留学でわかった「ロシア人の正体」
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:「ロシア人の正体」、だってぇ?そんなこの時期にタブーなこと持ち出して何を考え・・、いやでも、それがわかったんだ、”留学”のおかげで。トップ画はhttps://x.gd/ydScG
ロシア人とはどんな人
いきなり「ロシア人とはどんな人」と問われると、国際派のあなただって、即答はできないでしょう。
僕もそうでした。
2014年にスロベニアで、「IMTA(International Management Teachers Academy 世界経営学教員合宿)」に参加するまでは。
このイベントについては何度かふれましたが、1年に1回、世界中の経営学を教えている大学の教員が集まって2週間の特訓プログラムを受ける機会です。
僕にとっては、アメリカで学位を取って以来の、”ミニ留学”でした。
目的は世界の経営学教育市場で、競争力のある教員を育てること、です。
各国の大学は、世界から生徒を集める切り札は、自分たちの教員をより国際化することだと信じて疑わないのです。
企業は製品である、と同じように、大学は教員である、わけで至極当たり前の考えと言えるでしょう。
教員たちにとっても、自らこういう世界中から集まる意識の高い教員と様々なチャレンジを通して切磋琢磨することは、自らの市場価値を上げると確信しているのです。
日本の大学?
グローバル教育なんて言っている割には、世界的に知られるこのグローバルに競争力のある教員養成プログラムに、参加した大学は、過去一つもありませんでした。
僕の所属する大学以外は。
さて、その合宿では主に”ケーススタディ”をどう学生に教えるかのスキルを伝授されたのですが、僕にとってそれは最も価値ある収穫ではありませんでした。
僕にとって最も値打ちがあったことは、冒頭の「ロシア人とは何か」の答えがはっきりわかったことだったのです。
カザフスタンから来た変わった女性
このスロベニア合宿は世界中から50人くらいの教授、准教授が参加していましたが、大半を占めたのが、ロシアおよび旧ソ連の国々から来た教員でした。
その中で、ひときわ目立っていた女性がいました。
彼女は旧ソ連のカザフスタンから来た、生粋のロシア系の女性で、仮に名前をアナスターシャとしておきましょう。
常に教室でのワークでは主導権を握り、毎日出される課題もグループを仕切っていました。
実力がある故ですが、リーダーあるあるで、時として彼女が見せる強権的なふるまいに、非難の声が上がっていました。
特に女性陣から。
ある朝、宿泊しているホテルで朝食を食べていると、”反・アナスターシャ同盟”と思われる女性たちが話しかけてきました。
「あんた、アナスターシャどう思う?私たちは大嫌い、あんたたち距離が近いみたいだけど、つきあっちゃだめよ!」と僕にクギを刺したのでした。
イタリア水の都でおこった事件
2週間のプログラムの折り返しの週末、僕らはグループに分かれて、隣国イタリアの”水の都”ベニスに遊びに行ったのです。
これも、プログラムのひとつなんですが。
アナスターシャと僕はおなじグループで、ベニスのお土産やさんがひしめいている一角で、「じゃあこれからは各自、自由行動ね」、となったのです。
僕は誰ともつるまず、一人観光を決め込んでいました。
そうしたら、そこにアナスターシャが現れ、こういうのです。
「イチロー、あんたあたしとつきあって」。
僕は思わずこう聞き返しました。
「えっ、僕と?だってロシア人の仲間がいるじゃない?」
彼女はこう答えたんです。
そしてこの答えこそ、僕に「ロシア人とは何か」を教えてくれたのです。
「ロシア人だろうが何人だろうが、気の合わない人は、気が合わないのよ。あんたといたほうがずっと楽しいから、一緒しなさいよ」。
この答えは僕にとって衝撃だったと同時に、「なるほど」と深く納得させられたのです。
それは「人間とは何か」ということを教えてくれたことばであり、ぼくにとってはそれは”さとり”でした。
つまり、「人間は人間なんだ」、ということなのです。
同じ人種であったって、同じ国に生まれたって、好き嫌いがあり、合う、合わないがある、それが人間なんだ、ということです。
ですから、今の僕が「ロシア人って何?」と問われたら、
「人間だよ」と答えるでしょう。
僕は貴重極まりない気づきを得たのです。
「人間は人種なんて関係ないんだ、人間は人間なんだ」、という。
日本の外に出ると、思いもかけない出会いがあり、「人間とは何か」を教えてもらえるかもしれません。
あ、一ついうのを忘れてた。
僕はその”自由行動”で3時間彼女のショッピングに付き合ったのですが、全部のお買い物が終わり、彼女が放ったセリフがふるっていました。
「イチロー、あんたは世界一ガマン強い男だよ。ロシア人は絶対に3時間もずっと私の荷物持って、買い物に付き合ってくれたりしないから」。
このほうがロシア人の正体に近いのかな(笑)。
野呂 一郎
清和大学教授
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