吉野山「節分会・鬼火の祭典」を訪ねて〜2024年版〜
2024年は吉野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されて20周年の記念の年。
金峯山寺は世界遺産の構成資産の一つで、修験道の総本山として長い歴史を誇ります。そんな金峯山寺で毎年、2月3日に行われる伝統行事が「節分会 鬼火の祭典」。
この伝統行事のお手伝いで吉野山に出かけてきました。前から興味があったのですが、「鬼火の祭典」の時期に吉野を訪ねるのは初めてで期待も高まりました。
節分といえば豆まき。「鬼は外、福は内」の掛け声と共に、豆まきを楽しむ人も多いと思います。ところが吉野山の豆まきは「福は内、鬼も内」。日本全国から追われたきた鬼たちを吉野山に迎え入れて、仏法の力で改心させるというもの。
修験道をはじめた役行者が法力で鬼を呪縛し、仏法を説いて弟子にしたという故事にならったもので1000年以上の歴史を誇ります。
2月2日は前夜祭として、地元の吉野山観光協会の主催で「鬼の前夜祭」を実施。夜には行事の一環として、鬼が宿泊施設や飲食店に出没する「鬼の宴」を実施。ボランティアとして、お手伝いさせていただきました。当日は吉野山の上千本、下千本の二手に分かれて金峯山寺を目指して出発。私は太鼓を担いで、太鼓を叩きながら同行しました。
金峯山寺に到着すると、鬼役の人たちが「鬼踊り」を披露して、「鬼の宴」は終了。金峯山寺の境内では、引き続いて「和太鼓演奏」が行われました。
「鬼の宴」の後は地元の人たちとの歓談。夜遅くまで話は尽きず、名残惜しさを感じながら「宴」は終了。
翌日は参拝者として、「鬼火の祭典」を見学しました。朝10時ごろから金峯山寺蔵王堂でお経が唱えられ、11時過ぎから「鬼の調伏式」。蔵王堂で読経が行われる中、鬼が乱入してきて、「鬼踊り」を披露。「福は内、鬼も内」の掛け声と共に、一斉に豆が投げられ、観念した鬼は改心してひれ伏します。
「鬼の調伏式」が終わると、場所を蔵王堂前に移して、「採灯大護摩供」を実施。大護摩に火が焚かれて、その周りを改心した鬼たちが、喜びの「鬼踊り」を披露。
そして最後は蔵王堂の前でタレントの南かおりさんの司会で「福豆まき」が行われました。投げられた豆の袋の中にくじが入っていて、景品が当たるチャンス。私は残念ながら「ハズレ」でした。
今回の吉野滞在でお世話になったのは「芳雲館」さん。江戸時代の寛政年間に創業した由緒ある老舗旅館。客室の窓からは吉野の風景をたっぷり楽しめます。桜の時期に泊まることができたら最高かも。大浴場もあって、地元の食材を使った食事もばっちり。細かいところまで行き届く先回りしたサービス。今回の滞在がより思い出深いものになりました。
受け継がれてきた伝統行事と吉野山の人たちとの触れ合いの良さを改めて感じることができた今回の滞在。吉野山といえば桜というイメージが強いですが、桜の季節以外も楽しめます。