普通自動二輪免許取得備忘録(第一段階)
はじめに
最初の記事として何を書こうか迷ったけれど、今通っている二輪免許取得について、自分の中で色々と気づきが有ったので備忘録とnote練習も兼ねて書こうと思う。
普通自動二輪免許を取ろうと思った
二輪免許取得を思いついたのは冬のボーナスの使い道をどうしようかと迷ったことに由来する。
個人的に毎回もらえるうちから15万くらいは使っても良いかなと思っていて、MT普通二輪の免許が殆どその金額だったのが大きかったのかもしれない。
また、勤続年数10年の特別連休がもらえるのもあって、バイクでもレンタルしてどっか行くか、なんて考えもあった。
「ま、とりあえず取ってみるか」くらいで考え、自宅から近そうな自動車学校が丁度二輪もやっていたので申し込んで2023年12月下旬に入校することになる。
自動車学校の変化
普通自動車の免許を取ったのはかれこれ15年近く前の話であり、その記憶のままに自動車学校という場所の認識をアップデートしていなかったけれど、入校直後から令和の自動車学校に驚かされることになった。
特に驚いたのが技能教習の予約はスマートフォンのアプリやウェブから電子で済ませ、間に合うように自動車学校に来る、という方式。
しかしこの予約がびっくりするほど空いていなくて、技能教習の予約キャンセル待ち、というようなことをしなければまともに受けることができない。
特にキャンセルが発生しがちなのが、技能教習をキャンセルしてもキャンセル料の掛からない前日23時頃。
既に17回分の技能教習料込みのお金を払った先に、まさか教習のキャンセル待ちが待っているとは思わなかった。
昨今の流行りの病や電子化の流れを考えれば分からなくはないが、もう少し何とかならないのかと二段階を進めている今でも思う。
始まる第一段階
その人気商品を奪い合うかのような予約合戦を勝ち抜くと、技能教習を受けることができ、教習が始まった。
二輪の教習は二段階に分かれており、第一段階は主に400㏄の普通自動二輪の操作など技術的なところを学び、第二段階からは主に「法規に則った走行」が主題となる。
そのため、運転技能は一通り第一段階で身に着けておかなければならないのだけれど、僕はとにかく「バイクに慣れること」に時間がかかった。
14,5年前の大学生の頃にHONDAのJAZZというMT原付に乗っていた記憶は有れど、そんな昔の感覚は忘れているしそもそも400㏄のバイクにそんなものが通用するとも思えない。
そして案の定通用しない。
200㎏を超えるバイクを扱うというのはとにかく大変で、何から何まで初めてのことに、とにかくバイクを倒すしこかす。
クラッチは硬いし、アクセルの僅かな操作でエンジンはすさまじい音で吹き上がる。
特に厄介だったのが15年近く4輪自動車を運転することで身に沁みついてしまった「ウィンカーは右手」という癖。
これがなかなか抜けず、ウィンカーを操作しようと右手のアクセルを緩めてしまい、強烈なエンブレにびびりテンパる、という最悪のパターンに何度か陥った。
慣れない不安と「転んだら…」という恐怖心、緊張から体は恐ろしいほどに強張り、1時間足らずの教習で腕と背中が凄まじい筋肉痛を抱えていた。
悪魔の乗り物「AT二輪」
そんなおっかなびっくりな調子でCB400SFを操作しながらも、教習は進んでいく。
S字、クランク、一本橋……。
緊張はして相変わらず体は強張ったままだけれども、徐々にバイクそのものに慣れながら、本当に僅かずつコツを掴みながらできるようになっていく。
そんな頃合いに来たのが「AT体験」の教習。
技能教習の予約画面では「普A体験」と書いてあり、何のことだか全くわかっていなかった。
教習当日、教官から「今日はあの白いスクーターです」と言われてそれが「普通AT二輪体験」の略だということに気づく。
これが本当に苦痛だった。
折角教習車のCB400SFの操作に慣れてきたところなのに、全く感覚の違う乗り物に乗らされ、なんとかできる様になってきていた各課題に失敗しまくる。
僕はこの「CB400SFで出来てた課題に失敗しまくる」というのが本当に精神的に来ていた。
エンストさせることも無くなり、クランクもスムーズに進める様になり、一本橋も成功率が上がって来た頃だったため、課題はおろか二輪コース内を回るだけでも初日より苦労したこのAT体験は本当にトラウマになった。
あまりのトラウマっぷりに、次の教習までその感覚をひっぱってしまい、CB400SFにすらビビり倒していたほど。
あんな運転の難しいもので公道をすいすい走ってる人、本当にすごいと思う。
二度と乗りたくないし、頼まれても運転しないと心に決めた。
第1段階最後の課題「40㎞/h急制動」
かなりの回数バイクをこかしながらも着々と運転技能は身についていく。
そんな僕の前に、第二段階に入るための課題として「急制動」が立ちはだかった。
僕はこの急制動の感覚を掴むのに物凄く時間がかかった。
というか、第二段階を受けている今でもまだそこまで安定していない。
「急ブレーキはタイヤをロックさせて危険だからブレーキはじわっと」とか、
「前後ブレーキを8:2で」とか、
感覚ベースの話で色々教えられてやってみるものの、前後ブレーキの割合など、バイクにまだ10時間も乗っていない自分にわかるわけがない。
色々言われるが、指定されているラインを越えずに止まれてはいた。
それもあって余計にわからなくなっていく。
「一気にブレーキをかけすぎ」「そのブレーキは危ない。」
幾度となく言われても、いまいち理解できていなかった。
「急『制動』」なのだし、止まれているし、大丈夫じゃんか、と。
そう考えていたものの、その瞬間は来た。
