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Kaiserreich進捗リポート118 アッシリア
(原文はこちらから↓)
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中東の新しい進捗リポートにようこそ。ただいま他のチームはもっとがっつりしたバックグラウンド作りの奴隷になっていますので、その間に小さめのタグ(本当は‘Leaving for Syria’のちょっとしたサプライズになる予定だった)を見ていきましょう。では前置きはこれくらいにして、今日のトピック、アッシリアについて説明しましょう。
前史
世界大戦時、オスマン帝国は「第五列」と定めたさまざまな民族・宗教グループの根絶と追放を計画し、アッシリアの人々も巻き込まれた。最初は弾圧のターゲットにはなっていなかったが、その際もアルメニア人と誤解されることがしばしばあった。やがて虐殺が本格的化すると、アッシリア人もオスマン国家のかつてないほどの急進化を感じ取り、勢力を結集して大規模な抵抗活動に乗り出そうとした。わずかに善戦した例もあったが、結局クルド人非正規兵やトルコ軍には歯が立たなかった。数十万のアッシリア人が無残にも虐殺され、アッシリア人の故郷だったハッキャリやニネヴェ(モースル)平原ではテロルが蔓延した。その後上陸した英印軍の援助を得たアッシリア人は北イラクに北上し、アナトリナ南部での独立アッシリア人国家の建設を約束され、協商に味方して抵抗運動を戦った。だがイギリス軍はトルコ軍をアナトリナ南部から追い出せず、ヨーロッパ戦線も悪化し、国家独立の希望の夢物語に終わった。1919年末期、協商は軍を引き揚げた。アッシリア人は極寒の中で見放され、北イラクは災害に襲われた。すでに数万人がバグダード周辺の難民キャンプに避難していたが、トルコはイラク地域を回復し、クルド人と協力して凄惨な報復を働いた。東方教会総主教シムン20世パウロスは大量のアッシリア難民を率い、安全なイギリス支配地域のイラク南部への移動を目指した。南部への長い行進、果てるとも知れぬ遠路、栄養失調と絶え間ない迫害は国外に報じられ、やがて国際社会からの圧力はバスラ合意となって実を結んだ。
イギリスの監督の下、バスラ州にはアッシリア人の自治地域が創設され、イラクにおける大英帝国の足掛かりになった。アッシリア人は独自の法や慣習に従って自治区を統治した。アナトリナ南部のアッシリア人にとっては救いの場となったが、同時にイラクのムスリム住民やオスマン帝国に帰属していたアラブ人キリスト教徒との関係は悪化し、新たなキリスト教地域とイラクには修復不可能な亀裂が生じた。大英帝国による差別的な登用や、優れた訓練と装備を備えたアッシリア人徴募軍の結成など、イラク南部の先住民の間で「新参者」への敵意を増すばかりだった。なかでもユーフラテス川下流の湿地地帯に住んでいたマアダン(湿地アラブ人)は、アッシリア人入植目的の大規模灌漑プロジェクトで直接的な被害を被っていた。1925年のイギリス革命で大英帝国が崩壊すると、バスラ州もオスマン帝国に返還された。アッシリア人コミュニティの終末を危惧する声も多かったが、ほとんど変化はなかった。オスマン帝国は懸案を多く抱え、破産が原因で対外借款や支援に頼っていたため、アッシリア人を弾圧している暇がなかった。
30年代に差し掛かると、イラクの石油景気によってオスマン政府は潤い、同時にアッシリア人への圧力も増大していった。有力な指導者が逮捕され、徴募軍も地方警察レベルに縮小され、東方教会も抑圧された。バグダード当局はイラクの地方自治体の自治権やアッシリア人の自衛力を削減しようと企ててそれに乗じたアラブ部族やオスマン貴族らも加わって、1920年に付与されたアッシリアの自治権はだんだんと奪われていった。
オスマン人民党政権下でアッシリア人自治が再び存続の危機にさらされると、バグダードと東方教会の対立は1938年ごろに頂点に達する。アッシリア総主教が一方的に独立を宣言し、オスマン政府に最後の抵抗を仕掛ける。
ゲーム内容
アッシリア人が大逆転し、念願の独立国家建国を達成しても、問題は山積みだ。きわめて貧しく、宗派ごとに分断され、英領インドを頼みの綱とするアッシリアは、内外の敵に苦しめられる。ワッハーブ派のイフワーンはアッシリアの存在を信仰への侮辱とみなし、バスラ平原を定期的に襲撃する。一方のバグダードとテヘランの政府からはペルシャ湾権益の直接的脅威とみなされてしまう。アッシリア国内では新国家の構造をめぐってさまざまな部族、宗教グループ、有力一門が対立を続け、野心あふれる総主教は新たなアッシリア国家の王を名乗ろうとしている。大英帝国のプレゼンスはこの問題をいっそう複雑にしている。イギリスは未開発の下イラク油田に関心を抱き、どの国内グループよりもはるかに強い影響力を持っている。技術者、官吏、その他の専門家が不足したアッシリアは、より大きな大国のおもちゃであり、周辺諸国との問題はさらに複雑化する。
