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エホバの証人二世のトラウマ世界〜12年間の歪んだ教育⑩

この文章はある特定の組織や人物を誹謗中傷したり、傷つけたり、貶める意図は全くありません。また、信仰の自由を否定するものでもありません。個人的な感情を凝縮した文章です。古い記憶の中には、間違いや歪曲が多々あり時系列もバラバラだと思いますが、本筋には問題はないので確認作業はしません。

エホバの証人二世の学校生活

リアルな学校生活で、教義的に禁止されていた事もたくさんありました。そのひとつひとつを伝道活動の一環として先生に、「僕はエホバの証人で、このような理由があるので何々には参加できません。」と直接説明する事が求められ(強制され)ました。

今考えると先生達は大人で、僕みたいな生徒は一定数いて経験もあり、先生同士で情報交換もされ、別にどうとも思っていなかったでしょうが、これにも相当なストレスがありました。

とにかく先生が僕がエホバの証人だと知っていたとしても自分の身分を明かす事は本当に苦痛でした。「だってお前喧嘩とかするくせに、一丁前にエホバの証人ズラする時もあるのな。」と心の中で思われているような気持ちになりました。

君が代や日の丸は、悪魔の世界の国を褒め称えるものだからダメ。

校歌を歌う事もダメ。歌うフリもダメ。厳格な家庭の場合は、皆が直立しているその場所で座らなければならない。

体育の柔道も戦いは学ばない宗教でダメだから、ジャージで見学。でも畳の出し入れは手伝う謎。

クリスマス会や豆まき、鯉のぼりも雛祭りもこの世の行事は不参加。そんなイベント時には図書室に二世の子供が集まりました。知った顔達が集まっていることはそれはそれで安心でしたが、誰もが浮かない顔をしていました。

運動会の騎馬戦や応援合戦も不参加です。自分の席で待つ時の周りの好奇な視線に耐えました。配慮のある先生の場合、皆から見えない隅の方にわざわざ移動させてくれる先生もいました。

それから、年に数回あるエホバの証人の集合大会みたいなイベントがあり、その為に学校を休む事も自分で直接話す必要がありそれも大嫌いでした。

とにかく自分が信じてもいない宗教で、他の皆と違う事を宣言する勇気って本当に不必要でした。


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はじめてのバレンタインチョコ

小学校1年生の時のバレンタインデーにチョコレートを貰った事を憶えています。近所に住む同い年の女の子が学校帰りにそっと渡してくれました。

初めての事でしたし、そんな行事がある事を少しは知っていた僕はウキウキした足取りで帰宅し、母親に報告しました。

その瞬間母親は、「それはサタンの罠。今すぐ返してきなさい。」と冷たい怒りの口調で僕に言いました。僕はチョコレートを手にその女の子の家に向かいましたが、どうしてもチャイムを鳴らす事が出来ず、そっとポストに入れて帰りました。

その報告をした僕に母親は、「エホバの証人だから、この世の行事には参加しません。受け取れないと直接返してきなさい。」(小学校1年生に言う言葉とは本当に思えません。)とさらに強い口調で僕に言いました。

お仕置きを恐れた僕は、すぐに女の子の家へ向かいましたが、その女の子との関係性や、彼女の気持ちを考えると足取りは重く、ポストからチョコレートを取り出した後チャイムを鳴らすまでに時間が掛かりました。

家から出てきた女の子に僕は、「ママが人から物を貰っちゃダメだって。」と上手な説明をして、きょとんとした女の子にチョコレートを返し、逃げるように家に帰りました。

エホバだからとかなんとかは言わなかった事に対しての罪悪感を強く感じながら、同時に、うまくいった!という満足感を感じ帰宅しました。「ちゃんと言ったの。」と確認する母親に、「うん。ちゃんと言った。」と嘘をつきました。

それから暫くはその嘘が、女の子のお母さん経由で母親にバレないかビクビクして過ごしました。

母親と友達と自分との折り合い

こういう事は当時よく起こり、母親からのプレッシャーと周りの友達や環境と自分の立場の折り合いを付け、子供ながらになんとか知恵を絞り誤魔化しつつ処理をして、その誤魔化しや嘘がバレないかとビクビクする。その案件が重大だったり、大きい時はバレませんようにと、もちろん悪魔に祈りました。

バレた時は最悪お仕置き。バレない時はラッキーで、悪魔に「ありがとう。次もお願い。」と感謝しました。そんな事は本当によく起こりました。

その女の子からは2度とチョコレートは貰えませんでしたが、ずっと仲良しでいてくれました。


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北乃 扉
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