マクドナルド・ベルギーチョコパイは「今の消費者が求めている価値」かも。
今日の記事を見てあなたが得られるかもしれない利益:コロナの本当の呪いが、いまアメリカのファストフードチェーンに突きつけている現実。コロナ前だろうが、コロナ後だろうが、大衆の求めるものは同じという真理。ウェブマーケティングの時代は終わり、マス・マーケティングの時代に逆戻りしたという奇説。マクドナルドに見る、消費者は何を求めているかの掴み方。
米ファストフード業界に吹き荒れるインフレの嵐
今日取り上げる記事は、今日付The Wall Street Journalオンライン版2021年1月31日Burger King, Domino’s pull back on value menus as costs riseです。
でも、これ面白くないんですよね、だってこのタイトル見てくださいよ、「コスト上昇のため、バーガーキング、ドミノがバリューメニューを見直し」ってありきたりすぎるじゃないですか。
内容もみなさんが想像する通りですよ、でも、この記事、行間に隠れている大きなテーマがあると気づきました。今日は、この一点にフォーカスして書きます。
その大きなテーマとは何か。
それは、大衆心理を突くマス・マーケティング、です。
この連載でも嫌というほどやっているけれど、今の時代って、猫も杓子もデジタルマーケティング、ウェブマーケティングでしょ。
デジタルマーケティング、ウェブマーケティングっていうのは、消費者が見えないマーケティングなんですよ。
そればっかりやっていると、消費者や世の中やターゲットを読むという、ビジネスパーソンとしての、マーケターとして”基礎運動系”が鍛えられないんですよ。
ウェブマーケティングは、パソコンの中に、スマホの中にいるお客さんをグーグルの個人情報と購買履歴をたどって、追っかけるだけです。
そこへ行くと、この記事にあるマクドナルドのマーケティングは、消費者の顔をよく見ないとできません。大衆の心理をよーく考えないとできません。
マス・マーケティングっていうのは、つまり世の中の流れやムードっていうものを読んで、でっかいカンバンや店のポスター、そして訴求点を絞ったテレビCMで、大衆の今の気持ちに刺さるメッセージを創ることです。
「訴求点を絞った、刺さるメッセージって何か?」って?。
それはね、今も昔も変わらないんですよ。
コロナの前も、後も、ね。
今日の記事を見ると色々書いてありますよ。
要するに、コロナで労働コスト、材料コストが上がり、ハンバーガーやチキンを値上げするか、量を少なくするしかない、ってことですよね。
しょうもない。
でね、各社色々お客をだますようなことをやっているんですけれど、もちろん、そんなことをしたらすぐ見抜かれますよね、だから、
ちなみに、ファストフードチェーンのお客さんは、大衆、です。
でももう少し詳しく言うと、英語で
deal-minded customers (お得に敏感な消費者)なんです。
インフレのアメリカで値上げは実は鬼門
各チェーンは、否応なく値上げせざるを得ないし、それができないならば、量を減らすしかないんですよ。
でも、それをやったチェーンはおそらく負けです。
なぜならば、それはdeal-minded customers (お得に敏感な消費者)が求めている価値じゃないから。
答えは何か。
例えば、いま、日本のマクドナルドがやっているこんなCMですよ。
ベルギーチョコを使ったとろけるポットパイ、はいいんじゃないかと思うんですよ。
ベルギーチョコが純正ならば、高いはず。それを150円は、お得かな、ということですね。
ポイントは、ベルギーっていう固有名詞だと思うんですよ。
結構日本人の間でヨーロッパ、ベルギーの人気って高いんです。
そして、僕もそうだったけれど、ベルギー=高級チョコレート、ですからね、150円は価値がある、そうイメージできると思うんです。
もちろん、バレンタインデーが近づいているというタイミングも計っていますよね。近年のチョコブームも計算に入れている。
100円じゃ安すぎる、かと言って200円じゃ、お得な感じがしない。その意味で150円は適正な価格と言えます。
経済学的な価格設定と経営学的なそれとの違い
経営学的な価格設定と、経済学的な価格設定は、違います。
もちろん、ブレークイーブンポイント的なことはありますけれど、経営学の価格設定は、「ロスリーダー(loss-leader損をしてもそれが宣伝やうわべの市場占有率にプラスになればいい)」というとんでもない発想があるからです。
マクドナルドは、ここらへんも考えて150円にしました。
このCMこそ、ある意味マス・マーケティングの教科書といえるでしょう。
テレビCM、店頭ポスター。
マス・マーケティングはこれに何を絞って載せるか、それにつきます。
今日のまとめ的なことを言えば、
価格だけが、顧客に訴えるべき価値ではない、ってことです。
明日はこの記事をもう少し解説しましょう。
今日も最後まで読んでくれてありがとうございました。
じゃあ、また明日会いましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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