![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/70478399/rectangle_large_type_2_e3f0a1b0c0370e42cfe02e62b5741f8c.png?width=1200)
マックフライドポテト問題が暗示する、マクドナルドの前途多難
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:米国マクドナルドの光と影。マクドナルドに襲いかかる現代社会の”構造問題”。Wokeという現代の”絶対正義”。”クッキー”レス時代とマクドナルドの関係。
ポテト問題はリスク管理の問題だ
高校生のみんなは、週に2,3回はマックに行ってるよね。えっ?マクド?そうか、関西のキミはマクドで東京のキミはマックなんだよね。
![](https://assets.st-note.com/img/1642853474550-JrjTB6fWbl.png)
えっ?でもマックフライポテトが食べられない?
そうか、Sしか売らないんだよね、カナダあたりで物流が滞っているかららしいね。
でも、そのうちLも食べられなくなるかもしれないよ。
なぜかと言うと、このポテト問題は経営者のリスク管理の問題だと思っているからだ。
ずばり言うとマクドナルドのトップは、アメリカのシカゴにある本社のトップだ、現CEOのクリス・ケンプチンスキー氏だ。彼が悪い。
ポテト問題は、彼のリスク管理がなってないことが原因だ。
マクドナルド全体の利益を左右する戦略拠点である日本を軽視している、そう見てもいい。
今日はそれも含めて、マクドナルド本社の現状、問題点、そしてその解決策についてキミと一緒に考えよう。
いや、日本のマクドナルドが好調なのは知っている。アメリカも実は絶好調なんだ。
コロナ禍で大変だったんだけれど、ドライブスルーとテイクアウトに活路を見出し、これがあたったんだ。直近の四半期の収益は、過去最大を突破した。
![](https://assets.st-note.com/img/1642853640405-MdBv4zhM1y.png)
でも、もし僕が投資家ならば気になる点がいくつかあるんだよ。箇条書きにしてみよう。
マクドナルドに突きつけられた”現実”
1.新CEOクリス・ケンプチンスキーにwokeがない問題
何度もこの連載で話していることだけれど、今あらゆる組織人に必須な要素がwokeだ。それは多様性を重んじ、あらゆる差別に背を向ける姿勢のことだ。
しかし、2021年7月に起こったある事件で、2年前にCEOに就任したクリス・ケンプチンスキー氏(Chris Kempczinski)がwokeのかけらもない、と非難されているんだ。
シカゴにある、メキシコ人/黒人居住区のマクドナルドのドライブスルーでおこった、子供二人が警官に射殺された事件がそれだ。
CEOはこの件で、シカゴ市長に不適切なメールを送ったことが明らかになった。
その内容は少年の両親をとがめる様な内容で、人種差別的なニュアンスがあったことから、コミニュティ、政治家、そしてフランチャイズ加盟店からも非難が上がり、マクドナルドのシカゴ本社で抗議デモも起こったんだ。
ケンプチンスキー氏はマクドナルドの全従業員向けに謝罪のビデオを流し、「投資家、加盟店、お客さん、政治家、などそれぞれに利益が相反するグループとの折り合いをどうつけるかについて勉強した」などと述べている。
こういう問題って、個人の価値観とか感覚とか、育った時代の問題だから、
表面的な反省の弁って、意味がないんじゃないかと個人的には思うんだけれどね。
2.従業員の確保ができない
マクドナルドの従業員数はアメリカだけでも80万人を超える。
しかし、十分な従業員を確保できないため24時間オープンができず、コストも上昇、夜の営業も見合わせている店が多いんだ。
お客が敬遠しない程度のメニューの値上げが不可避になっている。
少し前に書いた「高卒労働者の時代」ともリンクするんで、是非読んでくれ。
2.ニッチなメニュー開発ができない
マクドナルドはおなじみのメニューを大量生産、大量に販売するというビジネスモデルのおかげで、今がある。
しかし、市場は、特に若者は、もうそのやり方に飽きている。
ありきたりのチーズバーガーやドリップコーヒーはもういいといっているのだ。
アメリカの若者は、「自分だけの食事経験」を切望しているという。
数年前韓国のBTSなどとのコラボで商品開発をしたのだが、あとが続いてない。
ニッチなメニュー(focused menu)開発が真剣に求められている。
![](https://assets.st-note.com/img/1642852901806-ITd9lGjtEb.png)
3.加速する労働運動
以前にお伝えしたように、スターバックスが初めての労働組合を組織し、飲食チェーンでの働き方に関して、従業員が物言う時代に入った。マクドナルドもこれに無関心ではいられない。
CEOは「従業員の話にしっかり耳を傾ける」などと、岸田さんのようなことを言っているけど、賃金を上げるだけでは物足りないことは明白だ。
4. ライバルたちの巻き返し
マクドナルドの好調な収益は、明らかにコロナによる、ドライブスルー、テイクアウトの利用でもたらされてもので、他社も同じパイに噛みつこうと必死だ。
エッセンシャルワーカーの時代
ニッチな新製品開発は口で言うほど簡単なことではなく、従業員確保も、労働運動への対応も、困難を極めるだろう。
なぜならば世界中で労働力の争奪戦がおこっており、特に飲食で働く”エッセンシャルワーカー“へのニーズは、コロナを経てますます大きくなっている。
![](https://assets.st-note.com/img/1642853884638-EdjpmuFG4y.png)
その理由はオンラインショッピングの成長が著しく、倉庫、発送などの物流ビジネスが拡大し、労働者が増え、彼ら彼女らを支える飲食その他のサービスも拡大しているからだ。
AIの発展で、労働力が減るなどと言われていたが、すくなくとも飲食サービスではそれは実現しなかった。
高卒の時代が来た、と言われるゆえんだ。
マクドナルドの労働力確保は、もはや構造的な問題になっており、マクドナルドだけでは解決できない。
スタバに初の労組誕生はマクドナルドの従業員にとっても、大事件であり、飲食労働者すべてに“働くものの権利”を目覚めさせてしまった。
なぜ、”クッキー”レス時代なのか考えろ
しかし、個人的にはCEOの問題発言が、マクドナルドの最も大きなリスクだと思うよ。
またこれは後日話すけれど、今、世界でマーケティング革命が起きつつある。
なぜかと言うと、あなたのオンライン上の情報をストックしている”クッキー(cookie)“がなくなるからだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1642853970208-EFLgxKpLnC.png)
その理由は世界中の人達が、企業に勝手にプライバシーを使われていることにNoを突きつけたからだ。
Wokeの時代なのだ。
プライバシー、人権、環境、平等といった人間的な価値観がわからない企業は、すぐにデモを起こされ、不買運動をされてしまう。
高校生のキミもこれは肝に銘じてほしい。
今日も最後まで読んでくれてありがとう。
じゃあ、また明日ね。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー