AIの爆発は隠れたニーズを見つけること。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:AIはまだ発展途上であることは言うまでもない。しかし、AIを何に、どう応用するかで発展のスピード、爆発具合が変わってくるかもしれない。
AIが組むべきはファストフードではない
きのう、マクドナルドがIBMと組んで音声AIをドライブスルーのオペレーションに導入しようとして、失敗したことをお知らせしました。
両社の相性がよくなかったことに加え、いやそれ以前に、世間はAIが魔法の杖のように期待しすぎているのではないでしょうか。
AIはどんなオペレーションでも、効率を著しく上げることができるわけではないのです。
また現在のAIのレベルで、うまくいくことと行かないことがあるのではないでしょうか。
たとえば、音声AIとファストフードの組み合わせより、クルマのほうがいいんじゃね、という実例があります。
クルマ会社✕音声AIの相性のよさ
Kia and Jeep(起亜株式会社。韓国のNo.2クルマメーカー)が、音声AIサービス会社と手を組んだのです。
あなたはクルマで帰宅途中ですが、お腹が空きすぎてあと1時間のドライブに耐えきれないかもしれません。
その時、車に取り付けられた音声AIがあなたに語りかけました。
「お腹すいてるんじゃない?」
あなたは音声AIと数分話しをして、「近くのバーガーチェーンでチーズバーガー、フライドポテトそれにシェイクを頼む」決断をしました。
AIはあなたの代わりに、近くのバーガーチェーンに連絡して注文を取りました。
クルマは最寄りのバーガーチェーンで止まり、ドライブスルーの窓口には、あなたの頼んだメニューがあなたを待ち構えていました。
マスクトニーズ(隠れたニーズ)を見つけろ
つまりAIの発展はどの業界のどのオペレーションと組むか、にかかっているのです。
でも、それはおそらくAIに聞いてもわからないと思うんですよ。
さっきの例だと、「ドライブ中にお腹が空いた時、すぐにそれを察して最も至近距離にあるバーガーチェーンを見つけ、連絡し、クルマを誘導し、着いた時にすぐ食べられるようにしてくれる」サービスこそが、マスクトニーズなわけです。
たとえば、僕もこんなニーズがありますよ。
通勤で長距離バスに乗るんですが、寝過ごして停留所を過ぎてしまい、頭を抱えることが多いんですよ。
そんな時、眠気を察して起こしてくれる音声AIがあれば、ありがたいです。
もちろん、スマホのアラームはかけておくんですが、鳴ったあとまた寝てしまい、停留所を過ぎてしまうのです(笑)
AIならばもっと賢く、バスを自動的に止まらせるような(笑)、特殊な賢いパフォーマンスをやってくれるかも、です。
隠されたニーズ、これは人間だけにしかわからないんじゃないかなあ。
AIの可能性を引き出すのは、そういう意味では人間なのです。
野呂 一郎
清和大学教授