プロレス&マーケティング第38戦「力道山アメリカ人説」は本当なのか?(加筆版)
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:20年間に渡るアフガン駐留で米国が残したもの。プロレスを文化と捉えることがプロレス・マーケティングの最強戦略という主張。マクドナルドの日本進出に学ぶ、国際マーケティング。力道山はアメリカ人だった?
最強のマーケティング戦略とは何か
それは「文化」ではないでしょうか。
不幸なことにあれだけの悲劇を体験したのに、人類はまだ戦争をやめません。
しかし、ロシアに言いたい、人間は火気には屈しないのです。
人間が屈するのは、文化なのです。
それも喜んでそれにすがり、いとおしむのです。
戦争じゃありません。他民族をもし従えたいというのであれば、武器を捨てて文化で侵略すべきです。
ニューヨーク・タイムズWeekly 2023年7月9日号は、In Afghan capital, western culture lives on, for now(アフガンの首都では西欧の文化がただいま席巻中)というタイトルで、アメリカ文化がこの国に浸透している現状を報告しています。
確かに一昨年の米軍撤退で、アフガンは政治、経済、社会のあらゆる面で、イスラムの厳格なルールで、再び国を統治し始めています。
法廷は米国法ではなく、イスラム法で裁かれるようになり、大学からは女子の姿が消えました。
しかし、アフガンの首都カブールでは、ビリヤード・バー(snooker club)が活気を呈して、「ナイスショット」の英語の掛け声が飛び交っています。
カフェやスポーツジムもこの国にはなかったものですが、米軍が退いたあとも、盛況です。
これらアメリカの文化遺産は、2001年以来何万人ものアメリカ兵士、関連企業、業者がこの国で生活するようになった必然でもあります。
確かに、タリバンは米国の影響を排除しようと躍起です。
カフェは男女の区分けをし、タトゥーはイスラム法により禁止のはずですが、カフェでは男女が楽しく歓談し、若者はタトゥーを入れた腕を隠そうともしません。
米軍がもたらしたゲームセンターも盛況です。
一度受け入れられた文化は死なないのです。
タリバンも、アメリカ文化を排除することには、事実上失敗したのです。
アメリカの巧みな文化戦略
アメリカがアフガンから撤退したことは、世界中から大きな非難を浴びました。
またアフガンをタリバンの暗黒時代に戻すのか、無責任だという大ブーイングでした。
でも、アメリカとしては限りある軍事力を、対中国への強化に向けざるを得ないという戦略的な要請がありました。
しかし、しかしですよ、うがった見方をすれば、「アメリカは20年でアフガンの人々を文化的に洗脳したので勝った」と判断して、撤退したのかもしれませんよ。
戦車やミサイルで人々を威嚇して従わせるのではなく、ゲームやスポーツやアミューズメントで楽しませ、こころをわしづかみにしたのです。
いうならば、イソップ物語の「北風と太陽」です。
アフガンはアメリカの「太陽政策」に負けたのです。
かつて日本もそうだった
考えてみれば、マッカーサーの戦後支配もそうでしたよね。
アメリカ軍は銃で日本人を脅すようなことはありませんでした。
その代わりにアメリカ兵がスポーツ、映画をはじめさまざまなエンタテイメントを持ち込みました。
知らず知らずのうちに、日本はアメリカ化していったのです。
アメリカは自らが軍国主義の温床と考える日本の精神主義を、武力ではなく、文化で打ち砕いたのです。
力道山はアメリカ人だった?
アメリカが日本にもたらした文化の一つが、プロレスリングでした。
力道山がアメリカから日本に輸入したのがプロレスですが、これはアメリカの国家戦略だったのではないでしょうか。
プロレスはどんな攻撃も許され、反則もありで、言ってみればアメリカ文化の根本である自由の象徴です。
皆さんは、日本プロレスの父、力道山が北朝鮮出身とご存知ですね。
もちろん、当初は力道山は日本人でした、そうでなければプロレスは日本には根づいていません。
でも後年伝えられるようになった「力道山北朝鮮出身説」は、ブラフ(はったり)というか、アメリカが本当のことを隠すためについた、大嘘なのです!
ここで僕は「力道山アメリカ人説」という新説をここでとなえることにしますね(笑)。
力道山はアメリカの「日本人総アメリカ人化」を企む陰謀を託された、愛国心に燃えたアメリカ人だったのです!
下の写真は、あまりにも有名な対シャープ兄弟を空手チョップを振るっているものですが、同国人を痛めつけるのは、辛かったと思いますよ。
そのストレスで夜な夜な赤坂のクラブに通い、酒に溺れトラブルに巻き込まれたとすると、占領政策の犠牲者かも、です。
あくまでこれは「信じるか信じないかはあなた次第」ですが(笑)
プロレス文化輸出こそ最強マーケティング
アメリカのアフガン戦略から学ぶものは、文化こそ最強のマーケティング戦略だということです。
やり方はカンタンです。
外国に、その国の文化を持ち込めばいいだけです。
まずは、日本の銀座に第一号店を開いたマクドナルドみたいなことをすればいいんです。
その国の人に愛されれば、もう定着しますよ、自然に。
あんまりプッシュとか、プロモーションもいらないんじゃないかな。
日本のプロレスがそうだったでしょう。
もちろん力道山のプロモーション戦略はありましたよ、でも、日本人の魂とプロレスって、根本で呼応しているんですよ。
日本人って、保守的に見えて案外新しいことが好きで、好奇心旺盛で、気に入れば外国のものでも分け隔てなく取り入れるとこがありますよね。
そして和魂洋才で、自分のものにしちゃう。
プロレスと日本人は、自由な精神を共有していたからこそ、これだけ日本に浸透したのです。
そして、いまや「日本のプロレス」はアメリカのそれとは別物になり、世界に輸出できる文化となりました。
それも各団体、ジャンル別の国際マーケティングが可能になっているんです。
日本のプロレスって多様化していて、メジャーの新日本プロレスや、ノアや全日本プロレスだけじゃないでしょ。
例えばデスマッチで差別化に成功した、葛西純選手率いるフリーダムスなどは、中東で爆発的にウケるかもしれません。
もちろん、これはプロレスだけじゃありませんよ。
食だって、体操だって、経営手法だって、文化ならなんだって、可能性があります。
その意味でマーケティングは、グローバルな視点を持てば爆発すると言えるでしょう。
ただ、オペレーションの体制がね。
英語ができて異文化に通じる人材、これが日本は圧倒的に不足しているんですよ。
チャットGPTがあるから、英語勉強する必要はないなどという誤解が広がっているのが心配です。
秋田県を始め、今回の洪水で被害を受けられた方々に、心からお見舞いを申し上げます。
それではまた明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授
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