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コストコに学ぶ「アリ地獄マーケティング」とは何か。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:上はコストコのでっかすぎるマフィン。店舗という空間に魔力を住まわせろ。これがコストコ・マーケティングの真髄だ。でっかいフードがその象徴かな。

ハナマサvsコストコ

今日、新聞のチラシに「特価、サケ4切れ490円」とあったので、近くの「肉のハナマサ」に行ってきました。

https://x.gd/Jcogd

去年は一切れ100円のサケが、今年は150円から200円くらいしますよねー、どうしても価格の安いものは魅力です。

でも、肉のハナマサも、もう少しやり方があるんじゃないかなあ。

チラシは初めて見たし、一回きりの安売りでなくて、常に店に客を呼び込むような工夫がないなあ、と感じたのです。

そんな事考えているとき、ニューヨーク・タイムズのこんな記事が目に止まりました。

「どうやってCostocoはアメリカの買い物客を捕まえたか(How Costoco won over shoppers in America)」という記事です。

ニューヨーク・タイムズWeekly 2024年9月22日号

コストコは、日本ではテレビなどで「コスパ最高!」フードが紹介されることが多いですが、アメリカではむしろ、日本のドンキホーテのようなイメージが強いようですね。

コストコは、アメリカでは完全にクルマで、かさばる商品を買いに来るお客さんに特化しているビジネスです。

2019年には、アメリカ人の4分の1が、コストコで買い物をしました。

2024年は、これが3分の1に上がりました。

クルマ社会の、ダイナミックな消費をまざまざと見せつける、その象徴がコストコなのです。

https://x.gd/OGtgG

Costocoの一人勝ちマーケティングの秘密

ニューヨーク・タイムズが分析する、Costocoマーケティングをキーワードでみてみましょう。

1.宝探し(treasure hunting)をさせる

とにかくその巨大な倉庫風のフロアに、これでもか、の多種多様なモノがおいてあります。

どれも容量が多く、コスパがよく、おまけに珍しいものがたくさんあり、まさに宝探しに来ているような感覚が味わえます。

お宝といえば、金の延べ棒(gold bar)も2000ドル(30万円)で売っていますよ。

2.緊急性(sense of urgency)を迫る

この商品はもう次来たときはないから、いま買わなきゃ、と思わせる。仕組みです。

https://x.gd/vTSMh

ある日、ブランド好きの中年女性が、バーバリーのショルダーバッグを発見、1000ドル(15万円)で即買いしました。

世界で最も高いワインと言われるロマネ・コンティの4本パックは4万ドル(600万円)で売られています。

平均小売価格は215万円ですから、お得で、「この機会を逃すまいと」富裕層のお客がどんどん買っていくのです。

3.必要のないものを買わせる誘惑(temptation)

コストコに来る人々は、単に物見遊山に来るのであって、特定のなにかを求めてくるわけではないのです。

でもお店を出る頃には、カートに実に色々なものが入っていることに気がつくのです。

2メートルのクリスマスツリー、ソーラーパネル、ペットのハウス、ベルギー製ミニシュークリーム3ヶ月分パック・・買った覚えはないんだけどな、人々はそうつぶやきながらコストコをあとにするのです。

シカゴ大学の行動心理学者アヤレット・フィッシュバッハさん(Ayelet Fishbach)は、「買わせる誘惑に買い物客たちは気がついてない」ことを指摘します。

フィッシュバッハ先生 https://x.gd/v5HEC

「本当にその買い物は必要なのでしょうか。おそらく違います」、彼女はこう指摘します。

誘惑とは「魔力」である。

何かを買いに来たわけじゃないのに、知らないうちに買っていた。

これがコストコマジック、ですよね。

でも、それがお金を出すだけの価値がある、そう判断させる魅力があったわけですよね。

そうです、誘惑とは魅力であり、衝動的に買わせるならば、それは「魔力」とでも言うべきものでしょう。

その正体は、上記あげた3つではあると思います。

でも、それは「魔」のチカラなのかもしれません。

プロレスラーで言うと、ミル・マスカラスとザ・デストロイヤーです。

https://x.gd/Ez2V2

って、誰もプロレスを出せ、なんて言ってないのに!

勝手に続けると、ミル・マスカラスのあだ名は「悪魔仮面」(後に「仮面貴族」に変更)、ザ・デストロイヤーは「白覆面の魔王」です。

マスカラスのドロップキックは、悪魔に魅入られたような、感じです。

デストロイヤーの4の字固めは、4の字に対戦相手を引きずり込む空間は、まさに結界。

魔力のバリアが張ってあるアリ地獄、その中心には悪魔の大王デストロイヤーが待ち構えている、といった風なのです。

https://x.gd/93LDt

うーん、プロレスファンでもこの下手くそな形容はわかりにくいなあ。

もう、シンデレラタイムがきたから、強引にこうまとめてみよう。

魔力とは、魂が引き込まれる力、です。

そういうモノ、空間を創れという、身も蓋もない結論でした。

野呂 一郎
清和大学教授



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