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教育の真の目的は「態度」を変えること

虎の穴に行ってきた

さて、見出しの絵を入れてみたよ。これは何かというと、僕が2012年にスロベニアでIMTA(International Management Teachers Academy)というところで学んできた、究極の教えなんだ。

IMTAって何かというと、世界中の大学・大学院の教授たちがスロベニアのブレッド湖の合宿所に一同に介し、ケース・スタディの進め方について厳しい訓練を受ける場のことだ。

虎の穴、って知ってるかな(知らないよな)。

アニメのタイガーマスクが、地上最強のプロレスラーになるために地獄の訓練を受けたところだ。コールタールのプールで泳がされたり、熊と戦ったりさせられた苛烈な場所だ。

言ってみればIMTAは、ケース・スタディの教師になるための”虎の穴”なのだ。

生き残りをかけてケース・スタディに力を入れる世界の大学

世界中から、ケース・スタディのやり方を学びに、猛者たちが参加するのはなぜか。

こういうことだ。今、経営学の教育ではケース・スタディこそが最良、最高のメソッドと考えられていて、特にヨーロッパの大学、大学院ではケース・スタディ教育の良し悪しで学校の評価が決まり、経営にも大きな影響を与えるとされているんだ。

そう、これは世界の大学業界が血眼で生き残りに必死だという現実を反映している。日本の大学は?それは、言えないよ(笑)

だから、各大学はケース・スタディ教育を強化しようと必死で、まずはケース・スタディの教師の育成ということで、適任者をこのスロベニアの虎の穴に送り込むんだ。

グローバル教育なんて口だけの日本の大学

このIMTAは30年の歴史があるが、日本人の参加者は、僕だけだ。(だった)日本の大学はケース・スタディなんて興味ないんだよ。

それも僕は2012年、14年と2回も参加した。これはちょっとしたあるロシア人との出会いがきっかけだった。縁は大事だね。

いろんな訓練をやらされた。アドリブでjudo in action(ジュードーをテーマに日本の経営を30分で説明しろ)なんていう課題というかパフォーマンスをさせられたのは、いい思い出だな。(いつかこのビデオは公開しよう。恥ずかしいが)

前回言ったように、ケース・スタディ自体は、もうアメリカのビジネススクール時代に経験している。でもそれは学生としてだ。

IMTAはケース・スタディを教える方を訓練するキャンプだ。ケースの選び方、授業の進め方、生徒のモチベーションの付け方、評価などなどそれは多岐にわたる指導ポイントがある。

教育で最も尊いのは態度を変えさせること

いちいちは取り上げないけれど、そこで僕が最も感銘を受けたのが上の図なんだよ。教育で最も大事なのは何か、ということが書いてある。

知識、じゃない。スキル(技能)でもない。態度を変えることこそが、教育の目的だというんだ。

態度って何か。例えば日本人の平均的な勉強に対する態度って、受け身、じゃない。自分で調べようとしないじゃない、仲間と意見を交わしたりしないでしょ、グループワークなんてやらないじゃない、先生に逆らわないじゃない、プレゼンテーションの機会なんてないじゃない。これがキミたちの態度だよ。

でもそれは間違った態度だな。何も産まないさ。

結局先生の言うことを批判もせずに受け入れ、教科書をまるまる暗記するだけ。

東大は受かるかもしれないけれども、正解は一つだけだから、現実の諸問題や今回のコロナみたいなイレギュラーな変化にはお手上げだ。

でもそれはキミたちが悪いんじゃない。先生が悪いんじゃない。先生は文科省の決めたやり方で教えないとならないんだ。あまり意見も言わせちゃいけないんだ、議論なんてもってのほか、授業が進まなくなる。

危機感のない日本のリーダーたち

じゃあ、誰が悪いんだよ。

何もわかってない国のリーダーたちが悪いんだよ。とくにグローバルに競争しないと大変なことになるっていう現実がわかってないよ、日本のリーダーたちは。

コロナのワクチン接種は世界で130位だよ。新薬の開発すらできない後進国になってるんだよ。

国の根幹は教育じゃない。それが相変わらずどうでもいいことだけ無理やり暗記させるだけって、いったい何考えているんだろう。

せいぜいこの連載がキミたちの、助けになればと思って始めたよ。

みんなの力は眠っているままだ

さて、ケース・スタディでまず自分で調べ、意見をいい、仲間とディスカッションをし、グループで意見をまとめ、レポートに書き、最後発表する。その間にリーダーとしてチームをまとめる。

こういうダイナミックな態度で鍛えるのと、キミたちのやらされている受験勉強じゃ、結果はぜんぜん違うと思わない?もっとも高校生でケース・スタディやっている国はないと思うけどさ。

実際、経営学に関しては学生も大学院生も、社会人も、ケース・スタディでまるで別人のように変わる。

大人にも効くケース・スタディ

この連載は高校生に向けているから、まさか大人の人で読んでいる人はいないと思うけれど、実は僕はサラリーマンの皆さんにも劇的に効く、と思っている。

もともとケース・スタディは大学院から普通は始めるから、社会人学生で経験している人もいる。でもこれ、会社で研修としてやったらすごく面白い。

結局目先のプログラミングスキル研修なんて意味ないんだよ。もっとダイナミックに人を変えるような研修じゃないと。それにはケース・スタディだ。でも問題は誰が教えるかだけどね。

キミたちにケース・スタディをやらせたいけどさ

僕はケース・スタディをキミたち高校生にやらせたい、そう思ってるんだ。

いやいや、この連載はさ、俺がなにかキミたちに売り込もうっていうんじゃないよ。だからいついつケース・スタディをやるからこの指止まれー、なんて言わないさ。

ちょいとケース・スタディを出すのは早すぎたな。

いきなり結論を言っちゃったものね。でもこれはこれで一応出しとくよ。

そう、この連載のタイトルは「グローバル・リーダーを目指す高校生のための最強経営学」じゃん。そうなんだよ、最強経営学ってケース・スタディのことなんだ。

次回はまたちょっとケース・スタディのことをお話して、次からは実際の世界の動きを題材にして、キミたち未来のグローバル・リーダーはどうしたらいい、を考えよう。

今日も読んでくれてありがとう。じゃあ、またあした。

                            野呂一郎

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