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スタンフォードMBA留学記(2024年卒業) ⑤日本から海外MBAに行く意味 その1
スタンフォードMBAでのリーダーシップの話はまだ続くのですが、ここでいったん別のトピックを挟みたいと思います。
海外MBAに興味はあるけど、かかるお金や時間も加味すると、行くべきか決心がつかないとのご相談を受けることがあります。①英語力に自信がない、②海外ではなく日本で働きたいと思っている、といった理由で、海外MBAに行くことの意味・価値に確信が持てないという話を聞きます。その気持ち、よくわかります。
①英語力に自信がない
スタンフォード進学前、私の英語力は「帰国子女でないわりにはできる」程度でした。短期留学や交換留学の経験はありましたが、ネイティブには歯が立ちませんでした。MBA受験時代は、日本からアメリカの名門MBAに受かるのは帰国子女ばかりなんだと落ち込むこともありました。
「英語ができなくても大丈夫!」と耳に優しいことを言いふらすつもりはありません。私も、スタンフォードに着いて、最初の1学期は特に苦労しました。予習のリーディングの量が多かったのですが、英語を読むスピードが遅く、読んでも読んでも読み終わらない。寝不足で次の日の授業に行くと、日本語であれば踏ん張れる程度の眠気でも、英語だと起きていられない。
これではだめだということで、いくら予習が終わっていなくても睡眠時間を確保するようにしました。慣れてくると、予習のどこで手を抜くべきかをわかるようになりました(理想ではないですが、生き延びるためです笑)。まず提出物を終わらせて(この時点でけっこう遅い)、残った時間で大事そうなところを読めるだけ読むことにしていました。それでも、読んでいないところで当てられたらどうしようとドキドキすることも多かったです。
最初は、MBAのなかで、明らかに自分が一番英語が下手だと落ち込みました。というのも、データ上は海外からの留学生が4割程度と公表されていますが、そのなかには、子どもの頃に移民してきて育ちはアメリカ、学部からアメリカに移住したなどという人たちも多かったですし、カナダやイギリスといった英語圏からも来ているので、実際に非英語圏で暮らしてきた人と言えば1割は切っていたと思います。多様性とか言いながらひどいと思っていました。
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専攻によって英語での発言や議論の量が全然違いますが、MBAは、他と比べても格別に話す機会が多いです。話してなんぼというコースです。議論やグループワークに貢献しないと、成績が下がります。日本の学部時代は期末試験で一発勝負だったことを思えば、大きな違いでした。
リーダーシップ編の話ともつながりますが、日々、授業やグループワークで修行して、苦手を少しずつ克服していきました。一番効いたと思うのは、実際に社会課題を解決する起業をしてみるという授業で、地域の住民の方に何十人もインタビューしたことです。最初は自信がなくて記録係をさせてもらっていたのですが、インタビューが増えるにつれてグループのなかで係を回そうということになり、私もインタビューするようになりました。初対面の方と信頼関係を気づいてなるべく色々な話を聞くために、必死で聞いて話してということを繰り返すうちに、気が付いたら苦手意識がなくなっていました。
英語での苦労を忘れた卒業の頃に複数のクラスメイトから言われたのが、「入学したときと比べて英語がすごくうまくなったよね」ということです。久しぶりに会ったクラスメイトにも、「気を悪くしたらごめん、でも見違えるほどに英語がうまくなったから、ぜひ伝えたいと思った」と言ってもらいました。また、前に書いたLeadership Laboratoryで同じグループだったクラスメイトには、「身振り手振りを含めて、堂々とした話し方になったのを見て感慨深い。誇りに思うよ!」と言われました。
何より、英語で話すことがもう怖くないです。こんなことを言う日が来るなんて・・・
というわけで、入学時点である程度の英語力があること必須だとは思いますが、ネイティブレベルではなくてもなんとか生き延びることはできるし、卒業する頃には「何のこと?」という感じになっている、だから英語の苦手意識だけを理由に受験を諦めないでほしい、と思います。私もそうだったように、日本では英語に苦手意識がない人を探す方が難しい気がしています。
日本から海外MBAに行く意味、その2に続きます。