40㎞/h出した上での転倒
40㎞/h急制動の練習中に、派手に転んだ。
原因は前輪ブレーキをかけすぎたことによる前輪ロック。
バイクを横倒しにしながら転び、滑った。
幸い怪我こそなかったものの、顔色を変えて教官がすっ飛んでくる。
何やら注意事項や怒られていたような気もするが、あの時何を言われたのかあんまり覚えていない。
ただただ、ここへ来てようやく「急ブレーキは危険」という意味を全身で理解できていた。
そうか、2輪車だから前輪がロックするとバランスを失うんだ。
だから急ブレーキは危険なんだ。
これは自動車とは違う。
そんな事すら僕は知らなかった。解っていなかった。
2輪車でタイヤがロックすることの危険性も、そうなってしまった時にはもう手遅れだということも。
言われていたことを、身をもって体験し、理論を感覚で理解した瞬間だった。
理論だけではわからないし、感覚で言われても解らない。
理論と体験と感覚が折り重なり、初めて理解ができた。
それと同時にバイクを起こしながら「確かにこれを60㎞/hで走る公道でやったら死ぬな」とも思った。
「バイクは危険」「バイクは事故ると死ぬからやめた方がいい」と言われている意味も身をもって理解した。
ああ、バイクの仕組みや注意事項について座学が欲しいな、と本気で考えているうちにその日の教習は終わり、僕の心にしっかりと急制動のトラウマを残すことになった。
理論を学び、体験し、感覚を覚える。
よりにもよってこの事故寸前の大転倒を見極めの1つ手前のコマでやらかしてしまったため、当然のように延長が入ることを教官から告げられる。
ですよね、と思いながら先日の転倒を思い返していた。
しっかりとトラウマになり、次同じことをやったら死ぬかもしれないという恐怖から、二輪免許を本気でやめようか迷ったほどだった。
延長1時間につき5000円弱は痛いが、5000円でバイクをレンタルでき、周りに迷惑をかけない場所を貸してもらえ、バイクを倒したとしても何の保証もしなくていい状態で1時間練習ができる、と考えたら破格の勉強料だと思うようにした。
教習を受ける前はよくわかっていなかったため教習の延長保証などを案内されても特に不要と断ってしまっていたが、今になって入っておけばよかった、とも思っている。
案の定急制動は自分の中で巨大なトラウマになっており、急制動はおろかバイクそのものにビビりまくる。
課題は何とか熟せてはいるものの、教官から「初日みたいにビビってるよ」と言われた。
当然だった。
自分に非があるとはいえ死ぬかと思うような転び方をし、また同じものに乗っているのだから。
その日の教官だったIさんがそんな様子の僕を見かねたのか、Iさんとタンデムして乗ることになった。
このIさんがなかなかというか、俗に言うならば「チャラい」感じの方で、正直好印象は抱いていなかったのだけれど、このIさんとのタンデムは僕の意識を根底から変えてくれた。
二輪の課題コースを理想的な走り方で、どこでアクセルを回し、どんなブレーキのかけ方をすれば安全に急制動ができるのかをタンデムシートで体験させてくれた。
一番良かったのが、「本気で捕まっててください」との言葉の後に、外周に他の車が居ないタイミングを見計らって70㎞くらいの速度を体験させてくれたこと。
すげー飛ばすな……と思っていた矢先、「今70㎞くらい出しました、この後40㎞急制動やるんで。」と言われ、そのまま急制動に入ってくれたこと。
全然早く感じなかったし、怖くも無かった。
その後、自分の操作の問題点や、その問題点がどのような理論に基づいて危険であるか、問題であるかを教えてもらうことになった。
タンデムとはいえ教官による理想的な運転を体験していたこともあり、この説明は非常にすんなりと自分の中に入って行った。
普段の雰囲気から少し敬遠したいタイプではあったIさんは、しっかりと理論を教えてくれ、その理論を体感させてくれ、その上で感覚の話をしてくれた。
多分、教員が指名制であったならIさんをずっと指名すると思う。
一段階終了
そんなIさんによるタンデム体験を経て、自分でも驚くほどに(以前と比べ)バイクを扱えるようになった。
次の時間には「見極めしますね」ということで指示されたコースを1時間の間走り続ける。
急制動は未だ若干の不安はあるものの、転ぶ心配は無さそうなくらいには安定していた。
見極めの日の教官はIさんではなかったけれど、「前々回と見違えた」とまで言われ、僕の中ではもうIさん様様だった。
「まだミスは無いわけでは無いですが、かなり少なくなってきました。」
「ようやくバイクそのものに慣れて来た感じがしますね。」
という言葉とともに、見極めOKの言葉をもらった。
ど、っと疲れたと同時に、Iさんありがとう……と心の中でぼやいた。
バイクへの慣れについては、自分でも感じていた。
前のように1時間で体が筋肉痛で辛い、ということもなくなった。
最短ルートから少し外れ、1時間の延長を経て合計10時間で1段階完了となった。
教官との相性問題
教官との相性問題は少なからずあるな、と思った。
感覚で雑な説明しか説明しない人もいれば、Iさんのように体験させてくれる人もいる。
2輪は基本的にマンツーマンでつきっきり、ということでもないため、普通自動車の免許よりもこのあたりの差が大きく出るのかもしれない。
Iさんのタンデム体験が無ければ多分まだ一段階を越えれていなかったと思う。
ここら辺は運なのかもしれない。
ということで、僕の普通自動二輪免許教習の第一段階は幕を閉じ、第二段階へ進むことになった。
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