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高校生のキミへ、戦略的あいまいさのすすめ。
バイデン台湾発言の衝撃
戦略的あいまいさ、は時代のキーワードだ。
元はと言えば英語。strategic ambiguity を訳すとこうなる。
戦略的あいまいさとは、政府が外交政策のある側面について意図的にあいまいにすることを指す。
その代表的なものが、アメリカの中台戦略だ。
アメリカは中国が台湾に侵攻したら、軍事介入するともしないとも明言せず、あいまいなスタンスを取り続けてきた。
しかし、おととい、バイデン大統領は、記者の「有事の際は介入するつもりか」の質問に「Yes」と答えたわけだ。
アメリカは戦略的あいまいさを捨てたのか?世界は色めき立っている。
目標なんて捨てろ
さて、あえて君たち高校生に、僕は戦略的あいまいさ、を勧める。
ここで言う戦略的あいまいさとは、キミの人生戦略を意図的にあいまいにすることである。
戦略とは何か。
戦略とは目標のことだ。
目標を立て、それを合理的に実行していくのが戦略だ。
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例えばプロ野球選手になりたいと思えば、リトルリーグに入り野球の名門中高に入ってレギュラーを狙い、甲子園に行き、大活躍しスカウトの目に留まる、これが戦略だ。
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日本が合わないならば、高校から野球留学し、アメリカの大学野球で活躍して、日米のスカウトも目に留まればいい。
バイオリンで世界一の奏者になりたいならば、ニューヨークのジュリアード音楽院に留学する。
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芸人ならば吉本の学校に通うという具合だ。
しかし、人生の目的って、普通の人はなかなか持てないんじゃないかと思うんだよ。
なぜならば、目標をもって戦略を立てられる人って、目立った能力のある人だからだ。
能力のある人の特権なんだよ、夢とか目標がはっきりしている人って。
なぜならば、夢を持つとか、目標を持つということ自体、能力と深くかかわっているからだ。
先ほどのスポーツ、音楽、芸能の目標を持つ人って、やっぱり才能や能力があるんだよ。
だから自分の能力で成功できるかもしれないっていう自信を自然に持っている。
だから自分の能力の延長が夢に、目的になる。
でも、特段の能力がない人はどうだろう。
夢も目標も、もてないと思うんだよ。
でも、実はそれは幸せなことであり、本当の個性的な人生につながる、そう思うんだ。
才能がない方が大成できる
小さい時から何かに秀でると、逆にそれに縛られてしまうからだ。
本当は野球が得意なだけじゃなく、絵も描けるし、楽器だって才能があるのに、それを全部捨てて野球に集中しなくてはならない。
戦略とは、目標を決めてそれを達成する一直線な努力のことだ。
無駄なことをすることは一切許されない。
戦略とは、わき目もふらず目標達成に合理的に集中することだ。
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しかし、僕が提案したいのは戦略じゃなくて、戦略的あいまいさ、だ。
戦略を棚上げしろ、目標なんて捨てちまえ。
高校生のキミは今から就職なんて考えなくていい、何が向いているのかなんて悩まなくていい、将来何になろうかなんて考えないでいい。
ひたすら本を読み、旅に出て、できれば外国をさまよえ。
キミたちは旅が足りなさすぎる。
北海道へ、九州へ行け。
そしてアメリカへ、中国へ、韓国、そしてヨーロッパに行け。
なぜならば、キミは自分というものがわかってないから。
旅に出て、自分を見つめてはじめて自分がわかる。
自分がわからないで、夢も目標もないだろう。
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海外に出ないと、自分が日本人であることがどういうことなのか、わからない。
本をたくさん読まないと、世の中の仕組みがわからない、人間の複雑さがわからない。
大学に進学するそこのキミ、学部選びで迷ってるんだな。
どこでもいいよ。
大学に入って何をするか迷っているキミ、そのまま迷ってろ。
4年間迷うことが、キミの学生としての一番大事な仕事なんだ。
戦略的あいまいさは、クリエイティブというおまけがつく
自分が何に向いているか、何をしたいのか
わかる時が必ず来る。
これが僕のいう戦略的あいまいさの最大の利点だ。
人生の戦略つまり、目標をそんなに早く決めなくていい。
旅に出て本を読み、ついでに海外に遊び、迷い、考える。
その時間を過ごす時が大学時代なんだ。
そこでたくさん旅に出て、たくさん本を読み、外国を体験することで、キミの奥底に秘めた本当の力が覚醒する。
その時、キミの人生が始まるのだ。
そして、おまけがつく。
戦略的あいまいな人生とは、つまり、寄り道の多い人生ということだ。
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でも遅いかもしれないけれども、おくればせながらも目標をしっかり持った。
寄り道が多い分、多くの考えが、方法論が、独自の視点が持てるのだ。
かくして、キミの目的達成はクリエイティブに彩られるだろう。
それでこそ真にクリエイティブな人生と言える。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー