最近読んだ本の感想「寿命が尽きる2年前」
死を迎えるまでの2年間を有意義に過ごすためのヒントがあるように思えて読み始めました。
ただ、当然、「寿命が尽きる2年前」は、医者も占い師もわかりません。
著者は67歳の医師で、作家です。長年、高齢者医療の現場にいた方で、そこで目にしたさまざまな困難、苦痛、悲惨さを思うと、あまり長生きしたくないと思われているそうです。
健康食品、サプリメントなど
世の中には、体にいい食品、サプリメント、体操、習慣などに関する情報があるれています。でも医師の立場からすると、ほとんどのものは、エビデンスがあいまいだったりします。また長寿に効果があるといわれているサーチュインも、実際に効果があるのは、酵母、ショウジョウバエなどだったりします。これらが、いかにもヒトにも効果があるようにして売っているのです。
末期医療の実態
一例ですが、強い抗がん剤などをつかえば、副作用で発熱、嘔吐、食欲不振、脱毛、出血傾向、白血球減少などがおき、つらい思いで病院のベッドに横たわっていなければならない。そんな治療より薬の副作用なしで自宅ですごすのが、よほどよい。貴重な時間を楽しく過ごせる。
健康診断
健康診断での被ばくによりがんになることだってあるわけです。諸外国にくらべ日本の健康診断被ばくは多いようです。CTスキャンの場合、1回の検査で年間の自然被ばく線量の2.5倍から15倍もの放射線を浴びることに。著者はがん検診を受けないのだそうです。もしがんとわかって、病院で検査や手術をすることになったら、そのあいだ自分の貴重な時間がとられてしまうから。
健康診断の結果にしても、基準値をすこしだけはずれて、大騒ぎする必要はないそうです。また、医療をうける、うけないを迷うことがありますが、どちらにしても選んだ末に、体調を壊したとき、別の選択をしなかったことを後悔することもあります。
必ずやってくる死を迎えるにはどうしたらいいのか
60歳をすぎたら、自分の好きなことを好きなだけするのがいいとのこと。
死がせまったとき、泰然とそれを受け入れるには、十分生きたという実感を持っていればいいと著者は主張しています。
まとめ
体が動くうちに、自分の好きなことをしたり、会いたかった人に会いにいったり、行きたかったところへ出かけたり、おいしいものを食べたり、思う存分生きればいいのだと思わせてくれました。死が本当に近づいてきたとき、それでもこわくなってしまうかもしれませんが、やるべきことをやっておいたという気持ちがあれば少しは落ち着けるように思います。
体の不調の先にある医療について、さまざまなケースでどう考えればいいのかの指針を示してくれています。50代以降の方に特におすすめです。医療に関する迷いがふっきれるように思います。