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W杯マーケティングの本質は「エンゲージメント」(大学生向け)

この記事を読んで大学生のあなたが得られるかもしれない利益:スポーツマーケティングのキーワード、「エンゲージメント」とは何か。W杯ツイッター利用広告主の「悪の知恵」とは。ツイッターが永遠不滅の、なぜ。

W杯マーケティングの本質

それはね、エンゲージメント(engagement)ってやつなんだ。

ま、欧米から来た流行語に過ぎないんだけれど、僕のスポーツマネジメントの講義でもう5年も前からやっている。

ちょっと授業のファイルを見てくれよ。

誰かの授業ファイル表紙
誰かの授業ファイル2

エンゲージメントとはファンをスポーツイベントに同化させ、一体化させ、共感させることだ、と書いた。

そうなんだ、でもここで問題だ。

エンゲージメントの主語は誰だ。

つまり、誰がファンを巻き込むか、っていうことだ。

答えは、スポーツビジネスをやる主体、だ。

それはスポーツ主催団体(球団、チーム)であり、広告主であり、選手であり、時にチームごと買い取ってしまう企業だ。

この中で、最も上手にエンゲージメントをやって、最大の利益を上げるのは誰か。

それは広告主にほかならない。

どうやったら広告主はエンゲージメントを上手くやり、巨額の利益を得ることができるのか。

それは、SNSに広告を出すことだ。

その中で最も効果的なのはツイッターなのだ

だから、ツイッターから広告が消えることは、ない。

マスクさんもそのことを知っている。

だからツイッターの従業員大量解雇で、モデレーター機能(ヘイト投稿排除)が麻痺して企業が広告をやめ、ツイッターから離脱なんて言うのも、企業のポーズにすぎない

マスクさんがガチで広告する企業いなくなっちゃうんじゃないかと心配しているっていうのも、ポーズなんだって。

儲かるツイッター広告の作法

これはニューヨーク・タイムズWeekly2022年11月13日号We all pay for ads on Twitter(我々は全員、ツイッターの広告に対価を払わされている)という記事でこう言っている。

「企業はエンゲージメントを最大にするのが狙い。そのためなら虚偽、扇動、分断もしばしばいとわない。このやり方はSNS上でやるときに最もうまくいく、と証明されている」。

前掲ニューヨーク・タイムズ

エンゲージメントを最大化するアルゴリズムを、企業は作ることができるんだ。

「虚偽、扇動、分断もしばしばいとわない」、ほんと?そこまで書いちゃっていいのニューヨーク・タイムズさん、と言いたいところだが、天下の大新聞に反対するつもりは、ないよ。

ここででてくるのが、一昨日から論じているイングループ、アウトグループの話だ。

W杯は、いやW杯に限らないが、虚偽、扇動、分断をいとわないような言説がネットにあふれるよね。

三笘映像に見る、ツイッターの「虚偽・扇動・分断」機能

例えば「三笘選手の1ミリ」問題。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3VwLErr

あれはビデオというテクノロジーで科学的に証明されているのに、ドイツやスペインのメディアは「ラインから出てる、おかしいだろ?」って虚偽をバラまき、国民を扇動し、サッカーファンの分断を煽ってるだろ?

まさにこの記事は虚偽、扇動、分断を意図している。

こういう記事に企業が広告をつけたらどうなるか。

ドイツやスペインのファンは、広告主にイングループ感をもつだろう。

そして結果として広告主とファンたちの間に、下手すると広告主と両国民の間につよいエンゲージメントが生まれる。

広告大成功だ。

こうして、エンゲージメントを最大にするアルゴリズムを創って自動化すれば、企業は簡単に広告効果を最大にすることができる。

言ってみれば「悪のマーケティング」だろ、こりゃ。

でも、サッカーという熱に浮かされ、世界は冷静な判断を失っているから、
「企業はW杯の熱狂を利用し金儲けしている」などという人もいない。

虚偽の記事で人々を扇動し、分断しておまけにそれに便乗して金儲けしているに、誰からもお咎めなしだよ。

これって完全犯罪に近いんじゃないか。

ある意味では、この完全犯罪のマーケティングができるのは、ツイッターだけなので、ツイッターは常に企業に対し常に有利なんだよ。

さて、このnoteの記事のタイトル何にしようかな。
「ツイッター、完全犯罪のマーケティング」なんて書くと、AIがモデレーションで出張ってバンされカネないからなあ、最近は。

まあでも、読者の皆様におかれては、「悪のマーケティング」の恐ろしさを感じていただければ幸いです。

今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。

じゃあ、また明日会おう。

                             野呂 一郎
               清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー


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