プロレス&マーケティング第62戦 女子プロレス復興の答えはやっぱり「テレビ」だ。
この記事を読んでプロレスファンのあなたが得られるかも知れない利益:女子プロレスブーム?いや、ファンが思っているほど世間は女子の方を向いてないって。じゃなきゃ、スターダムの分裂騒動なんて起きないって。東スポや週プロはしきりに女子を持ち上げるけれども、順序が逆だ。まず試合を見せろ、ってこと。それにはテレビだよ。
東スポの違和感
週プロ(週刊プロレス)もそうだけれど、東スポも最近、女子プロレスをよく取り上げるよねぇ。
下手すると一面に女子が来たりする。
でも試合の話題は、なし、さ。
ウナギ・サヤカがオーカーンにナンパされたとか、中野たむがまた泣いたとか、最近ではジュリアが退団した、とか。
あんなのおかしいって。
いや、東スポの女子プロに対する姿勢を批判しているのではなくて、そもそも俺達プロレスファンなら、面白く読めるけれども、一般の読者にはぜんっぜん、伝わってないって。
だって、女子プロ見たことないもの。
一般の人が知っている女子プロって、ダンプ松本とか、長与千種だとか、ブル中野だとかの昭和の女子プロブームの主役たちだけだって。
林下詩美と上谷沙弥のアフロディーテとか、ジュリアが創ったドンナベルモンドとかいうチーム名を東スポが書きたてたって、「それ何?」って思うよね、プロレスファンでさえ、だ。
試合を見たことないんだよ、一般の人達は。
女子プロの問題点は、そこだって!
まあ男子もそうなんだけどさ、All togetherっていう団体の垣根を超えた興行をやりますって、今日ネットに載ってたけれどさ、全国ニュースにさえならない。
発信力がないのか、プロレスがつまらないのか。
東スポもおかしいって。
試合も顔も見たことない選手の、裏話だとか、移籍だとか退団だとか書かれても、ついていけないって。
せめて紙面で、しっかりと試合経過くらい書けよ、って言いたい。
でも、東スポは東スポで、あの媒体ほどプロレスの振興を考えているマスコミはいないから、女子プロに興味を持たせて、プロレス界全体を持ち上げようって腹なんだろう。
それはわかるよ。
まずはテレビをつけろ
やっぱりさ、昭和の時代に女子プロが黄金期だったのは、ひとえにフジテレビが全日本女子プロレス中継っていう1時間番組を持ってたからだよね。
「何いってんの、ネットで見れるじゃん!」と若いキミは言うだろうね。
でも、今は逆にテレビの時代なんだ。
ネットはそもそもファンしか、そこに行かないよ。
アベマやネトフリ、スポティファイなどの有料メディアは、もっとファン層が狭まる、マニアしかカネを払ってみない。
RIZINはすでに有料メディアを使った戦略だけれど、まだ格闘技は裾野が広がってない。
そんな状態で何十万人か、有料視聴者を獲得して「これが生きる道だ」とか思っているようじゃ、先が危うい。
その意味で、一昨年の天心vs武尊のテレビが流れたのは痛恨事だった。
ネットは、もぐっちゃうんだよ。
ネットっていう大海にさ。
テレビの地上波は、数局しかないがゆえに、ファンがもぐらない。
何十万の人たちが一局集中して見る、このインパクトは凄まじいものがある。
スターダム問題の真相
東スポはともかく、週プロはその最大価値とも言える表紙に、女子を載せることが非常に増えた。
なぜならば、最近の女子プロレスのビジュアルは、隔世の感があるからだ。
コスチュームからアクセサリー、化粧からなんから、やばいんだって。
それだけでも、一つの新しいエンタテイメントとして売れる。
プロレス専門誌としては、プロレス以外のインパクトを世間に与えて女子プロを、そこら辺から盛り上げていきたいんじゃないか。
女子プロレスラーになろうという女性は、かなりの確率で芸能界志望だ。
いやはっきりいって、芸能界にはいったはいいが泣かず飛ばずだったり、グループのセンターになれなかったりして、自分のすべてを見てもらえない不満から、この世界に飛び込んだレスラーも多い。
いやそれが悪いと言うんじゃない、むしろいいことだ。
自己顕示欲が強くなきゃ、この世界では成功できないって。
でも、はっきり言うけれど、女子のトップでも、いまの女子プロレスの現状に満足しているレスラーはいないって。
なぜ、スターダムが崩壊したのか(まだしてないって!)?
彼女たちは、自分たちがこんなに素敵なのに、なんでこれっぽっちしかスポットライトが当たらないの?なぜ、世間は団体は私達にセンターのポジションを与えないの、って思ってるからだ。
ギャラも、その他の待遇も含めて。
テレビが答えだ
いい意味での、センター願望、自分だけ中心主義、スターへの憧憬、これを持っているからこそ、彼女たちはテレビがなくても、自己表現に熱心で上手だ。
もっと目立たせてあげないと、彼女たちはやめちゃうよ。
答えはテレビだって。
東京ドームで男子の試合の合間に、試合をさせられるなんて、あたしたちは添え物じゃないのよ、って思ってる。
一度テレビ局も、特番でゴールデンタイムで、中野たむvsウナギ・サヤカあたりを中継すべきだよ。
女子たちは、さっきから言っているように、自分をどう見せるかに命をを賭けてるって。
テレビのゴールデンタイムという舞台を与えられたらどうなるか。
彼女たちのモチベーションは、きっとマックスになるよ。
べべも、靴も、色使いも、飛ぶよ(笑)。
試合も凄いことになるって。
だけど、いま問題なのは、テレビ局の編成スタッフに、昭和のプロレスファンがいないことだ。
女子をゴールデンタイムにできないのは、ひとえに昭和の女子プロの熱を知らないからだろう。
高学歴のテレビマンたちは、データや数字に振り回されて、冒険より安定を求めてるっていうのもある。
確かに今までも、何回かスターダムの放送があったけれど、打ち切りになった。
それはさ、彼女たちが悪いんじゃなくて、周りの大人達、団体、テレビ局が無能だったんだって。
もっとさ、企画を立てなきゃ。
それには強烈な悪役が必要なんだって。
いや、もちろん昭和のダンプ極悪同盟vsクラッシュギャルズをやれというんじゃないよ。
でも、いまの女子プロは、何かレスラーの本当の魅力を出せてないと思う。
でも、とにかくテレビ局に、女子プロ団体に言いたい、「テレビが答えだ」、とね。
野呂 一郎
清和大学教授