トム・クルーズの偽物が主役の映画はもうすぐ。
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:ハリウッドのストライキに見る、人類は今デジタルに滅ぼされる瀬戸際にいるという事実。クリエイターvsビッグモーター。資本主義に対抗するのは、アダム・スミスってほんと?
結局AIって
泥棒だよね。
もしキミがネットで何かを書いたなら、翻訳をした文章をアップしたなら、イラストを上げたなら、AIを訴えるべきだし、それを使ったAI企業にも著作権をもとに、カネを請求すべきだ。
AIって結局は泥棒なんだよ。
キミが作ったものを、すべてパクっているんだ。
世の中を見てみると、AIを礼賛して、それに肯定的な人はクリエーターじゃない人がほとんどだと感じる。
もしキミが、何かを作る人ならば、例えばイラスト、文章、映像なんでもいい、それをインターネット上にアップしてるなら(勝手にアップされてるなら)、それは盗まれてるぞ、勝手に使われているぞ。
キミに許可も得ないで、カネも払わないでキミの作品が使われてて、平気なのか?
平気じゃない、よな。
それはプライドが許さないなどと説明する必要すらない、それはクリエーターの本能として、直感的に感じる嫌悪であり、反発だ。
クリエーターvsビッグモーター
クリエーターじゃない人は、どういう人か。
ビッグモーターの人である。
言い換えれば、カネを儲けるためには手段を選ばない、資本主義の申し子たちだ。
利益の為ならば、わざと車体に傷をつけて保険代をくすねる、ノルマが達成されなければバカ、◯ね、降格、挙げ句はクビだ。
中古車を見てもらうためには、街路樹は邪魔だから除草剤で処分することもいとわない。
AIが便利で効率を上げるから、やろうやろう、と言うのはビッグモーター側の人たちだ。
AIという情報泥棒そのものが問題とは考えないならば、倫理が麻痺しているとしか言いようがない。
そして、僕はそのクリエーターとはかけ離れた精神を憎む。いや残念に思う。
クリエイトすることこそが、ビジネスのキモだと考えるからだ。
言い換えれば、AIは差別化の答えではないのだ。それはクリエイトではないからだ。
クリエーターとは、何かと何かを組み合わせる特殊な技能を持っている人だ。
しかし、それはあくまで合法的にやらねばならない。
AIはその組み合わせのコンビネーションの数を、違法にふやし、アルゴリズム(コンピューターの命令)で、求めに応じた仕様を整えるしくみである。
いい、悪いは別にして、人様の情報をタダで取ってくるということをなんとも思わない人がたくさんいて、本や雑誌がそれを無視してこぞって「チャットGPTで勝つ方法」などと煽っているのは、異常としか思えない。
資本主義は、ここまで人類を堕落させてしまったのだろうか。
VRの父の預言
9年前に、このことを警告していた人物がいた。
ヴァーチャル・リアリティの父と呼ばれるジャロン・ラニアー(Jaron Lanier)氏だ。
彼は「本気でデジタルの側が人間の脳を再現しようとするならば、問題が起こるだろう」と言っていたのだ。
なにせ、彼はヴァーチャル・リアリティは「リアル」、AIは「フェイク」と言ってはばからない。
ヴァーチャル・リアリティには人間が介在し、AIには介在しないのが両者の違いと説明するラニアー氏は、フェイスブック等のSNSプロバイダーにも、「我々のデータをカネも払わずに、長年盗んできた」と、しんらつだ。
ハリウッドの対AIストライキはどうなる
もう皆さんはご存知と思うが、いま、ハリウッドの脚本家、俳優たちがAIを巡ってストライキを決行中だ。
彼らの主張は、俳優の演技や声をAIに代替させないこと、それをする場合はしかるべき対価を支払うべきこと、だ。
しかし、すでにトップガン・マーベリックで、声のでない俳優の声をAIで再現している現実もあり、すでにAIは俳優側の権利などお構いなしだ。
ニューヨーク・タイムズWeekly2023年7月23日の見出しWatch out for a fake Tom Cruise onscreen「今度はスクリーンにトム・クルーズの偽物があらわれるぞ」と警告している。
資本主義は恐ろしい。
1セントでも制作費が削れるなら、何でもやるんだから。
芸術はどうあるべきかなどと考えないのはともかく、カネが儲かれば(節約できれば)なんだっていとわない。
しかし、その無頼な資本主義に立ち向かう、たった一つの手も、ある。
それは経済原理だ、「神の見えざる手」だ。
アダム・スミス先生がまた出てきたよ。
俳優や脚本家たちがストライキをやるよりも、そんなフェイク映画を僕らが見なきゃいいんだ。
ダメだよ、キミもヤフー!ニュースで「AIが作った映画が人気!」なんてのに、飛びついたら。
今日は、思いもかけず中国の人たちの親切を受けました。やはり人間を感動させるのは、フェイクじゃなくてリアルなんだね。
野呂 一郎
清和大学教授