スポーツマネジメント講義 実況中継。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:いまさらパワーポイント講義の是非。経営学はスポーツマネジメントと言えど、まずマクロ環境分析から始まる。スポーツをめぐるマクロ環境とは何か。
パワーポイント授業の是非
きょう大学で、第一回のスポーツマネジメント講義をやってきました。
パワーポイントを全く使わずにやったのは、初めてかもしれません。
でも、意外に学生の皆さんは聞いてくれました。
パワーポイントは、熱が入らないんです。
ナマで、黒板に書くと、noteで書いた最新知識や知見などを、熱を持ってぶつけられる感じがします。
パワーポイントは、前もって作るので、最新の見解や気付きが伝えられないんです。
その分迫力がなくなるし、アドリブもできないので、学生に自分の思いが伝わらない、隔靴掻痒の感じすらします。
そして、パワーポイントの授業は、もう一つの流れなので、付加的な情報を挟むのが難しいのです。
そして、もう一つ改めて感じたのは、チョークを使って黒板に書く感触は、ノートに鉛筆で書くのと同じで、書いていると何かインスピレーションのようなものが次々でてきて、学生と共有できる(こっちが勝手にそう思っているだけですが)ので、「案外、いいぞ」ということです。
企業などでも、最近は会議でパワーポイントを作るのは時間のムダ、という指摘が相次ぎ、A4一枚のテキスト原稿だけで報告や企画プレゼンを行うのが主流になっているようです。
非常に納得しますね。
チャットGPTも、いずれそうなるんじゃないかなあ。
YouTubeにしたって、かえって使いにくいと思いませんか。
一番知りたいところが、ピンポイントでゲットできないでしょ。
映像を再生しないと、あなたが一番欲しい情報を得ることができません。
その点で、note等のテキストで書いたものはいいですよね、さあーっと読むほうが倍速で見るより速いし、欲しい情報だって一覧性の強みですぐゲットできます。
皆が倍速で情報を欲しがる時代、noteの価値はどんどん上がるのではないでしょうか。
まあ、有益な情報がわかりやすくまとめられていることが、条件ですけれど。
スポーツマネジメント実況中継
きょう、学生の皆さんにやった授業を再現してみたいと思います。
さて、マネジメントと名前がつく科目は、まずはじめにマクロ環境分析、
つまりいまスポーツを取り囲んでいる環境、すなわち世界情勢をつかんで、理解することから始めなくちゃならない。
そのためには経済学よりも、経営学の方が便利だ。
経済学とは、数字だ。GDP(国内総生産)とか、失業率とか、貯蓄率とか、金利とかで、現在の状態を表す。いわば、点だ。
しかし、経営学は違う。経営学は数字でなく、人間の動きを追う。例えばスポーツでいえば、WBS。
(ここで学生から笑い、とともに「先生、WBSじゃなくてWBCだよ」の突込みが入る)
「悪い悪い、直してくれたキミにはAを上げる。WBSってのは、いつも見てるテレ東のニュース番組だった、間違えちゃった」。
そのWBCだが、なぜ今回盛り上がったか。
それはアメリカが本気になったからだ。
MLB(米大リーグ)は米国内の人気が落ちている。
だから野球を世界に出さなくちゃならない、プレッシャーが半端ないのだ。
いまやスポーツでグローバル展開していないものは、ない。
もう、本戦のメジャーリーグ前にWBCなんかに選手を出して、ケガでもされたら元も子もない、という考えはないんだ。
大谷翔平の動きを追いかければ、これから話す世界市場のルール、ダイバーシティ(diversity)、インクルージョン(inclusion)に関係する。
スポーツをめぐる政治情勢
世界の動きとは、政治情勢だ。
軍事大国ロシアがよみがえり、世界は専制主義のロシア、中国vs民主主義国家連合という図式が鮮明になった。
米中のテクノロジーをめぐる覇権争いは、Tiktokに象徴される。
アメリカの「個人情報を盗んでいる」の非難に、中国も応戦するが、結局は米政府関係での使用は禁止になった。
米は中国がIT、半導体のデータを盗んで軍事転用することを最も恐れている。
民主主義じゃない国の台頭は、厄介だ。
スポーツで言えば、それはロシアのドーピング疑惑だ。
国際政治同様、自分たちの存在を際立たせようと、国家ぐるみでドーピングを仕掛けてくる。
しかし、ロシアが理不尽な領土戦争を仕掛けてくるのを、国際社会は黙って見逃しはしない。
オリンピックから、ロシアを追放した。
「ロシアをオリンピックから外した決断は、正しかったのか」という問題は、十二分に現在のスポーツマネジメントの試験問題たりうる。
スポーツをめぐる市場環境
世界情勢に話を戻すと、世界では、もはや市場は一つだ。
世界中で、地域の違いなどはなくなった。
安くて品質の良い製品しか売れなくなった。これが世界市場の現実だ。
注目すべき動きは、アッパー層と言われる金持ちが、途上国と言われていたエリアに大挙して現れ、サッカーW杯などを主催するようになったことだ。
そう、カタールだ。
中東、アジア、インドが世界の経済大国になりつつあり、カネのある所にスポーツの花が咲きつつある。
市場のルールは三つ。
1.ダイバーシティ(diversity)多様性だ。
男女だけではなく、スポーツにおいては宗教、ライフスタイル、主義主張などで差別があってはならない。
2.インクルージョン(incllusion)これは含む、という意味だ。
何を含むのか、あらゆるジェンダー(性差)だ。
LGBTQと言われる多様な性を持つ人々を、スポーツは、企業は受け入れなくてはならない。
3.グリーナー(greener)。
これはよりグリーンに、つまり、環境に一層配慮せよ、地球により優しくなれ、という意味で、地球で活動するプレイヤーすべてに課せられたルールである。
スポーツマネジメントとは、どうしたら勝つか、チームのマネジメントはどうする、コーチング、モチベーション、リーダーシップなどマネジメントに関する様々なテーマがあるが、まずキミたちは、今地球の現実がどうなっているかを把握、理解しなきゃだめだ。
スポーツマネジメントという科目のすそ野は、広い。
オリンピックから、ナイキのようなスポーツグッズのメーカー、今はやりの環境ツーリズムならぬ、スポーツ・ツーリズムだって、その対象だ。
大谷選手応援ツアーの戦略なんてのも、スポーツマネジメントの今日的なテーマになる。
忘れてはいけないのは、スポーツを取り囲むマクロ環境は、スポーツの商業主義が年々ひどくなっているという事実だ。
これについては、後日あらためて説明するよ。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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