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八街のあの悲惨な事故。自動車関連メーカーにはまったく責任はないのか?

八街の事故を忘れてはならない

児童がはねられ、亡くなったあの痛ましい八街の事件。犯人を憎むのはもちろんですが、自動車関連メーカーにも責任の一端があるのではないでしょうか。

それをつくづく考えされらたのが、The Wall Street Journal2021年6月17日の「インテリジェント・タイヤが道路を往く」という記事です。これは最新デジタル・アルゴリズム技術を搭載したタイヤが事故を未然に防ぐ、という内容です。

この記事を読むと、「加害者のドライバーがどんな過失をしても、いまのテクノロジーをもってすれば事故を未然に防げたのではないか」と感じる読者の方々がいらっしゃるのではないでしょうか。そう思って今日この記事を取り上げました。

今日は結論としては、タイヤに限らずあらゆる自動車部品に携わるメーカーは、そして政府はこの事件を契機にもっと事故の未然防止に本腰を入れろ、と言いたいのです。

タイヤはそれにしても、車の安全の重要な部分ですよね、記事を紹介しましょう。

パンクを未然に防ぐタイヤ

記事の出だしが挑戦的でいいです。「タイヤジャッキと空気ポンプの他に、もうひとつ、車を運転するあなたに必要なものがある、それは、タイヤのパンクを未然に防ぐアルゴリズム付きのマシンだ」。

キーワードはラストマイル・デリバリー(last mile delivery)です。文字通りには最後の1マイルの配達、となりますが、これはアマゾンなどの配送センターからお客さんに荷物を届ける物流を指します。

まとめ

・パンデミックでオンラインショッピングが急増、ラストマイル・デリバリーのマーケットは大きくなっている

・トラブル予見タイヤのテクノロジー:センサーと独自の学習アルゴリズムが、タイヤのパンク等のトラブルを数日前に予見

・センサーとアルゴリズムが探知するのは、タイヤの摩耗、タイヤの圧力、道路のコンディションなどたくさんの要素

・いわゆるラストマイル・デリバリーが増えると、道路に車が溢れ、動き止まり、カーブを曲がり、タイヤにダメージを与え、車の故障と渋滞が増える(グッドイヤー社・チーフエクゼクティブ,Richard Kraemer氏)

・ラストマイル・デリバリー市場の規模は2020年の400億ドルから、2025年までに700億ドルになると言われる(テクノロジー・リサーチ会社のGarner Technology調べ)

・ラストマイル・デリバリー市場の荷物量も2019年の1000億ドルから、2025年には倍の2000億ドルに膨れ上がる予想

・ラストマイル・デリバリー自体はコストと持続可能性の観点からは、非効率である

・1000台の車を使って実際にトラックをラストマイル・デリバリーで走らせた事前実験では、サイトライン(新システムの名前)はタイヤ不備を事前に90%検知することに成功(グッドイヤー社chief Technology officer でもあるクリス・ヘルシンゲン氏(Chris Helsingin)による

・グッドイヤーはすでにトラック業界にインテリジェント・タイヤを売り出しており、付属の電池でタイヤの温度、圧力、加速具合、振動をチェックする

・システムは取得したデータをグッドイヤーのクラウドシステムと連動させ、機械学習アルゴリズムを使ったリアルタイムのデータ解析を行う

・グッドイヤーのインテリジェント・タイヤを穿いたトラックは、穿かないものに比べ30%ブレーキの効きがよい。タイヤの劣化や摩耗が少ない分、ブレーキをかけて動く距離は同30%短くなる

・日本のブリジストンの米小会社ブリジストン・アメリカは創立以来長距離トラック市場の顧客を大事にしてきた。現在独自のインテリジェント・タイヤを開発中。センサー、人工知能アルゴリズムに加えて、タイヤがいつ使用不能になり、交換すべきか前もって教えるデジタル・ツインと呼ばれるシステムを搭載する

・インテリジェント・タイヤに履き替えると、二酸化炭素の排出は約24%、空気汚染は21%減る

・インテリジェント・タイヤに乗り換えれば車の故障、事故、交通渋滞を減らし、ラストマイル・デリバリーのドライバーの安全につながる

野呂の分析:自動車業界は今こそ安全第一を掲げよ

なんといっても、安心、安全こそがあらゆるサービスの中で最も価値のあるサービスです。自動車関連業界は、この当たり前の事実をもう少し直視すべきではないでしょうか。

インテリジェント・タイヤが示す安全性という方向こそ、利便性よりも追求すべき価値です。

自動運転でドライバーが要らなくなるなど、もはや非現実的だと多くの人が気がついてきました。

事実このパンデミックで流通需要は世界的に爆発、ドライバー不足が社会問題になっています。そこで起こりつある現実の問題が車の故障、パンク、渋滞、渋滞がもたらす社会的コストつまり大気汚染、渋滞などです。環境問題もありますが、まず自動車関連産業は命を大事にしてもらいたい。

タイヤがインテリジェントになるならば、クルマそのものももっとインテリジェントにして、事故ゼロをめざしてほしい、というよりも義務にすべきです。

最新の車には事故を予期するセンサーなどが搭載されているとは聞きますが、政府はメーカーに電気自動車を作らせる前に、完全な安全システムを搭載した新車販売を義務にすべきです。そうすれば、八街のあのおぞましい事故は防げたのではないでしょうか。

まず、テクノロジーの力で飲酒運転など出来なくすることは、わけないでしょう。酒を感知してハンドルが動かなくなるくらい、できるでしょ。道路の速度制限を感知したタイヤが30キロ制限を守らせます。子供を30m先から感知し、10m前で自動停車します。タイヤにもこういう仕事をさせましょうよ。

自動車業界は世界の経済を支えるエンジンだとは承知していますが、利益より安全を重視する企業に補助金を出すなどして、安心安全第一の国家にしてほしいものです。

サービス新時代の到来

もうひとつ指摘したいのは、タイヤメーカーの収益は、今やタイヤの売上よりもサービスに依存しつつあるという事実です。それはアメリカ人が車を買わなくなっているからだというのです。このシステムでは、お客さんが運転しているリアルタイムのタイヤ情報をもとにサービスできるので、そこから可能性が広がると思います。

日米でサービス産業がGDPの7割を超えています。コロナで対人サービスの価値が見直されました。サービスの時代のいろいろをこれから皆様と検証していきたいと思っています。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

ではまた明日。

                            野呂 一郎


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