中途半端な全日本プロレスの”戦略”
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:プロレス界に業界復活の熱のなさを嘆く。選択と集中ができてない全日本プロレスへの批判。トップ画はhttps://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11027311
明日はテレビでプロレスを見よう
プロレスファンの皆さん、明日はBS日テレで19時から全日本プロレス50周年記念マッチが放送されますよ。必ず見てくださいね。
メインイベントは三冠王座選手権、王者・諏訪魔vs宮原健斗です。
今日の東スポを見て、ちょっと安心したんですよ。
全日本プロレス、少しはしっかりやっているな、と。
裏一面に、あす9月18日の全日本プロレス50周年イベントの広告と、当日テレビ中継の宣伝文句が載っていたからです。
何が言いたかったかというと、テレビとプロレスの関係なんです。
全日本プロレスは、今回BSとはいえテレビのゴールデンタイムで久々にプロレス中継を発信するのですから、この機会を最大限に利用しろ、と言いたいのです。
プロレスのグランド戦略はテレビ
力道山がプロレスを日本で始めて70年、プロレスは日本中に広まりました。
ジャイアント馬場、アントニオ猪木が力道山の跡をついでプロレスは大衆娯楽になったわけですが、それを牽引したのは間違いなくテレビでした。
最盛期はゴールデンで3団体の中継が行われていましたが、今は新日本プロレスが深夜帯に30分番組でやっているだけです。視聴率も2%くらいに過ぎません。
20年前は授業でプロレスを取り上げればクラスルームに熱気がはらんだのですが、今は「プロレスって何?」状態です。
5月に行われた那須川天心vs武尊の格闘技マッチがペイ・パー・ビューで行われて50万人の有料視聴者を集めたことが話題になりましたが、あの試合が地上波で放送されなかったことは、まだ新興スポーツでしかない格闘技には大きなマイナスでした。
プロレス団体はわかってないのかな。いまやプロレスの認知度は格闘技にも劣る、かもしれないことを。
偶然か戦略かはおいて、とにかく今回全日本プロレスはテレビの生中継という、大衆にアピールできる大きなチャンスをつかんだんです。
なのに、その広告宣伝が全然できていない。
ペイ・パー・ビューの有料中継じゃなく、無料視聴できるテレビです。
はじめて全日本プロレスを見る層になぜ訴えない。いや、プロレスを見たことのない人々にだってプロレスの素晴らしさを訴えることができる千載一遇のチャンスです。
なぜ、これに経営資源を集中しない。
東スポに広告を出すのは当たり前、そこじゃなく、朝日、毎日、読売にここぞとばかり一面広告をだせよ。
諏訪魔なんてだれも知らないよ。ましてや宮原健斗なんて。プロレスファン以外は。
でも、彼らは認知されるに値するプロレスラーです。
全日本プロレスは、この黄金の機会をしっかり認識しているのかなあ。
熱意がすべてなのに
昨日の記事でたしか言いました。日本はいいものを持っているのに、それを海外に広めようとしない、その熱意がまるでない、それこそが日本経済衰退の元凶だ、と。
プロレスも同じですね。
本当に業界のことを思って、プロレス界を大同団結させ、グランド戦略を立案、実行する人物がいない。
全日本プロレスも、50周年という節目に団体が100年続く戦略をたてるとか、考えなかったのでしょうか。
いや、考えていたんだと思います。
それが明日の三冠王座選手権であり、中央大学レスリング部の超新星・安齋勇馬の、そして 超大型タッグ・ジュンとレイの斉藤兄弟のプロモーションです。おそらくテレビでやるでしょ。
形としては、一応今後の全日本プロレスの方向性を示すものですから戦略とは言えますけれど、ならば、このイベントを全社を上げてPRしなくてはなりません。
その努力が全然感じられない。その前に、熱意が感じられない。
カネがない?
だから経営学は、「選択と集中」だと言っています。
明日の興行を今後の最重要戦略項目と決定し、それに経営資源つまりあるだけのカネをブチ込めばいいのです。
全日本プロレス、グッドラック!
明日はプロレスファンじゃない読者の皆様も、ぜひ19時BS日テレ、見てあげてくださいね。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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