俺の車校ルポ【1】-安全運転度D-
※このルポに書かれていることはノンフィクションですが、特定を防ぐために一部脚色があります。ご了承ください。
この記事を、全ての社会不適合者に捧ぐ───
科挙を彷彿とさせるものを感じる車校だが、ご察しの通り難易度には天と地ほどの差がある。日本の本免の合格率は75.9%であり、余程のことがない限りは落ちない。だから2週間の合宿で免許が取れたりする。高速であおり運転をする彼も、コンビニに全力で突っ込む彼女も、みな免許を持っている。
だから、車校ルポという記事は9割以上の人には必要ない。車校が如何なるものかを知らなくても、ただ教官の指示に従っていれば”絶対に”免許は取れる。身近で、車校が難しすぎてやめたという話を聞くことはまずない。
しかし、私は車校が難しすぎてやめようと思っている。仮に取れたとしても、一生涯アクセルを踏むことはしまい。このルポルタージュを私のような1割未満の人─── 免許を取ろうとする社会不適合者に捧ぐ。
漏れ、18歳高校生。共テなし推薦という不正で地方国立の文学部に合格し、春休みに免許でもとろうと思っている社会不適合者。
車校に入って、まずするのは「写真撮影」「視力検査」「OD式安全性テスト」の3つである。前者2つには何ら問題ないし、何らかの問題があるなら眼科なりに行った方がいい。視力は矯正視力で両目0.7かつ片目0.3以上あれば問題ない。
しかし、問題なのが「OD式安全性テスト」である。認知症診断テストを想像してもらえばわかりやすい。「どっちの数が大きいか」「この規則性に合う図形はどれか」といった問題を永遠に解く。その後、アンケートに回答する。
暫く待つと結果が返ってくる。テスト自体も長時間のものではないので辛さもそれほどない。激しい喜びも深い絶望もなく、テスト返却が進む。
「北犬くん。」と名前を呼ばれ、自らの惨状を目撃するまでは。
安全運転度D 運転適性度2
何度見返しても、である。まだ運転をしたこともないのに、触法行為をしたことはないのに、中高ともに皆勤賞だったのに、である。
若干18歳の初心な少年が受ける衝撃としては大きい。認知症診断みたいなテストの結果が悪い。大人という成熟を通り越して後期高齢者になったかのようなショック。その足で高齢者講習を受けに行こうかと思ったが躊躇した。
しかも診断結果もかなり当たっている。「神経質で怒りっぽいがセンチメンタル」、ここまで自分の性を言い当てられると、プラセボ効果の一言では済ませられなくなった。
まあいい。テストが悪いという経験は無数にある。今回はそのインパクトが強かっただけ。隣のヤンキーがC判定のヤンキーをバカにしてたが落ち着け落ち着け落ち着け…
「北犬くんは運転が苦手そうだから、優しい〇〇先生に担当してもらうね」
この決断が自らの車校生(人生的な)を大きく乱すことになるとは、まだ高校生であった自分がみきわめできることではなかった。
今日のまとめ
車校は、9割以上の人にとっては三河安城ぐらいなんともない通過点
しかし、1割未満の人にとっては人生の絶望を手軽に味わえる場所である
OD式安全性テストをガチれ。これで運命決まる。認知症診断とかIQテストを解きまくれ。
車校ルポは気が向いたら更新します。
車校をやめたら更新が途絶えるかもしれません。