プロレス&マーケティング 場外戦2 ドラゴンスクリューは禁止にすべきだった。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:なぜチャットGPTが使えないか。人間にプロレスラーに求められるもっとも重要な能力はチャットGPTを使いこなす能力ではなく、状況を読む力。チャットGPT、3つの致命的欠点。トップ画はhttps://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3DCT2aU7JWy20&psig=AOvVaw2NvY8GonB3Qq_WISZSGWnj&ust=1677410211315000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwikvcmPxrD9AhWWuVYBHbxvBWwQr4kDegUIARCSAg
SNSの功罪
さて、昨日に続き「AI=ミスターX論つまり見掛け倒しの激弱」論なんだけれど、きょうは3,4,5をやるね。
人間は行くすえ考えずに、テクノロジーを開発している。それがバッドエンドになる可能性もあることが見えてない。
例えばSNSだ。ウクライナ戦争などで、悲惨な状況を世界に発信したり、専制国家の悪行をツイートすれば、世界平和や民主主義を推進するかもしれない。
しかし、SNSで誹謗中傷されたり、いじめにあって自殺したりした人が、いったいどれくらいいるんだ。
最新AIのチャットGPTも同じ。欠陥はもうすでに明らかになっている。
すでに大学教員などでも使っている人の話を聞くが、チャットGPTの知識は出典が不明だ、だから安易に論文に使ったりしたら不正という問題がでてくるだろう。
知らない科目をパワーポイントにまとめて、「これいいぞ」なんて言っている教員がいるらしい。そういう人は学生のコピペ答案に文句を言えないだろう。
そもそもチャットGPTは、人類の知的前進に貢献するのだろうか。知的怠惰を創り出すだけのような気がする。
飛龍原爆固めの問題点
いきなりかい。(笑)
日本プロレスの歴史的光景に必ずでてくる、藤波辰巳(現・辰爾)がマジソン・スクエア・ガーデンでWWWFジュニア・ヘビー級王座を奪取した試合。
フィニッシュは世界初公開の技ドラゴンスープレックスホールド(飛龍原爆固め)だった。
レフリーはあまりに危険な技とみなし、カウントをとらずに藤波勝利をコールした。
しかし、控室で藤波を待っていたものは喝采ではなく、白い目だった。
あまりに危険な技をかけるのは、プロのモラルにもとる、というわけだ。
これは一理ある。
これはいい技だから使ってやろう、ではダメで、技を開発したら、危険性を見極めるなどの公的な審査が必要だと思うのだ。
僕はドラゴンスクリューという技が好きではない。あれは大人しく投げられていても、膝や股関節に大きなダメージを与えるだろうからだ。
引退した鉄人・小橋建太の膝がボロボロなのはムーンサルトをやりすぎたからだけではない。
渕正信との試合だったか忘れたが、テレビで本部席の机に膝から何度も落とされたシーンを見たことがある。
プロレス界は、どうしても過激な画がカネにつながるので、選手の安全とひきかえに危険な技を放置しがちだ。
遠い昔、女子プロレスには「頭から落とす技はやらない」という暗黙のルールがあった。
しかし、今は平気でバックドロップやら、原爆固めなどバンバン使っている。
美と強を兼ね備えた女子プロレス・スターダムのアイコン、岩谷麻優のドラゴンスープレックスも、いつも見ているとハラハラする。
チャットボット(キミの質問に答えるロボット)がなぜガラクタなのか
単なる知識的なことは、チャットボットでも答えられるよ。
デパートの開店時間とか、どの商品を扱っているかとか。
でも、進化系のチャットGPTもそうだけれど、人間の知識と考えるパターンをいくらプログラムにぶち込んだところで、人間が真実なんていうものを一つでもつかんだことなんかないんだ。
経済学だってそうだろ。
従来の経済学は否定され、行動経済学だとか、神経経済学だとか言っているし、最近はMMT(現代貨幣理論)なんて言う学者がでてきて、政府はどんだけお金使っても経済破綻しない、などという理論も出てきた。
いったいどれが本物なんだよ。
僕個人はシラー博士の「アニマルスピリット論」つまり、人間の本性は気まぐれだから、という立場だよ。どんな経済理論も役に立たないと思う。
そもそも既存の理論なんかに自分を委ねちゃダメなんだよ、自分の理論を作ろう。
そんなことで経済に関してからが、正解がないのだから、ロボットがチャットボットやらが、込み入った問題にアンサーできるわけがないよね。
チャットGPTの正体はピノキオ。しょせん人間にはなれない。
この記事のメインはここなんだ。
ピノキオは1940年ディズニー制作の映画で、ストーリーはこうだ。
ピノキオは、心やさしいおもちゃ職人ゼペットが作った操り人形。
