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たかの台の『フランソワ』の跡にピーマンとナスのカレーライスがレギュラーな『フレンチバルブ』。〈フレンチバルブ_小平市小川町〉
物腰柔らかなおじさんが営む、カフェのような、バーのような、学食のような心地よい店でのんびりと楽しくおしゃべりをしてカレーを食べた話。
ムサビに行くのにぎゅんと90度曲がる道路の手前。たかの街道が終る上水公園の前。2月に閉店した『フランソワ』の軒先にカレーライスと白抜きされたスイカ色の旗が風になびいている。あれ、新しい店と近づいて見ると『French Valve(フレンチバルブ)』と看板。
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喉を潤したいと思う汗ばむ夏日。窓際に置かれた小さなメニューにビールの小瓶を見つけ、躊躇なく4ヶ月ぶりの店内へ入ると物腰柔らかなおじさんに笑顔で迎えられる。
変わらないほぼ居抜きの店内。窓から差し込む日差しも『フランソワ』に来た日と同じ。ダンボールを広げて書かれた壁に貼りつくドリンクのメニューにサッポロの小瓶があることを確認して、とりあえずビールをお願いする。
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食事のメニューには、牡蠣とトマトのカレーや、チキンカツカレーに、ナポリタンなんて気になるメニューが並んでいる。それでもはためく旗を信じて左上にあるカレーライスをお願いすると、ナスとピーマンがレギュラーのカレーですけど大丈夫ですかとおじさん。
ピーマンを残す方が多くて最初に説明していると笑顔。残す残さないは別として、それは最初に聞いておいたほうが良い情報だなんて思った。どちらかというとピーマンは苦手だけどレギュラーという響きに惹かれて大丈夫ですと答える。
元々は府中でやっていた店を閉めたタイミングで縁があり、ここで始めたところだという。府中では自転車の修理とお酒の飲めるカフェのような店っだったって。なるほど、だから自転車のタイヤの空気を入れるバルブのひとつのフレンチバルブかなんて納得する。
その店に通う近くの大学の学生に、このあたりはラーメン屋しかないから、それ以外のものが食べたいと頼まれてカレーを出すようになり、ピーマンとナスの具もリクエストをされて作るようになったと淡々と話すおじさん。
ビールを飲みながら自然と弾む会話が、フランソワだったころの柔らかな空気のまま心地よい昼間。お待ちどうさまと小鍋で丁寧に調理された、白米に乱切りのピーマンとナスがバランスよく転がるカレーライス。
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ルーをスプーンですくい口に含むと、うん、おいしいと頬がほころぶ、ピーマンの青々しい食感とナスのふわふわとした口当たりをやさしくスパイシーな白米にあうカレーが包む。白米が良いですねと伝えると、毎日食べても飽きないカレーを目指していて、それがこれと少し胸を張ったような気がした。
先にいた子が帰り際に、キーマはやらないんですかと聞く。食べたいと聞くおじさん。はいと答える学生。うん…作るわ。そんな会話が耳に入る。聞くとよく通ってくれている学生で、小麦アレルギーでカレーが食べられなく、いつもは豚丼なんだとか。キーマならってその要望に答えようとするやさしさというか、兄さんみたいな感じ。
でもいまの若い子は冒険しないという。サグカレーとか想像できないものは絶対に頼まないからなんて肩をすくめる姿もかわいい。そうか、サグカレーは一番に気になっていたけど。キーマも冒険しないなっていうけど、それは知ってると思いますと心の中で打ち返す会話。
いま府中から自転車で通っているという。だから雨の日とか、買い出しで遅れてしまうこともある。ただ、昼に開いていないと言われることを無くしていきたいと言う。明日は雨予報だから、今日は上に泊まる予定らしい。学生が好きなんだろうと想像する。
飲み物のメニューのビールの横にある梅干しサワーがずっと視界にいる。今度は夜に飲みながらおじさんと話しに来ようと思っている。キーマを食べられるかもなんて期待して。
(は)
【フレンチバルブ】
東京都小平市小川町1丁目741−106
(フランソワ跡で営業されてます)