プロレス&マーケティング第45戦 長州力vsブラックフライデー。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:外来種シーズン・キャンペーンをどう考えるか。ブラックフライデーのネーミングに異議あり。長州力に学ぶ、ビジネスにおける新リングネームづけの極意。トップ画はhttps://qr1.jp/9J5nMp
ブラックフライデーがなぜ浸透しないのか
ブラックフライデーは、アメリカで、11月4週目の木曜日に行われる感謝祭の翌日に行われるバーゲンセールのことです。
小売店はこの日が忙しさのピークだと言われています。
もう10年もたつでしょうか、日本もこのブラックフライデーにあやかろうと、同じネーミングで11月のこの頃を「ブラックフライデー特売り期間」として、マーケティングをかけています。
しかし、ブラックフライデーは、まったく浸透していませんね。
その理由の一つは、間違いなくネーミングにあります。
アメリカでは、この11月の第4木曜日の翌日の金曜を、1年で最もスペシャルな特売日と定めることで、この日は物が売れて黒字になることから、ブラック、と名付けたと言われています。
英語のブラックは黒字という縁起のよい意味がありますが、日本はブラックと言えばネガティブなイメージの代表選手と言っていいでしょう。
ブラック企業、がそのことを雄弁に物語っています。
このままだと、ブラックフライデーは、エイプリルフールと同じく、ジョークの分からない日本人に、「鬼っ子」扱いされる存在で終わってしまうことを危惧するのです。
ネーミングの3要素とは
ネーミングが大事なことは、今さら言うまでもありません。
スカイツリー、というネーミングは音声分析の専門家が、さまざまな音を試して、最も人々の耳に心地よい言葉にしました。
名前は、物語にもなっている必要があります。
それにより、ストーリー効果が発生して、伝承につながるからです。
ネーミングは戦略的である必要もあります。
戦略的とは、そのネーミングがその製品を最高に輝かせ、なるべく多くの付加価値と相乗効果を生むことです。
この線で、ブラックフライデーの新しいネーミングを考えてみましょう。
ライスウィークはどうだろ
ブラックフライデーをやめて、じゃあどういうネーミングにしましょうか。
僕の案は「ライスウィーク」です(笑)。
音的には、発音して違和感なく、リズムがあることです。
まあ、いいでしょう。合格。
ストーリーはどうでしょうか。
そもそもブラックフライデーは、感謝祭の翌日で、感謝祭という国民的儀式にちなんだ日です。
感謝祭とは、アメリカ国民が日々の収穫に感謝しながら、家族や友人とあつまり、伝統料理の七面鳥の焼いたのなどを食べる、年に一度のいわば家族のリユニオン(reunion再会)の機会です。
それを踏まえる必要があります。
日本は「収穫祭」という概念が希薄ですから、それを踏襲しましょう。
日本の収穫といえば、お米です。
お米は神への献上物であり、神そのものという解釈もあります。
日本人の主食であり、食料自給の中心です。
そのお米がどんどん食べられなくなり、作地も減らされ、米価も下げられたままです。
今こそお米を大事にし、その恵みに感謝しましょう。
お米がもっと食べられるようになれば、より豊饒な生産が可能になれば、おかずも生産がアップし、関連産業も潤い、経済効果は大きくなります。
お米の収穫を応援することは、国にとっても自治体にとっても、企業にとっても三方良しで、戦略的なのです。
これで音も、ストーリーも、戦略もクリアしました。
ちょっとベタですが、ライスウイークで手を打ちましょう・・って、あんまりモノを買いたくない気もするなあ・・・
長州力にするか
皆さんは、ここまでの一方的な僕のブラックフライデー改名案を読んで、
「それなら、ブラックフライデーのままがいい」と怒りに震えたかもしれませんね。
じゃあ、「長州力」で行きましょうか?
どういう意味か、と言うと、長州力って、本名じゃなくてリングネームなんですよ。
本名は吉田 光雄(よしだ・みつお)でしたが、テレビでリングネームを公募し、長州力となったのです。
しかし、この新リングネームが不評で、ブーイングの嵐でした。
せいぜい「ミツ吉田」くらいにしておけばいいのに、というのが当時のプロレス世論だったのです。
しかし、そうこうするうちに長州力という新リングネームが浸透してきました。
長州力の実力が上がってきたからです。
この事件の教訓は、「悪いネーミングでも、時間がたてば、いい名前に聞こえる時が来る」です。
ブラックフライデー、も、この伝でほっときましょうか?(笑)
野呂 一郎
清和大学教授