トランプは亡霊ではなく、生霊だ。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:トランプが再来年また出馬して、大統領になる可能性がフィフティ・フィフティだという根拠。米国発世界を巻き込んでいる”戦争”の正体とは。
冷戦の次の戦争が勃発
FBIの家宅捜索で「トランプは死んだ」という向きがありますが、これは皮相な見方です。
なぜならば、いまのアメリカ、いや世界の混乱は「トランプ対反トランプ」という表面的な図式に当てはまらないからです。
それは昨日の記事で言ったように、言論の自由の問題でもあるし、報道の自由でもあるし、ポリティカル・コレクトネスの問題でもあります。
この様相をきのうは一言で言えませんでしたが、今日は一言で言いましょう。(笑)
まさにこれをズバリ言ってくれた、The Wall Street Journalの記事を見つけたんです。
このトランプを巡る、くすぶっている状態。
FBIがトランプを潰したとかいや潰せないとか、トランプは死んだとか、生きてるとか。
影響力がまだあるとかないとか、再出馬するとかしないとか。
この状態を説明する、ひどく明快な答えがこれです。
「文化の戦争」。
言いかえれば、トランプか非トランプか。
おちゃらけか、真面目か。
ユーモアか、尊厳か、という価値観の対立です。
反トランプの文化とは何か
しかし、ここではそのトランプの文化は劣勢です。
トランプの文化をぶっ潰しそうな優勢な文化は何か。
それがwokeの文化なのです。
過去記事でずいぶんwokeについては触れているので、ご覧いただきたいのですが、簡単に言えばダイバーシティ(diversity多様性)、インクルージョン(inclusion誰も排除しないこと)、イクイティ(equity公平性)を尊重する価値観や生き方のことです。
一言でいえば、wokeとはあらゆる差別を絶対に容認しない文化、ということができるでしょう。
トランプと正反対、というイメージを思い浮かべれば、正解です。
トランプはしかし、亡霊などではありません、生きて我々を祟っているのです。
wokeというあたらしい価値観をもつアメリカ人に暴言を投げかけ、あざ笑い、挑発している生霊なのです。
woke的な価値観は、アメリカだけじゃなく、世界に広がっています。
ほら、そこにも。
差別に対するアンチパシーが激しいことは、消費者が企業のあらゆる製品、サービス、行動をくまなく監視してる現実を見ればわかりますよね。
マスコミも、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストは今や完全にwoke新聞になりました。
wokeの価値観を広める広報紙、です。
うがった見方をすれば、そういう紙面展開をしないと、売れないのです。
コメディやお笑い番組の危機
最近、Mr.ビーンみたいな作品がないと思いませんか。
もう、コメディは作れないんですよ。
なぜならば、あれはいちいちwokeに抵触するからです。
日本もコメディアンは、絶滅危惧種のおそれがあります。
僕もこの前のラジオ収録で、「あ、その言葉使えませんから編集しておきますね」と言われたことがあります。
よく言えば現代的な倫理、悪く言えば言葉狩りが、芸術をも蝕んでいるんです。
このThe Wall Street Journalの記事のタイトル「文化戦争は継続しなきゃダメだThe culture war must go on」はwokeという時代の正論に立ちはだかる、一般庶民の声なのです。
それは共和党支持者たちであり、メリークリスマスを言えない不満を抱える人たちであり、行き過ぎた言葉狩りにおびえる庶民であり、表現の自由を求める芸術家たちの声なのです。
だから、僕は「トランプは亡霊じゃなくて、生霊だよ」というのです。
「トランプは死んでない」との声は妄言じゃなくて、アメリカ人の危機感をわかりやすい固有名詞になぞらえただけなんです。
僕らは気づいてないけれど、僕らもこの文化戦争のさなかにいます。
思えば昭和の時代は、何でもあり、でした。
それがことばであっても、規制の少ない経済のほうが発展するのは物の道理でしょう。
経済がこれほどしぼんでしまったのは、もしかしたらこの戦争の影響かもしれません。
記事は明らかにThe Wall Street Journalが、トランプ支持で、反トランプのニューヨーク・タイムズを挑発しているようにも見えますね。
少なくとも、経済の肩を持つならば、「いまのwokeはなんとかしないと」、となると思います。
今日も暑かったですね、皆様お身体お大事に。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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