メモの画期的な使い方。(大学生向け)
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:折に触れてペンとメモ用紙を持って歩くと、思いがけないアイディアが出てくるよ。いやそれだけでなく、メモをとることで、キミの中に眠っている資産がむっくり起き出し、キミに大きな幸せを与える。
メモの効用
大学1年生の授業で「大学生向け、知的生活のすすめ」などという、押し付けがましい授業をやっています。
今日のテーマは「メモの効用」と題して、子どもたちにお話をしたのでした。
こんなファイルを見せてみました。
メモの画期的な使い方
1.歩きながらメモを書く
これは以前勤めていた新潟の大学の学長から聞いた話で、今も僕の心に強烈に残っています。
その先生はとにかく多作で知られており、どんだけ論文を書くんだ、と僕もびっくりしていたのです。
あるとき、仕事で新潟県知事に陳情する案件があり、その学長と同道することになり、行きの列車でそのことを尋ねてみたんです。
「先生、どうしてそんなにたくさん論文が書けるんですか?」
答えは以外なものでした。
「歩きながら書いているからだ」。
聞くと、例えばピクニックにお呼ばれしても、山を歩きながらメモ帳に論文の文章を書きつけるのだというのです。
これが知的生産の方法とは笑わせる。
皆さんもそう思ったと思うんです。
でも、僕がいたく感心し、共感したのは、彼の「根性」なんです。
なかなか現代人は何かを書こうと思っても、「時間がない」となって結局はやらないはめになりがちです。
ましてや論文などの長編になると、なおさら時間がとれなくなります。
そんな中で、歩きながら論文を書くなんて、「すげえなあ」と思ったのです。
執念と言うか、根性と言うか。
絶対に危険だから、若いキミたちには絶対におすすめしないけれど、「その根性やよし」と僕は言いたいのです。
僕もときどきやってます。(やってるんかい!)
2.寝る時に枕にメモ一式を置く
講義ファイルにも書きましたが、夢のお告げを書き留めるためです。
ばかな?
しかし、名作「青い鳥」を書いたメーテルリンクは、夢のお告げであの傑作を書いた、という話があります。
信じるか信じないかは、あなた次第ですが。
夢はあなたの潜在意識からの指令であり、メッセージなのかもしれません。
しかし、夢の記憶は3秒以内に消えてしまうのが難点です。
メッセージを受け取って、書き留める前にお手洗いなどに行ったら、もう消えています。
枕元に用意していたメモ帳とペンを素早く取って、書き留めましょう。
3.メモとペンを常に携行する
「1で歩きながらメモを取るな、と言ったばかりなのに、おんなじこと言うんじゃねえ!」
あなたの怒声が聞こえてきました。
そうじゃないんです、歩きながら書くのはやっぱり危険ですから、それは止めましょう。
そうじゃなくて、ただ、おりにふれてペンとメモを持つようにするのです。
例えば駅から学校に行くときに、歩きながら手にはペンとメモ帳を持つようにするのです。
書きはしません。車にひかれちゃうから。
でも、不思議なことに、なにかアイディアが出てくるのです。
後で詳しく考察しますが、指にペンを、手にメモ帳を持つと、肉体を通じ、脳に何かしらの刺激が伝わり、それが言葉やアイディアにつながるのではないでしょうか。
若干のつたない考察
1.デジタルよりアナログ
要するに、メモればいいんなら、携帯でメモればいいじゃん。
あなたはそう言うかもしれません。
しかし、デジタル入力よりもペンでメモ用紙に入力する、アナログ式の方が絶対に速いですし、メッセージをより正確に記せます。
デジタルは、なかなか行間を読めず、アイディアが展開しないという難点もあります。
要するに、日本語をデジタル入力すると、ローマ字入力だと、変換の際、うまく行かず、書くリズムが壊れる分、正しく書き残せないのです。
一方ペンの手書きだと、直接文字を謝りなく、滞りなく書き込むことができるし、書くうちにインスピレーションが湧いて、アイディアが展開、拡大するのです。
2.メモで書くことで、自分内の情報倉庫につながる
なんてこと言うんだ。
ごめんね、僕の単なる実感、いや錯覚にすぎません。
ペンでメモすると、あなたは自分の中に眠っている記憶に迷い込み、そこから自分の深部に眠っている何かに到達し、そこから何かがあなたの口や脳に出現するのです。
いわば、メモという行為が、あなたの潜在意識=無限の知性に直結して、そのシンクタンクにノックをすることになる、ということです。(きっぱり)
ノックをされた潜在意識は、真夜中のドアを開け、少し共感のため息をつくのです。
それは大いなる存在がくれた宝物なのです。
しかし、それはまぎれなく、あなたの知性の欠片なのです。
3.デジタルも悪くないかも
なぜ、欧米がデジタルを支配しているのか。
それは欧米の知性の根本が、タイプライターだからです。
ほとんどの知的生産は、はるか昔からタイプライターから生まれてきました。
タイプライターは、相当早くから欧米のビジネスやコミニケーションの中心的な存在でした。
直接アルファベットを打ち込め、変換という夾雑物的プロセスがないので、考えるスピードでアウトプットが可能です。
さっきも書きましたが、日本人のデジタル入力はローマ字入力が主流であり、漢字に置き換えるというメッセージの変換に手間がかかる分、せいぜい書き写すだけで、それ以上のものが出てこないのです。
しかし、タイプライターはダイレクトに文字を入力できるので入力が速いし、その副産物としてリズムを生じ、それは書きながらアイディアが出てくる、という現象を生じさせます。
アメリカの知的生産に、今だ日本が及ばないのは、英語がタイプライターという知的生産の道具にジャストフィットしている存在だからです。
以上、たかがメモから、トンデモ考察をしてみた次第です。
おあとがよろしいようで。
野呂 一郎
清和大学教授