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【園館訪問ルポ】上野動物園に「裏口」から入ってみた話――恩賜上野動物園 「資料室」(東京都台東区)


■ 上野動物園には、図書室があります。



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  日本の近代動物園の嚆矢であり、現在に至るまで圧倒的な知名度を有する恩賜上野動物園

    しかし、その園内にある資料室で「動物や動物園・水族館」に関する書籍や雑誌、国内外のレポートを「誰でも」閲覧できることは、あまり知られていないかも知れません。

  上野動物園の図書室は、先の記事で述べた京都市動物園の「図書館カフェ」とは違い、利用に際して事前の予約連絡が必要です。

   しかし、最新のレポートを含め国内外から幅広く書籍が集められているため、園内で見た動物の生態や、動物園そのものに関する疑問に対するヒントが幅広い資料の中から見つかるかも知れません。


■ 検索してみよう


    東京ズーネットの上野動物園公式サイトにも、利用案内が記されています。具体的な図書を利用申し出の時に伝えて探して頂くこともできますが、Web検索で蔵書を確認することができるので、あらかじめ調べてから連絡するのが確実です。



    この日私が「資料室」を利用したかったのは、堤秀世さん(伊豆シャボテン動物公園名誉園長)の『チンパンジーにありがとう』(フレーベル館,2003)という児童書を探していたからでした。

 理由は、月末に伊豆まで遠征することを計画しており、園内で暮らすチンパンジーたちのバックグラウンドについて事前に予習しておきたかったのがひとつ。もうひとつは、国内での「動物園で飼育展示される類人がどのように受容されているか」を考える上で、ヒントになりうると考えたからです。かなり昔の本であり、身近な地域の図書館にも置かれていませんでしたが、上野動物園資料室にはちゃんとありました。





■ 電話をかけよう


 資料室で読みたい本が決まったら、いよいよ電話をかけて指定の時間に園の裏側、管理事務所前の通用門へ向かいましょう。

注意しておくこととしては、動物園に通常入園したままその足で通用門・管理事務所まで通り抜けることは出来ないということです。年間パスポートを持っていない場合は特に注意が必要です。

 私は園内から通り抜けできると勘違いし、園内から予約の電話をかけていたので、資料室に入るために1度退園せざるを得ませんでした…。

 電話口で資料室を利用したい旨と、訪問できる時間、滞在予定時間を伝えます。指定の時間に利用可能か確認して頂き、利用できるようであれば、確認したい資料名を伝えましょう(利用時間まで余裕があれば、事前に用意して頂ける場合があります)。

 利用したい資料が閲覧可能か確認して頂いたあと、通用門への道順を教えて頂けるので、予定時刻までに足を運びましょう。



■ 資料室に入ろう


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 いそっぷ橋の下をくぐり、新ジャイアントパンダ舎の建設工事が進められている横を通りながら、「通用門」までずんずんと歩いていきます。



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  「関係者専用口」と書かれているので一瞬ためらいますが、ここが「通用門」です。

 門の前にいる管理スタッフの方に声をかけ、資料室の予約をしている旨を伝えます。入室証を貰えるので、管理事務所内で必ず首からかけ、帰る際に管理スタッフに返却しましょう。


 通用門から入ると、「調理室」があったり、管理事務所内には開園当初の上野動物園のミニチュアジオラマが飾られていたり。写真は差し控えますが、園の裏側に来た実感が強くなります。

  管理事務所一階には、事務所連絡用の電話機が一台。ここで「図書コーナーご利用の方」向けの内線に電話をかけ、部屋を開けてもらいます。


■ 深まる理解。広がる世界。

 上野動物園の資料室は基本的には閉架図書ですが、最新の書籍や海外からのレポートは例外的に開架図書として置かれています。

 時間が許せば、ざっと書影を眺めて、まだ見たことのない動物本に意識を傾けるのも、新たな出会いにつながるかも知れません。

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 「ひと味違う上野動物園」を体験してみたい方、動物や動物園・水族館について深く知りたい方は、試してみてはいかがでしょうか。