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New Album『CLUB33』壮絶解説〜アルバムの見取り図、イメージ〜

『CLUB33』壮絶解説第二回目です。

今回はアルバムの見取り図、つまりはどういう構成になっているかとかそういうお話になります。今回からは多少のネタバレなども含まれてきますので、まだお手元にない方で、「囚われないで聴きたい」という方は聴いてからお読みくださいね。

そして、前回は序章でしかなかったと思わざるをえないボリュームでお届けする、前回に引き続き今回もルシファー教授による解説でございます。

【アルバムの見取り図】
先にも書いたように「このアルバムはこうしたいから、こういう曲を作ろう」みたいな作り方をしたわけではなく、勝手に湧いてきた曲を並べてみたらこうなった、というだけなのですが、並べ方自体にはぼくなりに意図があっての配列にしています。

Star tale・・・オープニング、出会い
Alexander・・・煽り、合流
Still hungry・・つかみ、合意
Thy name is・・盛り上がり、相違
Gals・・・転、攻撃
MurderTVshow・・・破壊、嘘
No turning back・・・クライマックス1、決戦
道化師のピエロ・・・前半後半分岐点
Wakey wakey・・・ここまで夢オチ、悲哀
終身刑・・・朝が始まる、日常
Touch・・・一日が終わる、後悔と願い
Wonder world・・・明日への期待、決意と未来
原罪論・・・くりかえす絶望 クライマックス2、審判
Debris・・・死、永訣
Bloom bloom satellites・・・救済、叶わぬ再会
Can't help falling to hell with you・・・エンディング、オチ、新たな日々

これはぼくの中で考えたことなので、このように認識して聴きたまえ!ということではないのでご安心ください。
ただ、ぼくから出たはずの楽曲や言葉達は、ぼくの手を勝手に離れて、勝手に物語を紡ぎ始めたのです。
これはホントに。

基本的には「ぼく」と「きみ」の話です。
この「ぼく」はネモトコウヘイやルシファー様なのかもしれないし、あなたやあなたの周囲の誰か、はたまたままだ出会っていない運命の誰かかもしれません。
逆も然りで、「きみ」も、ぼくやあなたや誰かだったりするんだと思います。

あらすじとイメージ

東京のどこかにある秘密の場所へログインしたぼくときみは、見えないふしぎな光に導かれて旅にでます。
そこでは、世界が俯瞰で見えます。
互いにそれを見ながらくだらない話をして、時には相容れずに距離を感じたり、貞子が現れて倒したり、哀れな男の顛末を見届けたり、泣き虫でスケベだけど気の良い道化師のピエロに出会ったりして、たくさんのオモイデをつくりました。
あまりに素っ頓狂な出来事ばかりで、だんだん、ひょっとしてこれは夢では?と思いはじめます。
はっ!と、やはり目覚めるときみはいなくて、いつもの日常が始まって、そして終わっていきます。
それでも、忘れられないきみにまた会いたくて、きみがいた秘密の場所に、きみを迎えにいきます。
しかし、秘密の場所にログインしようとしても、何故かログインできません。
絶望の先で、本当は目が覚めてしまったのはぼくではなかったこと、きみがどこか遠いところに行ってしまったことを悟ります。
訪れる永訣の最後に、ぼくは一つだけ願いをかけます。
「きみの痛みがいつか消えますように」

おしまい

もちろんそれぞれの作品は独立していて、全く個別に作ったのですが、並べてみるとこういう話っぽいよなあという感じです。
後々、個別の内容にも触れていきますが、自分の中で無意識にイメージにあったのは、やっぱり宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』であり、そして実は『ウルトラマン』なんだろうなと思います。

『銀河鉄道の夜』については、例えば前作の『Eyes』や『サラバ』ではもう直接的にイメージソースになってると思います。
やっぱめっちゃ好きなんでしょうね。
どうにもあの、やっと分かり合えた大切な誰かが忽然と消える、というところを、ぼくは根源的にめちゃくちゃ怖いことだと考えてるんだと思います。

宮沢賢治さんは、唯一最大の理解者だった妹さんを亡くされています。
そのときの心情を、『永訣の朝』という作品にしています。

高校の教科書で習って、ぼくはすごく心を打たれた記憶があります。
おそらく『銀河鉄道の夜』のジョバンニとカンパネルラの関係は、賢治と妹さんの関係に通じているんじゃないかな、とぼくは思っています。

