【ネタバレあり】自分の中の差別観に気づかせてくれる映画 「グリーンブック」と「岬の兄妹」【書くンジャーズが勧めるオススメ映画】
(注1)「みんなのフォトギャラリー」にちょうどいいのがあったので借りました(笑)
(注2)先日メインブログに映画の話書いたところ、ちょうどいいタイミングでこちらのテーマでしたので転載です(手抜きとも言う)。いま観られるやつがいいしね!
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※ネタバレありというかネタバレしかありません。ご注意ください。
今日は仕事帰りにふと映画を観に行こうという気分になった。昨日まではまったくそんなつもりはなかったのだけれど、おそらく帰りにShimoQuiRadioをかけていたからだろう。
「映画『グリーンブック』ネタバレ大スペシャル」と銘打たれているとおり(一体どんなタイトルだよw)、グリーンブックのほとんどすべてを喋ってたようですが、「白人のナイトクラブの用心棒が黒人のジャズピアニストと旅に出る」とたぶんしもつさんが言ってたことと、しもつさんがくいしんさんに「ふたり組が友情を深めるみたいな話好きだよね」と言われてたことしか覚えていないくらい、ちゃんと聞いていませんでした(失礼w)
おかげで直前までアカデミー賞で5部門にノミネートされ作品賞をはじめ3部門で受賞するほど有名な作品だとも知らず、なんとなく「最高の人生の見つけ方」のように「男性ふたりが旅の中で友情を深めるいい話」なんだろうと思っておりました。
あらすじは1960年代のアメリカでナイトクラブを暴力沙汰でクビになったイタリア系アメリカ人トニー・ヴァレロンガがジャマイカ系アメリカ人の天才ピアニスト"ドクター"シャーリーから運転手兼ボディーガードとして雇われ、8週間に渡る南部ツアーの道中を共にするという実話に基づいたお話。
現在のアメリカでも人種差別は根強く、最近でも白人警察官によって罪のない黒人の方が殺されたり、強烈な差別意識に基づいた銃乱射事件も記憶に新しいですが、当時は州によってはジム・クロウ法という法律によって黒人が利用できない施設があるなど、より差別がはっきりしていた時代。グリーンブックとはそういった時代に「黒人が利用できる施設」をまとめたガイドブックのことです。
そんな時代なのでトニーも当初、黒人に対しての差別が強く、自宅に来ていた黒人作業員が利用したコップをこっそり捨てようとするほどでした。
このシーンを見たとき「あぁ、黒人差別と戦う映画なんだな」と思ったのですが、そう単純なものではないということがだんだん分かっていきます。
白人であるトニーが黒人であるシャーリーを差別している一方で、お金持ちで分別のあるシャーリーが喧嘩っ早くてガラの悪いトニーを差別(軽蔑)していたり、トニーの愛称"リップ"や”ヴァレロンガ”を隠すように要求したり。「黒人らしからぬ」格好をしているシャーリーを旅先の黒人が色目で見ることもあれば、白人であるトニーが同じ白人からイタリアンとしてバカにされることもあり。シャーリーは天才ピアニストとして富裕層から招かれ称賛される一方で、演奏会が終われば黒人として扱われ、一方で黒人からも黒人らしくないとされ、常に孤独と戦っていましたが。長い旅の中でトニーという理解者を得ることで「勇気」を得ることに成功し大きな一歩、いや三歩を踏み出すことに成功します。
この映画が教えてくれることは「差別はいけないからやめましょう」とかそんな話ではなく、世界は差別に溢れているということ。そして、差別に勝つためには相手を知ること、その相手を認めることだということだと感じました。
これと同じような感覚を持たされたのが、鹿児島での公開日に見た「岬の兄妹」。
R15指定の作品で終始胸が苦しい状態のため誰にでも勧められる作品ではないのですが、、、
海辺の町に住む、足に障害を抱える兄と自閉症の妹の兄妹。仕事をクビになり生活がままならなくなったことがきっかけで兄は妹に売春を斡旋し始め、それがうまくいってしまったが故にやめることができずどんどん深みにはまり負のスパイラルに。性に目覚めたいじめられっ子以外誰も救われないように見える作品(性に目覚めた結果、彼の人生が明るくなったかは定かではありません)。
こちらも差別に溢れていました。身体障害者である兄への差別、自閉症の妹への差別、性労働に対する差別、肉体労働者に対する差別、障害者間の差別。「障害者の妹を売るなんてひどいお兄さん」という単純な話ではない。妹は自分を好きと言ってくれる人が現れ、性行為によって快感を覚え、必要とされているという実感を得ていたかもしれない。障害者は恋愛をしてはいけないのか。障害者は性行をしてはいけないのか。障害者は結婚してはいけないのか。風俗を利用してはいけないのか。出産してはいけないのか。
妹が妊娠したとき常連さんとなっていた小人症の男性のところにお兄さんが「結婚してやってほしい」とお願いにいき断られた。きっと見ていた人のほとんどはお兄さんと一緒に「なんで」と思ったはず。それも彼に対する差別。
警察官である兄の幼馴染に感情移入して一緒にお兄さんに対する怒りを爆発させていた方も多いだろう。「お前何やってるのかわかってるのか」彼がするべきことは兄を説教することでも、お金を貸してあげることでもなかったはずだ。するべきことは彼らが生活できるように社会的資源に繋いであげることだったと思う。
話は変わるが、終盤、お兄さんの足が治り喜び勇んで公園ではしゃぐシーンから残酷な夢オチで地獄に落とされた。そしてラストシーン。オープニングと全く同じシーンで兄が携帯片手に妹を探している。前の夢オチが効いて「ひょっとしたらこれまでの全部夢だったんじゃ?夢であってほしい」からの岬にいる妹に兄が声を掛けると携帯がなる。「ひょっとしてお客さんからの電話か」とドキッとする観客。電話の音に振り向き、女性的な表情を見せる妹(心なしか嬉しそう)。「夢であってほしい」という気持ちと「やっぱりダメだったか」という気持ちで幕が閉じ、もうほんと救われなさ過ぎてすごくいい作品でした。
私、映画にしてもドラマとかにしても大事なとこ見逃したり・聞き逃したりで解釈がずれてたりするんですよね~。今度はちゃんとShimoQuiRadio聞いて答え合わせしてみようと思います。是非2作品とも見て感想聞かせてくださいませ。
大事なことをいい忘れました。「岬の兄妹」の妹役、和田光沙の演技がハンパないです。それだけでも見る価値あり。
もう一つ大事なことをいい忘れてました。「グリーンブック」のマイ・ベスト名言はトニーの「寂しいときは自分から先に手を打たなきゃ」です。
次は「愛がなんだ」を見る予定。今日、職場で後輩から「メンヘラの映画なんですよね」と言われちょっとキレてますw
【追記】
「愛がなんだ」は事前に小説読んでてマモちゃんが成田凌ってことに納得いってなかったのですが、ちゃんとマモちゃんでした。
岸井ゆきのはドラマ「99.9%」で好きになって、同じ空間で舞台「ナムハムダハム」を見てもっと好きになりました。結構、岸井ゆきのみたいな人(どんな人かコメントは差し控えます)好きになるなと思っていたのですが(決して山田さんみたいな人ではない)、深川麻衣も好きなのでタイプなんてあったもんじゃないなと思いました。
岸井ゆきの愛を伝えたいだけなので全然感想になってませんのでまた書きます。↓書きました
鹿児島でも天文館シネマパラダイスで2019/6/7~から公開予定です。皆見に行くように!
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