独立戦争に勝利すると、アッシリアには三つのルートを選択できる。第一に、野心あふれるシムン21世エシャイの目標を追求し、新たなアッシリア王に目指すルートだ。強烈な民族主義・宗教的主張を支持し、アッシリア人のためのアッシリア国家の基盤を作り、アッシリア部族の対立を融和し、自給自足国家を樹立する。
第二のルートではバスラに住んでいる様々なグループや民族、宗教との妥協点を目指す。世界大戦の惨劇は民族ナショナリズムの末路を見せつけた。未来の教訓とすべきだ。カルデア派、ネストリウス派、プロテスタント、カトリック。みなが一致団結して差異を乗り越え、互いを受容する民主的で繁栄したアッシリアを目指す。
三つめのルートではイギリスの影響力や独立戦争時の干渉が中心になる。IEDC委員会がシムン21世エジャイと協力して、インドをモデルにしてアッシリア国家を統治する。このルートではペルシャ湾におけるイギリスの手先となり、イギリスの湾岸諸国および上イラクの油田再獲得を目指す。アッシリアは協商の大目標にはあまり貢献できないが、天然資源があれば別だ。このルートではアッシリア国内の政治問題についてはほとんど扱われず、生まれたばかりの国家はより海外支援に依存するようになる。
アッシリアの経済ツリーではイラク南部の荒れ地に新たな故郷を作り、現地住民と闘い、さらなる農業開発を推し進める。だがやはり最大の主力産業は莫大な石油資源だ。ゲーム内では多くの労力を注ぐことになるだろう。
軍事ツリーでは独立戦争の立役者となったアッシリア徴募軍を発展させ、協商からの支援を受けながら、新しい近代軍へと改革する。人的資源はあまり多くはないが、徴募軍は激しく勇敢に戦い、格上の相手にも大きな打撃を与えてくれるだろう。
より興味深いプロジェクトの話ではなかったことに失望する人が多いのは理解しています(ハんガりィまダ?≪hUnGarY wEn≫)。ですがこのちょっとした幕間も楽しんでいただけると幸いです。
Q&A
Q.素敵なリポートをありがとう。小さくて「興味深くない」国に多くの愛が注がれているのはいつ見ても楽しい。
一つ質問。これまでカットされたオスマンのリワークで実装されなかったもの、あるいは今後公開されるものはある?
A.当初は敗戦後のオスマンのコンテンツも計画していたし、社会保守派(アルスラーン)ルートが行き詰まりにならないようにする構想もあった。でもいつ来るか、そもそも作るのか、今はまだ白紙だ。
>Q.ありがとう。アルメニアやアゼルバイジャンについてニュースは?
>A.近い将来には何もない。残念だが。
Q.三つめのルート以外に協商に加盟できる?
A.どのルートでも協商に加盟する。違うのは主に独立の度合いで、三つめのルートは一番親英的だ。
Q.クウェート首長国がアッシリア反乱に参加する理由はあるのだろうか。現地に駐在するトルコ人・アラブ人守備隊の存在を考慮すれば、クウェートに独自の国家タグを作ったり、クウェートをオスマン領にすることもできたのではないか?
A.たしかにクウェートは反乱時にオスマン帝国に残るし、もともとはプロヴィンスがオスマン帝国に残るという形でゲーム内に反映させるつもりだった。だが実装した途端AIが完全に暴走し、なぜだか分からないがすべての軍をイラクから海路で移動させ、アラビア半島をぐるっと一周してクウェートに輸送してしまった。AIに途方もない遠回りをさせないよう最善の努力をしたが無念にも成果はなく、やむなくクウェートはアッシリアのプロヴィンスとなった。
Q.38年に反乱が起きるといっているが、これは確定で発生するのか、それともイベントの選択次第で変えられるのだろうか?ルートごとに違ったりするのか?
A.イベント選択は今と変わらない。オスマンは38年頃に下メソポタミアでの対立を巡る連鎖イベントが発生し、アッシリア徴募軍を解体する(アッシリア人の防衛手段が失われるのと同義)か、手出ししないかを選択できる。前者を選ぶとアッシリアが独立する。オスマンのどのルートでも解体は選択できるが、連邦ルートに進んだAIは反乱につながる選択肢は選ばない。
おまけ:国民党左派のイベント追加
ハワイに亡命していた孫文の息子の孫科の帰国。彼を通じて他の自由派勢力と協力できるようだ。
北京から奉天軍閥を放逐した後のイベント。山海関を超えて奉天に攻め込むこともできるが、日本が介入する可能性も高くなる。