ぼくは、多分やはり祖父の死がこれにあたるのだと思います。
7才だったので、死そのものを理解していたかというと微妙だし、泣いたりもしなかったので悲しみそのものを感じたわけでもないのだけど、周りの大人が動揺して泣いていたり、法事などを通して物々しい雰囲気になっているのを察したりして、怖かったしショックだったのだと思います。
未だに、祖父の死はドッキリでした、みたいな夢をよく見ます。おそらく受け入れられてないのかな、とも思います。
だからこそ誰かを喪失することが怖いです。
大人になると身近な人の死も何度か経験してはいるものの、本当に受け入れられてるかというと微妙だなという気がしています。
それがあるからこそ、ぼくの書く歌詞は基本的に生き死にについてに収斂していっているなと自分でも思います。

実はウルトラマンも構造として似てるところがあって、第一話で地球人と M78星雲人がエンカウントし、最終話でお別れする、というのがシリーズのテッパンパターンなのだけど、特にぼくの中で別れが印象的だったのは『ウルトラマンパワード』でした。
ウルトラマンと主人公ケンイチ・カイ(演:ケインコスギ)のお別れのときの対話で「カイ、わたしは光だ。感じればいつでもそばにいる」みたいなことをウルトラマンがいうんですよ。
そして、病床で起きあがったカイは「彼は行ってしまった」とつぶやきます。
言うて、文字通り一心同体となって共に戦ってきた戦友なのです。
ウルトラマンパワードは、カイと分離してしまうと戦闘時間は非常に短くなってしまうのだけど、カイを傷つけまいとして、自ら危険を承知で、1人でゼットンとの戦いに挑み、力尽きます。
でも、不思議な赤い光が迎えに来て、パワードは光に包まれて空に帰っていきます。
最後、光の中にパワードの顔がヌッとドアップで映るんですけど、セリフは無くて、でも「ありがとう」や「さよなら」を含んだ言葉にならない想いを感じるんですよね。
その流れがとても印象に残っているんだけど、意識せずともそういう影響って出るんだなあと思いました。
あと、パワードといえばエンディングテーマが秀逸で、ビデオ版の『この宇宙のどこかに』もテレビ版の『STARLIGHT FANTASY』もめちゃくちゃ好きなんですが、それらのイメージもあるんじゃないかなと感じます。

他にもイメージソースになったものはたくさんあって、例えば原由子さんの『星のハーモニー』や、酒井駒子さんの絵本『よるくま』は、今回に限らずなのでアレだけど、興味があったら是非調べて触れてみると、ふっと世界が美しく見える気がするような、素敵な経験ができるんじゃないでしょうか。

つまりはそういった、「星」「光」みたいなもので繋がれたふたりが、出会って、絆を形成して、永訣を迎えるイメージが全体的にあったりします。


【本文に対しての上邑くんの一言解説】

「僕」と「君」そして「出会い」と「別れ」
先日の解説で説明した通り、私は知人と一生の別れを決意したのですが、「まぁ、過ぎたことは仕方ないから今後気をつけてね」とまだ関係を継続させたいようだったので多少上から目線の言い方は少し気になりましたが寛大な心で赦すことにしました。のでずっと気になっていた「saw6(有料)」「パラサイト(有料)」「イエスマン(有料)の3本レンタルをキメましたが見もせずにレンタル期間が終了してしまったので報告したところ彼は優しく笑っていました。彼の成長が見れて私はとても嬉しく思います。

解説に宮沢賢治氏の話が出てきましたが、岩手でTHE NOSTRADAMNZがライブに出演した時にライブ前にネモトが「えーと宮沢賢治の代表作って、、、銀河鉄道の夜と、、、なんだっけ、、、えーと、、、」と一生懸命Wikipediaでとても熱心に調べていらっしゃって、ライブのMCで「僕はぁ、昔からぁ、宮沢賢治さんの作品にい、とてもお、影響を受けていてえ、、、」などと話し始めた時に私とエンドウで「っ!!????」て顔をしたのをよく覚えています。
おや、次回からとうとう曲の解説となる模様です。お楽しみに。

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