買うならデジタルじゃなくて、アナログ目覚まし時計、の理由。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益：デジタル目覚ましは使いにくくね？アナログ目覚まし求めて100円ショップへ。でも、市場にはデジタルしかないんだって。
アナログ時計はオワコンなのか
文字盤を時計の時計の針が動く、アナログ時計が好きです。
腕時計も、目覚まし時計も、壁掛け時計も、全部アナログです。
その中の一つ、目覚まし時計が、きのうからアラームが鳴らなくなってしまい、にっちもさっちもいかないので、新しいのを買おうと、近くの１００円ショップに行ったのです。
そこは１００円ショップとはいいながらも、上の価格帯の品ぞろえも充実しており、さっそく時計コーナーに赴きました。
しかしあるのは、デジタル目覚まし時計ばかり、僕は意を決して店員さんに訊いてみました。
「ちょっと待ってください」と言ったっきり、なかなか帰ってきません。
１５分後、彼女は僕を落胆させる答えをたずさえて、やっと帰ってきました。
「在庫がないのでメーカーに問い合わせたら、『もう作る予定はない』、とのことです」
目に見えない情報を伝えてくれるアナログ時計
デジタル時計は、僕を不安にさせます。
情報量が少ないからです。
何せ、今の時刻をあらわす、数字だけでしょ。
アナログの時計なら、時計の針が指す「絵」で、１時まであとどのくらいかわかるし、一日２４時間の中で、自分がどこにいるかが把握できます。
そのアナログ時計の情報は、単なる現在時刻だけではなく、どのくらい仕事を急がないとならないのか、とか、もっというと「時間の流れ」のような目に見えない情報を伝えてくれるのです。
アナログ時計は、今日の一日の時間の進み方も、教えてくれるような気がするのです。
デジタル時計は使えない、というのは、こうした肉体に話しかけてくるような、感覚的な情報がないからです。
そもそも、デジタル時計がなかった時、人はなぜ時計を見るかというと、単に時刻を知りたいだけでなく、時間を動かしている足を、つまり、時間の進むスピードをつかみたかったから、だったのではないでしょうか。
たとえそれが感覚的なものであっても。。
電子書籍にイライラするわけ
デジタルと言えば電子書籍も同じなんですよ。
電子書籍も、デジタル時計が現在の時刻だけを知らせるように、読むページや箇所しか、見せてくれません。
読者が本に要求しているものは、読もうとする箇所を示すだけじゃないんですよ。
常に本の全体を意識しながら、全体のなかの今はどの辺にいるのか、こういう感覚がほしいんです。
言ってみれば、全体感と部分感、です。
デジタル時計も、電子書籍も、部分情報しか示さないから、使うほうは不安になったり、満足感が持てないのです。
肉体の関与を拒否したり、人との関係性を作るのを嫌がるところも、そっけなくないですか？
どゆこと？
あなたとアナログ時計のつきあいは、単に「いま何時？」を訊くだけではありません。
あなたはそれにとどまらず、わけもなくじっと時計を凝視したり、必要のない時にも見たり、さわって愛でたり、あたかも時計が生き物であり、友達であるがごとく、肉体の関与を始めます、よね。
本はいまさら言うまでもないでもなく、あなたと戯れます。
擦り切れるまで読んだり、座右の書という言葉がしめすように、人馬一体、いや人と本が一体化するがごとく、たやすく本は人の一部になってしまいます。
しかし電子書籍は、こうした肉体的な交流を拒否します。
だって住んでいるところが違うんですから。
電子書籍は電子機器の中に、サイバー空間にお住まいなんだから、あなたと肉体を介して交わるなんてことは物理的に無理なんです。
どうしても交わりたいならば、あなたがデジタル化して記号となって、パソコンに忍び込むしかありませんね。
デジタル時計は信用できない秀才
やっとわかりました。
デジタル時計はつんとすました、いつまでたっても距離が縮まらない、いけ好かない秀才なのです。
優秀だけれど、心を許さない彼氏のような存在、それがデジタル時計です。
肉体を通じて会話できない相手は、人を不安にさせるのです。
アラームが起床時間に鳴ればいいじゃねえか、と、言う問題ではないのです。
きちんと仕事をしても、スキンシップをとりたくない、とってくれない唐変木とは付き合いたくありませんよね。
ことは目覚まし時計に限りません。
皆さんの周りが、こんな「デジタル野郎」ばかりだったらどうでしょう。
おそらく、皆さんは想像力と創造力をなくすのです。
握手をしたり、じっと見たり、用もないのに触ったり、時には体の一部を押し付けたり、モノと人間と言えども、そういう関係がなければ、あなたは脳みそまでデジタルになってしまうよ、そう言いたいのです。
デジタル目覚ましが壊れたって？
それじゃあ、メルカリで、製造中止になった5００円のアナログ目覚まし時計をゲットしましょう。
さあ、今日からアナログ時計との「愛の生活」が始まります。
時計をなでてやってください、お返しに時計はあなたにとって大切な何かをくれるはず、です。
野呂 一郎
清和大学教授