車いすバスケットボールを観戦してきて感動しちゃった話②
開場時間になったので体育館内へ入った、
30年以上ぶりの東京体育館。新しくなったのかどうなのか、全く記憶にない。でも観戦席の感じ。うっすらと覚えている。
四方向にある観覧席は東西南北で区切られているのだが、その中の”東”というワードが引っかかる。私は1年か2年かもしくは3年生のとき、この”東”が指定だったのだろう、多分。ああ、当時2階席から眺めた体育館内はとっても広かったような思いが蘇る。
今日は、バスケットボールのコートを囲うように会場にアリーナ席が設けられている。なので昔の記憶に比べて小さく感じた。もっとも今回私はアリーナ席での観戦であって、2階席には行っていないので、もしかしたら上から見る景色は30年前と変わらないのかもしれない。
そんなことはさておき、岸田団はアリーナ席をググッと進み、オフィシャル席側、センターラインを超えてゴール前辺りに陣取った。
今回の試合は3位決定戦と決勝戦だ。つまり4つのチームの試合があるわけでそれぞれの応援団もそれぞれの位置に陣取っている。私たち岸田団は、どこどこのチームを応援しよう!というものではなく、車いすバスケを観戦しよう!というスタイルなので、この位置がどのチームの応援席か知らない。一体どこのチームの応援席なのか。まわりを見渡すとこのあたりの席は伊丹スーパーフェニックスの応援席だということが、揃いのTシャツや横断幕で
わかった。これから始まる3位決定戦の試合の出場チームだ。
11時、頭の上から歓声が上がる。
NO EXCUSE対伊丹スーパーフェニックスの試合開始だ。
バスケって格闘技並みのぶつかり合いのスポーツ。だけど教科書とかを見ると「体のぶつかり合いがなく安全なスポーツ」とか書いてある。体がぶつかるとファウルを取られてしまうから、結果的に体に触れないようにしなくちゃならない、ということになっているのだ(ファウルを誘うような行為はフェアプレイの観念からもよろしくないということでルールの改変もあったよう)。
バスケはボールを奪い合いながら相手のゴールを攻めるゲームだ。守る=ディフェンスと攻める=オフェンス。巧みにボールを回し、外角や速攻でシュートを決めたり、ゴール下に入り込みシュートを打つポストプレイ。どれも相手の隙をつく、邪魔をする、などしながら守り攻める。だから格闘技のようなスポーツ。当然相手との接触も多く、怪我につながる危険がある。それを防ぐために存在するのがルール。基本的に相手の体に接触すると何かしらのファアルを取られてしまう。個人で5つファアルをすれば退場、チーム全体で1クオーターにつき4つファアルになれば相手にフリースローが与えられる。
これが厄介なのだ。攻め込むときも防御のときも踏み込んでいかなければシュートを放ることもボールを奪うこともできない。しかしファアルが怖い。バスケを始めたばかりの頃は頭でっかちで行動よりも頭で考えてしまってよく足も手も止まった。何度監督に怒鳴られたことか。
ファウルを恐れずに突き進むガッツがバスケには必要なのだ。ファウルは「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と同義なのだ。
でもね、そうも言ってられない。だって5つ取られちゃと退場だもの。
でもってファアルを取られる人って大概とんでもないヘタクソかものすごく執念深い人。大会にはとんでもなくヘタクソな人ってまずいないので、大方がこの執念深い人、こういう人は絶対にチームには必要なのよね。それを失うわけにはいかない。だから自分も周りもファアルにならないように気をつけなきゃならない。ここで重要になってくるのは、周りをよく見てパスをうまくまわす司令塔。スラムダンクでいうところの宮城リョータ、つまりポイントガードだ。この役割がどれだけ仕上がっているかで試合の命運が分かれる(と、私は思う)。
と、これは私の知っているバスケの話で車いすバスケの話ではない。もちろん車いすだからといってぶつかり合いがOKなわけではない。車いすバスケはファウルもバイオレーション(トラベリングと24秒ルールとかね)もルールはほとんど変わらないらしい。でも車椅子に乗ってコートを走るんだから、接触があったらそれは断然こちらの方が危ないし、ゴール下の台形の部分に3秒いるとバイオレーションを取られるが、そもそも車椅子に乗った状態でポストプレイなんかできるのか。ディフェンスだって基本はゾーンだろうが、ポイントゲッターにはマンツーマンで張り付くことなんてできるのか。
そんなもん杞憂だった。
伊丹スーパーフェニックスにはリョーちんがいたのだ。
それに車イズ同士の接触で転倒したら、なんと
自力で起き上がるのだ、彼ら彼女らは!(男女混合チームよ!)
ものすごい機動力なのだ。
観ていてもう途中から彼らが車いすでプレイしていることを忘れてしまいそうになった。
車いすだからスピード感があるのではない。
最高のプレイをしているからスピード感があるのだ。すごいぞ!
3位決定戦。制したのは伊丹スーパーフェニックス
抜群の機動力とスピード感が勝利の要因だったのかと勝手に思っている。
敗退したNO EXCUSEは残念ながら、今一つのところで相手チームに及ばなかった。スピードの差とリバウンドが取れなかったこともその一つかなと思う。リバウンドを確実に取り、素早く攻め込んでシュートを決める。バスケはボールを手にしないことには絶対に得点することはできない。だから相手の放ったボールを見逃さずに確実にリバウンドをとりにいく。あとは24秒以内にシュートを放るのだ。この24秒で相手はいろんな邪魔をしてくる。その邪魔を跳ね除けて攻め込んでいく、このテクニックが及ばなかったのだ。
さあ次は決勝戦。
気がつけば私は隣に座るハルミさんにずーっと解説をしながら、というか
実況しながら試合を観戦していた。いやもう「ただいま副音声でお届けしております」状態だった。後ろで奈美さんも「いや詳しい人がいるとええなぁ」なんて仰ってくれてたが、「うっさい」って思われてたんだろうなぁ。
でも現役時代から「相手を尊重、身内には厳しく」がモットーだったので、
ブーイング的なことは一切してないよ、ってことを断っておく(なんのため?)
つづく