河瀬直美監督 映画「VISION」の撮影舞台を訪ねて
奈良県の吉野町の魅力をPRする「吉野アンバサダー」のイベントに参加してきました。名付けて「吉野町 町長と行くオリジナル山守ツアー」。吉野町の中井町長自らの案内によるツアーです。「山守」とは山の所有者に代わって、森林の管理を行う仕事。中井町長のご実家も「山守」を代々務めているとのことです。
町長が管理している山が平成30年(2018)に公開された河瀬直美監督の映画「VISION」の撮影に使われたとのことです。山を歩きながら、町長から林業のこと、そして林業が現在、抱えている問題について色々な話がありました。良い木材を育てるには「枝打ち」という作業が必要であること、「枝打ち」を行うことで、病気や害虫から木を守り、光が森林に差し込むようになり、植生の成育にもつながることで、土壌流失を防ぐ効果もあるとのことです。
近年は木材の価格の下落などもあり、深刻な後継者難に直面しているとのこと。「山守」も数が減ってきているとのことです。管理されなくなった山は荒れてしまい、森林の持つ土壌保全機能が失われて、大雨が降った時の土砂災害にもつながるとのこと。山を守り、後世に受け継いで行くためには何をすべきかということが大きな課題であるとのことでした。過去に吉野町を襲った台風が森林にどれだけ大きなダメージを与えたかといった話もありました。
山の中では所々、清水が岩から湧き出していて、苔の上にシダ植物が生えているところも。日本庭園を思い起こす景観で古から日本人が愛した自然の原風景を吉野の山の中で見たような気分になりました。
山中ではかつて人が暮らしていて、集落があったということ。町長の家もかつては山の中にあったけれど、電気・ガスなどのインフラを整備することができない山中のこと、日常生活に支障をきたすということで、山を降りて、麓で暮らすようになったとのことでした。
映画のイメージの象徴として河瀬監督が自ら選んだという「モロンジョの木」では 町長自身が先祖との「絆」を感じることができたという心温まるエピソードを聞かせてくれました。
ツアーが終わった後は町内のレストハウスでランチ。ボリューム満点の美味しい唐揚げ定食を食べてツアー終了。帰途につきました。
マイナスイオンたっぷりで心地よい吉野の森林。後世に、そして永遠に受け継いでいかなければと感じました。中井町長の気さくな人柄にも触れることができて、楽しい吉野への「プチ旅行」でした。