マーケティングにいま必要なのはテクノロジーじゃない、話し合いだ。
The Wall Street Journal、わかりにくいなあ(笑)
さて、ここ数回テレビ広告(CM)について議論しているんですが、かんじんかなめのネタをすっ飛ばしてましたので、例によって大雑把に以下、まとめてみますね。
The Wall Street Journal2021年6月21日号なのですが、これがとてもわかりにくい。The Wall Street Journalって基本悪文ですよね。相当文脈が読めないと何言っているかわかりません。でもだから勉強になるっていうのがあって、面白いのですが。だから例によって超訳でいきますね。
新メディアに危機感を募らせるアメリカTV界
コムキャスト(Comcast)、チャーター・コミニケーション(Charter Communication)、アルティス・USA(Altice USA)といったアメリカ指折りのケーブルテレビ局8社が、コンソーシアム(共同事業体)を設立し、テレビ広告の改善に乗り出した。
この試みは、テレビCMをきちんとターゲットとする視聴者層に届けるためである。ターゲットとした視聴者層に届くCMのことを、アドレッサブルTV広告という。(addressable TV advertising)。この8社によるアドレッサブル広告推進のプロジェクトは、“ゴー・アドレッサブル(Go Adressable)と名付けられた。
従来テレビ局は莫大な予算を全国ネット、もしくはローカルネットのテレビCM作成、オンエアに使っていた。しかし、消費者は今やテレビに見向きもしなくなり、ストリーミング・サービス、デジタルメディアの方を向いている。
気まぐれな掴みどころのない消費者にテレビ局は困惑している。マーケターはテレビ局を盛んにプッシュして「巨大なデジタルカンパニーにならないとダメだ」とハッパをかけているという。実際、テレビ局がデジタル化すれば、アドレッサブルCMを打てるはずだ。
新進メディア企業がデジタル広告に邁進する一方で、従来の広告屋はアドレッサブル広告の手法でCM枠を埋めようと、ストリーミングサービスやスマートテレビ会社(インターネットがつなげるテレビ)、ケーブルテレビ局、そして従来のTV局で流されたCMを使っている。CMをより正確なターゲティング広告にしたいためだ。
テクノロジーよりも話し合い
ゴー・アドレッサブルは新しいテクノロジーやシステムで、アドレッサブルCMを実現するなどという考えはない。問題を明らかにし、可能な解決策を講じ、それぞれの立場でこの問題を考える業界の同士たちを結束させる、これを目指しているのだ。
このコンソーシアムでは月に一度会員各社が集まって、アドレッサブルCM実現のために、どの古いシステムを最新のものにしてワークフローを改善するか、広告会社はそれぞれの業界の利益を代表しており、特殊な業界用語が多いからそれはやめようとか、そんな話をしている。
CM改革派vsCM保守派
いま、彼らがディスカッションをしているトピックの一つが、どうやってCMの評価をするかということだ。
業界や背景にあるシステムが違うCMの評価を理解し、それをCM製作の根本にしてもらえばいい。
従来のテレビCMでも、アドレッサブルCMはほとんど実現していない。
アドレッサブルCMとは、例えばワイドショーを見ているお母さんと若い息子がいる。コマーシャルタイムにCMを何本か流すが、しっかりとこのまったく属性の異なる二人に届く、一連のCM構成になっていれば合格だ。
しかし、地上波でもケーブルテレビでも「そんなことカネと時間がかかるだけだからやめとけよ。従来のさ、届く人もいれば届かない人もいるCMでいいじゃん」という業界関係者もいることは事実だ。
しかし、そうしている間もライバルのストリーミング一派は正確なターゲティングで武装したCMを流し、ますますリードを広げている。
時代は変わっても、問題解決は話し合いから始まる
さて、皆様いかがだったでしょう。
ようするにアメリカでは、いまテレビよりストリーミングサービスのほうが優勢で、これを逆転するには、アドレッサブルCMを展開して、CMスポンサー企業もテレビも顧客を取り返す必要がある、ということですね。
僕もストリーミングサービスプロバイダーがどうして、アドレッサブルCMを作りやすいのか、そこはわからないんですが、どうもこの話を聞いていると、従来の広告屋さんがあまりこのアドレッサブルCMに乗り気ではないようですね。
しかし、こころある業界有志はそれを良しとせず、業界横断的に「いやそんな妥協しているからダメなんだ。アドレッサブルという理想を実現するぞ、エイエイオー」とジャンボ鶴田ばりに叫び、ロマンのない広告屋と戦っているという図式でしょうか。
僕はこのお話に、現代に欠けている大事な本質があると思うんですよ。それは「話し合う」ということの大事さです。
各社が合同で創ったコンソーシアムは、なにも問題解決のためのテクノロジーやシステムを開発するもんじゃないっていうんです。
まず、問題点を話し合い、解決策を出すっていうんですから、感動しちゃいます。まっとうですよ。
そして、この姿勢って時代がどんなにテクノロジーまみれになっても、不変の基本ですよ。僕らは、何でもかんでもテクノロジーって言いすぎじゃないかなあ。
そしてもう一つ、やはり、ウェブマーケティングどうのこうのと言うけれど、マーケティングの流れは、「より正確なマーケティング」であり、プリシジョン・マーケティングだと思います。
前にも申し上げましたが、僕はこのマーケティングをちゃんと本で説明してあるんです。(全然売れなかったけれどね)でも、書いているだけで理解してないんだな。もう一度読んで、また新しく、自分が書いた今日の記事をしっかり熟読して、現代風に改めますね。
もうその本「「ナウエコノミー -新・グローバル経済とは何かー」」は絶版に近いので、どうせアマゾンで古本扱いで86円くらいで売ってるから、買い、かもしれませんよ(笑)あっ77円だ。(笑再)
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
また明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?