男子のお化粧に賛成します。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:学生に指摘された私の情けない差別意識の件。いちご白書の昭和世代よりレイワの彼らが強い件。モチベーションという言葉の重さ。
おとこの化粧は是か非か
熱心に授業を聞いてくれる学生Aくんは、お化粧をしています。
僕はそれが気になっていました。
男のくせに、何ていうつもりはないです。
なんたって経営学の今の王道は、差別や偏見がないことですから。
しかし、恥ずかしいことに僕のなかにそんな意識が残っていたんです。
就職が決まって、この前研究室に遊びに来た時に、彼はこんなことを言いました。
彼は、企業の冷たい仕打ちが続いた中、友だちにこう言われたそうです。
「化粧をしなければ、面接もしてもらえるし、受かるんじゃない?」
彼は友人にこう答えたと言うんです。
堂々と化粧して会社訪問に臨むくらいですから、面接で役員たちに化粧をとがめられると、こう反論したそうです。
彼は「そんな会社、こちらからお断りです」と、席を蹴ったというのです。
いちご白書世代の弱さ
ふぅん、僕は彼の話を感心しながら聞いていました。
僕らの世代は、就活の時代こんな歌が流行っていました。
「いちご白書をもう一度」です。
昭和のおじさん、おばさんには、おなじみのあのフレーズで知られたメロディです。
「♪就職が決まって、髪を切ってきた時、もう若くないさとキミに言い訳したね♪」
髪を長くしてレジスタンスのポーズをとっていたくせに、就職となると世の中に妥協して髪を切って、言い訳する」弱い若者を揶揄したあの詞です。
彼は、あのときの僕よりはるかに強く、かっこいいと思いました。
経営学者がKOされる言葉
それでも、まだ僕は目の前の彼の派手派手しいアイラインに、まだ違和感を感じていたのです。
しかし、彼の口から、この言葉が出た刹那、僕のわだかまりは雲散霧消したのです。
その言葉は「モチベーション」です。
彼は僕にこう言ったんです。
ガァン!です。
胸を打たれました。
そうか、化粧→自己表現→モチベーションなのか。
もう降参です。
なぜ、そんなモチベーションということばに僕は弱いのか。
それは、経営学=モチベーションだからです。
経営学は、あくまで僕の考え方でありますけれど、人をやる気にするしくみを作ることなんです。
その意味で、モチベーションという言葉は、ぼくのアイデンティティでもあります。
そこを衝かれて、僕は自分の中に存在してた(と認めざるを得ない)、セクシズム(性差別意識)を心から恥ずかしく思い、反省し、そしてそれに気づかせてくれたAくんに感謝した次第なのです。
野呂 一郎
清和大学教授