛をつかさどる「天上のヴィーナス」を表しているそうです。ルネサンス期の作品で写実的ではないですね(陰がない)。
◆ゲルニカ(現代)
ゲルニカの町に対するナチス・ドイツの無差別爆撃に衝撃をうけたピカソが制作を依頼されていたパリ万国博覧会のスペイン政府館の壁画として1か月で完成させたそうです。この絵の前にも鑑賞用の長いすが用意されているので、すわってじっくり見てみました。爆撃の直接的イメージは描かれていませんが、人間や動物たちの悲鳴が聞こえるようです。
その他の絵については別の記事で取り上げる予定です。