歩くこともできるし、話すこともできるけれど、ほんとの人間の少年ではない。ゼペットは自分の子供が欲しかった。
その時、ブルー・フェアリーが現れて魔法をかけて、ピノキオを人間にしようとした。
しかし、条件があったのだ。それは、ピノキオが“勇気があり、正直で、自己中心的でなければ”(brave, truthful and unselfish)人間になれる、というものだった。
真実とは言葉で説明するのは難しいが、秀逸な例えでそれに近づくことができる。
このピノキオの例えは、チャットGPTと人間の違いをはっきり示して余りある、と思う。
要するに、チャットGPTと人間の違いは、勇気と、誠実さと、自己中心でない心が(brave, truthful and unselfish)あるかないか、だ。
いま盛んに、チャットGPTは人間の能力に近づいていると喧伝されている。
それはそうだろう、明日から3日間京都に行くけれど、おすすめスケジュールを瞬く間に提示してくれるんだもの。
あるテーマで論文を書くことなど朝飯前だ。
そうさ、チャットGPTは人間より、知識があり、それを使いこなす能力がすでにあるんだ。
でも、やつらの最大の欠点はあれさ、勇気と、誠実がなくて、自己中心的なことだ。
ロボットに自己中心っていうのはおかしいけれど、最大の効率を発揮させるように設計されているから、それはある種の自己中心っていっていいよ。
でも考えてごらんよ、勇気と誠実がなくて、自己中心な人間なんて、使えないって。
勇気というのは正しいことをやるっていう道徳心であり、誠実さとは嘘をつかないことであり、自己中心的でないということは、他者を思いやる心があるってことだ。
デジタル能力より状況把握能力
すべての人間の行為っていうのは、状況次第なんだ。
例えば、医者ががんの宣告をするシチュエーション。家族の状況、心情、患者の信念、本当にいい医者はそんなものを勘案して、宣告することもあれば、宣告しないこともある。
株とは何かを説明する時に、相手が子供か、大人か、理解力の程度はどのくらいか、それをわきまえて説明できるのが、できる人だ。
プロレスラーにしたって、最短で最も効率のよい戦いぶりをすればいいってものではない。そこにはテレビ中継がある、観客の目がある、スポンサーの意向がある。そうした諸条件を考えてファイトできるものだけが、メインイエベンターになれるのだ。
その状況判断の基準は、まさに勇気と誠実さと、他人を思いやる心なんだって。
それがない人間は、絶対に失敗する。断言していいよ。
チャットGPTが出す答えと、本当の賢人が出す答えは、僕はまったく性質が違うものになると考えている。
いつも僕はこれを、コンピューターやロボットが出すソリューションに反対する時に例に出す。それはTechnically Wrongという本だ。
これは差別や偏見を持った人間がプログラミングしたAI的知識提供サービスは、危険なほど誤りに満ちているという事実だ。
チャットGPTも同じだって。
勇気と誠実さと他人を思いやる心のある人は、そもそもそんなものを使わないんじゃないか。特にお客さんに提供するなにかに、それを使ったりしないと思うね。
でも皆さんは、反論するかもしれない。
「じゃあ、人間が勇気があって誠実で思いやりがあるのかよ?」ってね。
確かに。
じゃあ、撤回だ。
人間よりもチャットGPTを信じよう・・・いやいやそれを別の角度から考えると、これから僕らに求められているものは、最短で解決に結びつくような知性じゃなくて、ある種の道徳的マインド、ってことなんだね。
これを結論にしよう。
今日のプロレス&マーケティングを他業種に応用する
1.これからのマーケティングに欠かせないのが、勇気、誠実さ、おもいやり、だ。
これはマーケティングのあらゆる局面に絶対に必要だ。またマーケターの条件にも重なる。新入社員を選ぶときも、この3つを中心に選べ。
2.チャットGPTを顧客サービスに使うな
その理由はサービスに勇気、誠実さ、思いやり、が入ってないから。
まずこの3つを前提に考えて、顧客サービスを作り上げる方が、結局は顧客の利益につながる。
例えば、バンド演奏会で最適の曲順をチャットGPTに求めるな。そうじゃなく、状況を見てその都度人間側で考えよ。
3.プロパガンダに注意せよ
結局チャットGPTの正体は”ピノキオ”だ。(プロレスファンにとっては”ミスターX”)。
だけれど、ヘタレの正体を隠して、マスコミは、ロボット陣営はあなたにマスコミを巻き込んで、これから”チャットGPT祭り”が始まるって。
そう、プロパガンダだ。
くれぐれも、敵の正体はミスターXであることを忘れないように。
今回は僕が言ってるんじゃなくて、The Wall Street Journalが言っているのだからね。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー