映画Rust誤射事件で思い出した「カネは命より重い」。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:なぜアメリカで銃乱射事件がなくならないのか。最近起こった映画ロケでの銃誤射事件が物語るものとは。文化という人類のウィークポイント。トップ画はhttps://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fbinbou33.com%2F%3Fp%3D8218&psig=AOvVaw0E-nU8dphelEl7TDnWpiVa&ust=1680519959621000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjamY_rhov-AhVENN4KHbdxC8UQr4kDegUIARDYAQ
映画ロケで起こった痛ましい事件
ニューヨーク・タイムズ2023年2月5日P8は、Actors debate the handling of guns on the "Rust" film set(俳優たちが映画Rustのロケセットでの拳銃の扱いをめぐり議論)の見出しで、映画Rust(直訳すると、さび)で拳銃誤射により撮影監督が死亡した事件を検証しています。
具体的な描写はないのですが、この事件で聴取されている俳優たちは、「リアルな弾丸が装填されているなどとは聞いておらず、安全だと信じていた」と口を揃えます。
記事によれば、ハリウッド映画には銃は欠かせないのと、映画にリアリティを持たせるために、小道具(propプロップといいます)は殺傷能力のある本物を使う傾向がある、が事件の原因のようです。
人々のエキサイトをより誘発するためにより刺激的な演出をする、エンタテイメントに携わるものが、知らず知らずのうちに蝕まれる病理といっていいでしょう。
資本主義の病理ともいえましょう。
国際文化戦争の時代だ
先日、TikTok は中国が仕掛けた文化戦争だ、みたいなことを申し上げました。
つまり、エンタテイメントという文化は、ある種の兵器であり、人間の心に忍び込み、行動を変えてしまうという点でsneaky(知らず知らずのうちに忍び寄る)でstrategic(軍事兵器よりもこころをコントロールするという意味で戦略的)だ、と申し上げたのです。
TikTok は拳銃よりも効果的に、アメリカ人をコントロールできる兵器です。
テレビや映画やスポーツが日本人を骨抜きにしたように、TikTok の楽しさにはまったアメリカ人は、個人情報を抜かれても、楽しくてそんなことはどうでもよくなってしまったのです。
拳銃で撃ち合うシーンが過激であればあるほど、アメリカ人は喜び、銃規制なんて考えないようになります。
アメリカ映画の問題点
平日の昼にやっている午後のロードショーをたまに見るんですけれど、いつもガンの撃ち合いシーンがメインになっている映画ばっかりですよね。
もういい加減嫌になって、録画していたビデオを止めるんですが、アメリカ人はこういう映画の悪影響を懸念しないのでしょうかね。
ちゃんと考えているひとも、います。
プロレスファンの皆さんは、ドウェイン・ジョンソンをご存知ですよね。
プロレス時代のリングネームはご存知”ザ・ロック”、俳優に転じて大成功を収めました。
いまでは彼は映画プロダクションを経営しているのですが、今回の事故に関して「うちの会社は、金輪際、本物の拳銃は使わない」と声明を出しました。
しかし、映画をめぐる状況は、どんどん厳しくなっています。
今回の映画のロケで起きた悲劇について、ボストンにあるノース・イースタン大学のミルズカレッジで演劇を教えている、劇場研究プログラムのディレクター(director of the theater studies program at Mills College at North- eastern University)も務めるビクター・タルマッジ氏(Victor Talmadge)は、ジョンソンに反対の立場のようです。
えっ、今回の事故の反省はないの?
タルマッジさんはこんなことも言うんですよ。
だめだこりゃ。
人が死んでも、実弾を使わせてヒーローをカッコよく見せるつもりだな。
結局資本主義のもとじゃカネが全てだから、個人情報を取られようが、命を取られようが、関係ないんですね。
カイジのサブキャラ、利根川のセリフを今更ながらに思い出しました。
悪の経営学っていうのがあるとすれば、エンタテイメントに名を借りて、人々を夢中にさせ、マインドコントロールすればいいってことですよね。
でも僕らはすでにSNSにやられているか。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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