TJのヤバ過ぎるスキル。
レペゼン柴又、Torajiro in here.
時系列前後しますが、ジブン株式会社ビジネススクール。10月の最終講義、
「営業の神髄とは何か」をテーマに木下さんと旅仲間の皆さんでトーク形式の講義でした。
その中で、寅さんの鉛筆売りのエピソードが触れられていて、非常に面白かったので深堀りしてみます。
営業職が向いていないと愚痴をこぼす、就職して半年の甥の満男に、寅さんはその場に置いてあった鉛筆を手に取り「これを俺に売ってみろ」と持ち掛けます。
いくつかの視点で見てみます。
1.機能的価値でなく、ストーリーを使って鉛筆の情緒的価値を伝える
「消しゴム付きです」と鉛筆の特徴を説明する満男ですが、客役の寅さんは「いりません、私は字を書きませんので」とバッサリ。「こんな鉛筆売れないよと腐る満男に、俺に貸してみろと寅さんは鉛筆を手に取ります。
「おばちゃん、俺は鉛筆を見るとおふくろのことを思い出すんだよ」
と、語り始める寅さん。
機能的な価値でいえば、削る作業が必要なく、芯が折れることのないボールペンのほうが便利。しかも、お客は急いで何かを書かなくてはいけない、書くものが必要という状況でもありません。ですが、多くの日本人は子供のころに鉛筆を使っていて、匂いや、さらさらとした書き心地を体で覚えています。その心地よさや懐かしさをストーリーで喚起して、あ、鉛筆っていいよね、と機能的な価値ではなく、情緒的、意味身的な価値を顧客に感じさせる。
意味的な価値、コトラーのマーケティング理論でいえば3.0。価値主導・人間中心のマーケティングに当てはまります。路上の物売りの寅さんですが、
ストリートのスキルヤバ過ぎですね。
2.場の人達の共感も得て、1を強調する
この場合のお客である満男に対してだけ語るのではなく、「おばちゃん、おれはさ、」と、周囲を巻き込んで語り始める寅さん。これ重要だと思いました。場の空気を寅さんがしっかり握っている。ストーリーで人を引き込むにはある意味夢を見させるようなものです、相手を冷めさせてはいけない。
しかも巻き込むことで「私もこんなに短くなるまで使っていた」「頭を削って名前を書いたりな」と共感やエピソードを引き出してさらに空気が温まっています。それによって意味的価値がより強く伝わっていると思います。
ストリートのスキルヤバ過ぎですね。
3.テンポよくプライスを提示する
「60円ってとこだろうが、30、いや20円で良いよ」と言ってますが、使いかけの、しかも消耗品のありふれた鉛筆を新品価格の33%。考えてみるとかなり高く売っているとおもいます。しかし客の購買意欲が温まっているところで、なんかお得感を感じさせながら自分主導のプライシング。このスピード感。
そしてクロージングのセリフが「さっさとだせ」笑
ストリートのスキルヤバ過ぎですね。
旅仲間の皆さんのトークを聞いても、営業においては人の魅力と数字を考える力が重要だと思います。
短いシーンに、寅さんの語り口と素早いプライシング。魅力と数字がしっかり入っていて面白いなと思いました。売りつけてるのがその辺にある使いかけの鉛筆なだけにさらにヤバいですね。
ノースkでした。
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